教室で労使対立を再現する
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1.悪徳経営者募集 (1) 授業が始まったら、まず、架空の会社を作り、会社名を板書する。 (2)経営者が決まったら、経営者チームに会社の決まりを作ってもらう。1日の労働時間と時間給ぐらいの簡単なものでよい。労働基準法も何もないと仮定して、なるべく「悪どい」勤務条件を考えてもらう。
2.従業員の反発を抑える 先 生「今、経営側が上のような条件を出してきたが、みんなそれでいいか? 納得して働くか?」と従業員役の生徒に聞く。 従業員「もっと給料を上げて欲しい」。 従業員「勤務時間も短くして欲しい」。 経営者「だめです。今文句を言った人、クビにします。明日からは会社に来なくてけっこうです」。 先 生「一人ずつ会社側に要求するとクビになります。では、クビにできないようにするにはどうしますか?」 従業員「みんなで力を合わせて団体交渉します。それで給料をあげてもらいます。」 先 生「それでも給料を上げてくれなかったら?」 従業員「それだったら、明日からみんなでストライキをします。仕事をしません」 先 生「経営者の人集まってください。対策を一緒に相談しましょう」「ストライキを扇動する人は目障りだから、新しく国会で法律を作ってもらい、死刑にしませんか?」(小声で相談) 経営者「かわいそうだけど死んでもらいましょう。死刑に賛成。」(と相談がまとまる)。「○○さん、あなたは新治安維持法に違反したので死刑にします」 従業員「ワー、それはひどい!」 先 生 「ひどくなんかないですよ。これは実際にあった話ですからね。1886年5月1日、アメリカで労働者が8時間労働を要求してゼネストをやった。ところが、これを指導した中心人物5名が死刑になってしまった。それを記念して今5月1日はメーデーとして労働者の祭典になっている」
3.解決への道
生徒からどういう発言が飛び出すか分からないが、発言を上手に生かし、当意即妙に答えたい。各自の学校の状況に応じてさまざまなバリエーションが考えられる。この授業で一番大切なことは、生徒に考える時間をたっぷり与えることである。時には挑発し、意地悪な質問を浴びせかけ、生徒を困らせることも必要であろう。 生徒は労使のこうしたやりとりを通じて、今の私たちが憲法(28条)や法律(労働三法など)で守られていることや、そうした権利が認められるようになるまでに、多くの血の犠牲があったことなどを学んでいく。 なお、この授業で労働組合の重要性を認識すると、今度は、 ・それではなぜ日本の労働組合組織率が18%しかないのか といったことにも興味を示す生徒が出てくる。
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