プレミアムステージ特別企画 |
那須湖畔 湖畔でなにやら探している金田一君〜という映像が提供クレジットのバックで流れました。これ、何だったんだろう? 那須警察署・署長室 橘署長,古舘弁護士,金田一らが集まっている。 金田一「あの遺言は本当に佐兵衛翁の3姉妹への復習だったのかもしれ ませんね。亡くなった菊乃に代わって佐兵衛翁が果たした復讐…」 古舘 「佐兵衛翁と菊乃の呪いですか?」 金田一「ところで、菊乃親子の消息は?」 古舘 「菊乃と静馬は富山の親戚の所で暮らしていたのですが、菊乃は 病死してます。静馬は昭和19年に金沢に入隊して、それっきり 消息は分かりません」 橘 「んんんんんんんんんんんんんんんん、犯人はあいつだ!」 金田一「分かったんですか?」 橘 「犯人は青沼静馬だ!!復員服の男となって皆を殺害し、財産を 一人占めしようとしている」 古舘 「珠代さんと猿蔵のことは?」 橘 「いいんだ、そんなことはもう。青沼静馬を至急指名手配しろ!」 金田一「・・・」 那須神社・神殿内 夜。一人、神社にやってくる金田一。古筒を開け、珠代と佐兵衛との関係について調べている。 金田一「はあ!!!!!!!!!!!!!!!」 と、驚くべき事実を発見した金田一。 古舘弁護士事務所 古舘の元を訪れた金田一は、帽子・マント姿のまま話し始めます。 古舘 「珠代さんが犬神佐兵衛の孫だって!」 金田一「そうなんです。佐兵衛翁が珠代さんにあんなに有利な地位を与 えていたのは、恩人の孫だったからじゃないんです。珠代さん のお母さんの祝子さんという人は、大弐さんの奥さんの晴世さ んと、佐兵衛翁との間に生まれた娘だったんです」 古舘 「ふ・・・」 その事実を聞いた古舘は、そのまま椅子に沈み込むんだ。 金田一「(帽子を取って)そして、そのことは大弐さんも知っていて、 許していたんです」 そうして、金田一は、那須神社で発見した事実について語り続けます。 金田一「野々宮大弐は性的に不能者だったんです。結婚して3年経って も、妻の晴世は処女でした。佐兵衛翁との関係を黙認していた のは、処女の妻に対する贖罪のつもりだったようです。しかし、 野々宮大弐は世間体を憚って妻とは離婚しなかった。その代わ り・・・」 若かりし頃の佐兵衛と、晴世の逢瀬 金田一「佐兵衛翁と妻の逢引にできるだけ便宜を図ってやっていた。漏 洩を極力防ぐために、逢引は那須神社の一室…」 逢引の様子を、嫉妬しながら覗き見する大弐 金田一「やがて晴世は子供を産み、その後に亡くなりました。しかし、 佐兵衛翁は、死んだ晴世のことが忘れられず、だからこそ生涯 正室を持たなかったようです」 古舘 「・・・」 古舘は何も答えなかったが、事実を認識したという表情を示す。 那須湖畔 那須湖畔。日も暮れ、強風に煽られながら、自らの帽子を手にして、真実を見出そうとする金田一。 金田一「唯一真実の手がかりは、物的証拠ではなく、人の心の中にある」 (格好よすぎて崩壊中…) 犬神邸・松子の部屋 松子は佐清のいる部屋に珠代を呼び出し、結論を迫る。 松子 「珠代さん、いいお返事をきかせて頂戴」 松子は、珠代は佐清と結婚するしかないと言って回答を求めるが、珠代は「お断りします」といい放つ。そんな珠代の言葉が理解できない松子。 珠代 「松子おば様、この人は佐清さんではありません」 そう言って珠代は部屋を後にした。黙って後を追う佐清。 那須湖畔 松子にはっきりと断りの返事をした珠代を追って、佐清がやってくる。 佐清 「ふふふふ、あんたは俺と結婚するしかない。俺は佐清だ。いず れお前は俺のものになるんだ!あははははははは」 その佐清の態度に、その場から逃げ去る珠代(って、ここにきて、急に分かりやすい悪役になっちゃったのね、スケキヨさん)。 犬神邸・松子の部屋 夜。一人佐清の写真を胸に座す松子。 昭和二十二年 博多港 『母さん、佐清です』…そう言って松子の前に立つ一人の男性。『母さん、ただいま…』『お帰りなさい、よく、よく帰ってきてくれました』・・・息子を強く強く抱きしめる松子。その後、東京に向かい、佐清の顔に似たマスクをつくり、ここまで来た・・・ 松子のいる部屋に、佐清が戻ってくる。珠代の言ったことは嘘だと念を押す松子だったが、佐清は突然高笑いしだした。 静馬 「珠代が言ったこと、本当だよ!」 松子 「お前・・・お前、誰なの?」 静馬 「青沼静馬・・・あんたとあんたの妹たちに痛めつけられ、責め さいなまれた、青沼菊乃の息子だよ!」 菊乃は最後まで犬神の一族を恨んでおり、静馬は彼らに『必ず復習してやると』と誓ったのだと語る。そうして、静馬は佐清の部隊に配属され、その部隊は佐清のせいで全滅。その際、顔に深い傷を負い、声もつぶれ、最後に残ったのは犬神家への恨みだけだった・・・ 松子 「佐清は、佐清はどこにいるんです!」 静馬 「あんたの大切な佐清は、死んだよ・・・」 そう告げられ、脱力する松子。さらに高笑いする静馬。その静馬の後ろ姿を見上げた松子は・・・ 那須湖畔 翌朝。いっちゃってる小夜子がふらふらと歩いている(一番気の毒だよね…)。ふと、足元にきらきらと光るボタンを1つ見つける。 小夜子「綺麗〜」 そのまま視線を湖に目を向けると・・・Vの字の物体が突き刺さっていた。 警察が到着し、湖から、スケキヨの死体が引き上げられる。Vの字は、湖に逆に突き刺さったスケキヨの体のうち、下半身の足の部分だけが突き出た格好になっていたのだ。 橘 「とうとう、佐清まで」 刑事 「橘署長、佐智さんの金ボタンが見つかりました」 橘 「金ボタン?」 金田一「さ、探していたんですよ。どこにあったんですか?」 刑事 「小夜子さんが今朝、この辺りで見つけたんですが…」 金田一「ここで・・・!!!あはは。ちょっと、ちょっと拝見!」 と、そのボタンをハンカチの上に受け取った金田一は、よくよく見ると、ボタンに赤い血が、ほんの少し付いているのを見つける。 金田一「ち、ち、血だ。血だ、血だ・・・・!そうか!!署長!あの、 あの死体の指紋を調べてもらえませんか!!」 橘 「は?」 金田一「是非、手形を取って下さい。佐清さんの死体と比べてみて欲し いんです」 橘 「それでは金田一さんは、あの死体に疑問がおありだと仰るんで すか?」 金田一「ええ。それからこのボタンに付いた血の血液型も」 不可思議な事件は、解き明かされようとしていた・・・ 那須警察署・署長室 夜。「斧・琴・菊」の文字が書かれた紙を前に、橘署長,古館弁護士、そして金田一が集まっている。 古舘 「今回の事件はちょっと妙ですなぁ。今回、殺人が起きれば、当 然、『ヨキ』に当たる斧を使用すると思っていたんですが」 橘 「そうなんですよ。しかし、佐清は鈍器のような物で撲殺されて いた。犯人はその死体を展望台の上から逆さに投げ下ろした」 金田一「いえ、それでいいんです。それでやっぱり『ヨキ』になってい るんです」 橘 「しかし、金田一さん、どこにも斧の痕なんか…」 金田一「署長さん、あの死体は佐清君でしたね。その佐清君が逆立ちに なっていたのだから」 金田一は懐から手帳を取り出し、そこに縦に「スケキヨ」と書き、その手帳を逆さまにして見せた。つまり「ヨキケス」である; 金田一「しかも、逆立ちになった佐清の上半身は水の中に埋没していた のだから」 続いて、「ヨキケス」の文字の下半部を消すと「ヨキ 橘&古舘「ヨキ!!」 橘 「金田一さん」 金田一「署長さん。そうですよ、これは子供騙しの判じ物なんですよ。 ははははは、あははははは」 それでも、橘や古館には金田一が何を言わんとしているのかはまだ見えない。 そこに、鑑識の藤崎さんと刑事さんが、金ボタンと手形の件について、両方同時にあーだこーだと言いながら、署長室にやってくる。 金田一「待って下さい。順にお話を伺いましょう。まず、ボタンの汚れ は?」 刑事 「はい。確かにあれは人間の血なのです。血液型はO型」 金田一「そうですか、ありがとうございます。さぁ、藤崎さん、あなた の番ですよ。どうぞ結果を」 藤崎 「はい」 藤崎は、持参した数々の手形をテーブルの上に並べる。 藤崎 「署長さん。これが以前取った犬神佐清の手形です。この手形は 古舘さんからお預かりしているこの巻物とぴったり一致するん です。ところが、今日、あの死体からとったこれ。この手形は、 この二つとも全然違ってるんです」 橘 「違ってる?そんな馬鹿な!そんな馬鹿な。そしたら夕べ殺され たのは佐清君じゃなかったってことか?」 藤崎 「そうです。この手形から判断すると…」 橘 「だってだって、この間手形を取ったときには」 金田一「署長さん、あのときは確かに本物の佐清君だったんですよ」 橘 「ええ?」 古舘 「ええ?」 橘 「それはつまり、最初の手形確認のときは偽者の佐清君で、二度 目に手形を押したときが本物の佐清君だったってことか?では あの死体は一体、誰なんだ?!」 金田一「偽者の佐清君です」 橘 「だからそれは一体誰なんです?」 金田一「青沼静馬でしょう」 橘 「青沼静馬?!?!」 宮川香琴の屋敷? 金田一は最後の確証を得るため、宮川香琴の元を訪ねた。それは、松子の指の怪我について・・・ 香琴 「奥様はいかにも、あのとき琴糸が切れた拍子に指に怪我をなす ったように仰いましたが、あれは嘘なので御座います」 金田一「嘘?」 香琴 「奥様が本当に指を怪我なすったのは、前の晩のことでした。わ たくし、あの前の晩もお琴の相手をしていたのではございます が」 金田一「前の晩というと、佐智君が殺された晩のことですね?」 香琴 「その音を聞いて、わたくし、『おや』と思ったのでございます。 奥様は指に怪我をしていらっしゃる。しかもそれを隠そうとし て痛さをこらえて弾いていらっしゃるということに気づいたの でございます」 話を聞き終わり、引き上げようと那須の町を歩いていると、そこにちょうど車で道を急いでいる橘署長に声を掛けられた。 橘 「金田一さん!復員服の男が目撃されました。犬神家のそばです! 先に行ってます!」 と、本当に金田一を残して先に行っちゃう橘さん。金田一も車の行く方向に一心に駆け出した。 犬神邸の一室 珠代が自室(?)に入ると、そこには顔を布で隠した復員服の男がいた。 珠代 「佐清さん?佐清さんでしょ?佐清さん・・・」 復員服の男は、黙ってマスクを取った。その素顔を見て、珠代はそのまま抱きついた。 珠代 「佐清さん、会いたかった。ずっとずっとお待ちしていました。 生きて会えるこの日をずっと信じてまっていました。佐清さん…」 だが、佐清本人は抱きつく珠代を引き離し; 佐清 「佐武も佐智も静馬も僕が殺しました。お国のために死ぬことも 出来ず、捕虜となって生き恥を曝して今まで生きてきました。 あなたにひと目合いたかったんです。その願いも叶いました。 珠代さん、僕のことは忘れて幸せになって下さい。僕はビルマ でのたれ死んだ男です。さようなら」 そう言って出て行く佐清を、珠代は引き止めることが出来なかった。 犬神邸・正面門 遅れて犬神邸にやってくる金田一。ちょうど、玄関口までやってきたところで、銃声が2発響き渡った。 金田一「遅かったか!」 そう呟きながらも銃声のした方に向かう。 那須湖畔。警官2名に復員服の男が追い詰められている。 金田一「そいつを殺しちゃいけない!そいつは死ぬ気だ!!」 と、復員服の男は、手にした銃を頭に当てた; 金田一「そいつを殺すな!!!!!」 次の瞬間、警官の放った銃が復員服の男の手元を打ち、男は手にした銃を落とした。男は警官に取り押さえられながら、金田一を睨みつけた。 |