(5)飛行機の中にて
 
飛行機の中で見た映画に、PartとFart(おならをする)を間違えてエンゲージリングを彫ってしまうというのがあったが、ここで、fartに関する大まじめな下ネタを一つ。
 実は、飛行機の中で一番困ったのが「放屁」できないことである。都会の雑踏の中なら「すかし屁」をしても誰にも気づかれない。車の排気ガスに比べれば、人間の放つ排気ガスなどたかがしれている。しかし、飛行機の中ということになれば話は別である。しかも、困ったことに私は人よりおならが出やすい質(たち)である。ハワイまでは片道約 約8時間(正確に言うと、行きは偏西風に乗って7時間、帰りはその逆で9時間かかる)。
その間、おなら一つできないというのは、拷問に近い。
「嫁の屁は、五臓六腑をかけめぐり」という川柳があるが、かくして私も飛行機の中で五臓六腑をかけめぐる強敵と格闘するハメになった。

 その際、唯一の救いになったのが、先日見た「人体の不思議展」のおならに関する解説であった。それによると、おならをしたいのを我慢し続けると、お腹にたまったガスはまた小腸に押し戻され、やがて小腸から血液に吸収され、最終的には肺から呼吸とともに体外に排出されるということである。だから時間がたてばそのうち「消失」し、いつまでも五臓六腑をかけめぐるわけではないとのことである。人間の体というのは実にうまくできている。
 

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