シビリアンコントロール
2007年08月20日
防衛省事務次官の椅子を巡って、小池防衛大臣と防衛省幹部が対立し話題になった。憲法66条第2項には「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない」と定めている。ここでいう文民とは非軍人であり、この規定は「シビリアンコントロール」と言われる。
このような規定が設けられたのは、戦前のような軍部の暴走が再び起きないようにするためである。一見すると、今回、防衛省幹部が大臣にたてつき、防衛省の意向を正面切って押し通そうとした事実は、一歩間違えば大臣をないがしろにし、再び軍部の暴走を許す第一歩になりかねない。
最近の防衛次官の氏名と出身の資料をご覧いただきたい。
1988年 西広整輝(防衛庁出身)
1990年 依田智治(警察庁出身)
1991年 日吉 章(大蔵省出身)
1993年 畠山 蕃(大蔵省出身)
1995年 村田直昭(防衛庁出身)
1997年 秋山昌広(大蔵省出身)
1998年 江間清二(防衛庁出身)
2000年 佐藤 謙(大蔵省出身)
2002年 伊藤康成(防衛庁出身)
2003年 守屋武昌(防衛庁出身)
2007年 増田好平(防衛省出身)内定
ここ数年、大蔵→防衛と交互に分け合ってきた防衛省事務次官の椅子が、今回の人事で、3代連続して防衛庁・省の生え抜きから抜擢されることになる。事務次官を防衛省生え抜きから出す流れは、ほぼ定着したといえるかもしれない。
防衛庁から防衛省になったのが平成19年1月。しだいに防衛省の発言力が強くなってきている。今回の「ゴタゴタ」をマスコミは、両者痛み分けで決着したと報じるが、果たしてそうか。防衛省の意向が反映されたという意味では、防衛省側の全面勝利といってよいのではないか。
日本の軍事力は、日本人が思っている以上に大きいことを、次の資料で確認していただきたい。
(参考)
主要国の国防費と陸軍兵力
国防費(防衛費) 陸軍(地上軍、陸自)
米国 4,605億ドル 50万人
ロシア 652億ドル 36万人
英国 490億ドル 12万人
日本 403億ドル 15万人
フランス 400億ドル 14万人
ドイツ 297億ドル 19万人
中国 250億ドル 160万人
韓国 164億ドル 56万人
オーストラリア 117億ドル 3万人
カナダ 101億ドル 2万人
※国防費は04年(ロシアは03年推定)
※日本の防衛費は05年度予算額を1ドル=120円で算出
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