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物語「セレンディッポ王の若き息子三人の旅」に関する研究ノート
01. テキスト
物語の粗筋は以下の通り。三人の王子とバフラーム王、インドの女王の登場する前半と、七つの物語中物語が入れ子となる後半に分けられます。
2007年、邦訳が出版されました。クリストフォロ・アルメーノ『セレンディッポの三人の王子』徳橋曜/監訳、角川学芸出版、2007年
- 献辞
- 序
- [I]三人の王子、インドの女王、バフラーム王と七つの宮殿」
- 「ジャッファル王と三人の王子」
セレンディッポの王ジャッフェルが三人の息子を教育し、旅に送り出す。
- 「逃げた駱駝」
バフラーム王の国に来た王子たちが、逃げた駱駝の特徴(片目、欠けた歯、不自由な脚、バターと蜂蜜の荷、女性の乗り手、女性の妊娠)を言い当てたために泥棒と疑われるが、駱駝が見つかって釈放される。王は彼らの鋭い観察と知恵に感心する。
- 「葡萄酒と肉の出所、暗殺計画を見抜く」
三人は食卓で出された葡萄酒と肉の素性(墓地で採れた葡萄、犬の乳で育った子羊)を言い当て、暗殺計画(大臣が王を毒殺しようとしている)を見抜いて王の命を救う。
- 「真実の鏡とインドの女王」
インドの女王から「真実の鏡」を取り戻すことをバフラーム王が三人に頼む。
- 「バフラームとディリランマ(前半)」
バフラーム王が愛妾ディリランマと狩に出る。王は彼女の望み通り一本の矢で鹿の蹄と耳を射抜くが、彼女が褒めないので腹を立て、森に置き去りにする。王は後悔のあまり病気になる。
- 「魔の手とインドの女王の謎かけ」
海中に出現し人を攫う手に向かって、長男が二本指を見せて退散させる。残りの二人は女王の出した謎(倉庫一杯の塩を食べる、五つの卵を三人で分ける)を解決する。女王は次男と結婚の約束を交わす。
- 「七つの宮殿」
真実の鏡を取り戻して帰国した三人は、バフラーム王の病を治すため、七つの宮殿を建てさせ、七つの国の美女と七人の語り手をそれぞれに配置させる。
- [II] 月曜日「鸚鵡になった王」
王が哲人から動物の死体に乗り移る技を習う。大臣がその技を悪用し、王に成り代わる。鸚鵡の姿をした王は、一人の王妃の助けを借りて元の姿に戻る。
- [III] 火曜日「弓矢の得意な王妃とサルの芸」
王妃が貨幣に自分の名も刻むよう求める。王が出す弓矢の課題(真っ暗な部屋で盥を射抜く、ユニコーンの雄雌を変換する)を王妃が解決するので、断りきれなくなった王は王妃を猛犬に食べさせる。脱出した王妃はサル使いの世話になる。王は後悔から病気になるが、サルの愉快な芸を見て快復し、王妃と再会する。
- [IV] 水曜日「像の重さと塔からの脱出」
金細工師が、君主から金塊を受け取って巨大な獅子像を作る。ごまかしがあると見抜いた別の職人が、像の重さを計る方法を金細工師の妻から聞き出して、詐欺だと君主に訴え出る。金細工師は罰として高い塔に閉じ込められるが、策略を使って脱出し、自分の代わりに妻を閉じ込める。話を愉快に思った君主は、罪を許すことにする。
- [V] 木曜日「ランモの復讐」
サルタンの息子ランモは自分の継母が宰相と密通していることを知るが、逆に継母に言い寄ったと父親のサルタンに嘘の訴えをされ、国を追われる。道中で知り合った一行から魔術を習ったランモは、それを利用して継母と宰相に復讐を果たす。
- [VI] 金曜日「嘘に笑う像」
王が、人が嘘をつくと笑い出す像を手に入れる。王は女性不信だが、家臣の勧めに従って四人の女性を妻として迎え入れる。像のおかげでそのうち三人が嘘つきだと見破った王は、彼女たちを事故に見せかけて殺し、正直な一人と結ばれる。
- [VII] 土曜日「ジュッラとフェリステーノ」
キリスト教商人の子フェリステーノとジュッラは幼い頃から結婚を誓った間柄だったが、イスラム教徒の王の横恋慕により引き裂かれ、フェリステーノは死刑を宣告される。友人が地下道を掘って二人を助け出す。二人は別人の振りをして王をからかい、船で町を離れる。騙されたことを知った王は憤死する。それまで幽閉されていた甥が跡を継ぎ、戻ってきた二人の話を聞いて町全体がキリスト教に改宗する。
- [VIII] 日曜日「ディリランマの物語」
語り手はリュートの名手である娘に仕えていると言い、彼女の身の上話をする。バフラームはそれがディリランマであると知って、彼女を呼びに使いを送り、再会を果たす。
(エピローグ)
バフラームは感謝して三人を祖国に送り出す。長男は父親ジャッフェルの跡を継ぎ、次男はインドの女王と結婚する。三男はバフラームの娘と結婚しその国を受け継ぐ。
03. 類話
04. 解説
学会発表の際に利用したパワーポイントの資料です。