プレミアムステージ特別企画

犬神家の一族 〜誰も知らない金田一耕助〜


04.04.03 Sat 20:03〜22:54 フジテレビ系列 にて ON AIR

 



展望台

那須湖を臨める展望台。警官2名が先に現場を検証しているところに、橘署長、古舘、そして金田一がやってくる。その床には血溜りが出来ていて、その血溜りは湖に続いていた。佐武がここで殺されたことは間違いない。

  橘  「首を切り落として死体の方はこっから投げ込んだ。これは一度、
      湖水をさらえてみないかんなぁ」
  金田一「署長さん、こんなものが落ちていたんですが・・・」
  古舘 「は!」

金田一が見つけたブローチには、古館には思い当たるところがあった・・・


那須警察署・所長室

警察で、橘署長、金田一らのいるところに、呼び出された珠代。展望台で見つけたブローチは珠代のものだったのだ。珠代はそれは失くした物であると言い、問い詰められた珠代はその経緯について語り始めた。昨晩11時頃、珠代は佐武をこっそり展望台に呼び出し、例の懐中時計を佐武に差し出したと説明する。

  金田一「(頭を掻きながら)あっ、と言うことは、あなたは、指紋を取
      るために佐清君に時計の修理を依頼したんですか?」
  珠代 「違います。偶然、時計の裏側に指紋が残っていただけです」
  金田一「・・・あ、すみません」
  橘  「それで、佐武くんは?」

珠代はその後のことを語る。時計を受け取り右のポケットにしまった佐武は、立ち去ろうとした珠代を強引に襲おうとしたのだ。そのときにブローチも珠代の胸元から外れたのだが、そこに猿蔵がやってきて、佐武の後頭部を椅子で殴打し、珠代の窮地を救ったのだった。

橘署長も、もちろん、それ以上、話しを聞く必要も無く、珠代は引き上げようとする。最後に金田一が一言;

  金田一「あっ。た、た、た、珠代さん。あなたどういう風にお考えでし
      ょうか?あの仮面を被った人物について、あれを真実の佐清さ
      んだと思いますか。それとも・・・」
  珠代 「・・・・・」
  金田一「???」
  珠代 「・・・無論、私はあの方を佐清さんだと信じています」
  金田一「あ」

そのまま珠代は退室していった。それとちょうど入れ替わりに古舘がやってくる。

  古舘 「松子夫人がみなさんに来て頂きたいと仰っているんですが…」
  金田一「松子夫人が?」



犬神邸・大広間

上座に松子と佐清が座している。

昨晩と同じ光景ではあるが、今回は犬神家の一族以外の人間である、橘や古館、金田一も同席している。

昨晩は皆が無礼なので手形を拒んだが、佐武が殺されたことで、イジを張っている場合ではない、さらに佐清自らも押すと言ったことから、今回、手形を押すのだと説明する松子。確かに佐清の手に朱墨が塗られ、手形が押された。



同じ頃、湖で、首の無い死体が見つかった・・・



那須湖畔

金田一がその現場に到着したときには、血みどろのボートが湖畔に停泊していた。そのボートの中に死体は置かれていたようである。

  刑事 「死亡推定時刻は午後11時から12時の間。死因は背後から胸部に
      かけての一突き。凶器は短刀のようなものだと思われます」
  金田一「ということは、犯人は短刀と首を切り落とすための日本刀と、
      二つの凶器を用意していたということでしょうか?」
  橘  「うん、そういうことになるだろうな。」
  刑事 「で、犯行後、犯人はこのボートを使って死体を沖まで運んだも
      のと思われます」
  金田一「チョッキのポケットは、探ってご覧になったんでしょうね?ほ
      ら、珠代さんが渡したという時計…」
  刑事 「見つかっておりません」
  橘  「そうか、そもそも珠代の話も本当なんだか分からんしな」

そのいくつかの情報を、帽子を押さえながら、思案する金田一。

  橘  「しかし犯人は何だってこんな手数の掛かることをするんでしょ
      うなぁ、金田一さん・・・金田一さん??????」

金田一の姿は既にそこには無かった…。



那須のとある宿(柏屋)

金田一は宿屋の玄関口に座り込み、主人と宿帳を見ながら話しをしている。宿帳には『東京都麹町区三番町二十一番地 無職 山田三平(三十歳)』の文字が書かれている。

  金田一「この復員服の山田三平が出て行ったのが午後10時頃。帰ってき
      たのが夜中の12時頃ですね?」
  主人 「へぇ、何となく慌ててたようだったねぇ」
  金田一「そのときも、やはり顔を隠して」
  主人 「ええ、ええ、ええ。結局、あっしらは一度もその客の顔を見な
      かったことだでねぇ」
  金田一「顔を隠した男が二人」

と言いながら茶でも啜りながら暢気に推理している金田一。そこに;

  橘  「オヤジ。ちょっと聞きたい・・・金田一さん!」

と、橘さんもやってくる。

  金田一「ああ、橘さん。遅かったですね。もう、大体のことは聞き終わ
      りましたよ」
  橘  「どうしてこんな所にいるんですか!?」
  金田一「いや、ボートが乗り捨ててあったということは、誰かが上陸し
      たってことですよね?どこへ行ったのかなぁ、って見回したら
      ちょうどここがあったんです。単純なことですよ」

と、また茶を入れながら、橘署長に差し出して;

  金田一「どうぞ!」

と、また暢気な…(苦笑)。



那須のとある宿の外

そのまま一通り話しを聞き終えた金田一たちは、外に出てくる;

  金田一「復員服の男、復員服の男、復員服の男、顔を隠した・・・」

と、橘とは話もせずに一人で推理を続ける金田一君。

  橘  「犬神家の内部の者で、夕べの 8時から10時までの間でアリバイ
      の無いものはおるか?」
  刑事 「へぇ〜、猿蔵です」
  橘  「何?他のものは全員、手形の件で奥座敷におりました」
  刑事 「なる程。生首を発見したのは猿蔵。佐武に最後に会ったのは珠
      代と猿蔵。つまり・・・そうか、犯人はあいつか!」
  金田一「分かったんですか?」
  橘  「犯人は猿蔵だ!復員服の男に変装して殺したんだよ、あはは(笑)」

と言いながら、橘は車に乗り込もうとするが;

  金田一「ちょ、それでは珠代さんの証言は?」

金田一もそれに従い車に乗り込んで;

  金田一「佐武君が珠代さんに無礼を働こうとしたときに、猿蔵が飛び出
      してきたっていう…?」
  橘  「えっ?あああああーーーーーーーーんんんんんんんんんんん。
      そうか、二人は共謀しているんだよ。遺産を独り占めにしよう
      と企む珠代が、猿蔵に命令して殺させている。復員服に化けた
      のはそいつに罪を着せ、捜査をかく乱する作戦だ!」

そうして、そのまま車は発進した・・・(ああ、このコンビ、もう少し楽しみたひ…(苦笑))



犬神邸・大広間

佐清の手形の鑑定結果が出た。今からその発表がされようとしており、関係者一同、勢ぞろいしている。

  橘  「鑑識課の藤崎君です」
  藤崎 「ええ、それでは、鑑定の結果をここで発表させて頂きます。こ
      の二つの手形は同じもであります。従ってここにいらっしゃる
      方は、佐清さん語本人に違いありません」

結果が出た。その発表に何とも言えぬ表情を示す一族と、安堵の表情の松子。

  金田一「?」

加えて、そのとき、何かを言おうとする珠代。

  金田一「???」

自分達へのあらぬ嫌疑も晴れたと言い切って、松子と佐清は座敷を出て行こうとしたとき、再び珠代が何かを口にしようとした。

  金田一「?????」

その一連の一族の解せぬ反応に、金田一はまたもや頭をぼりぼりかきむしるのだった。



犬神邸・松子の部屋

佐清と部屋で二人っきりになった松子は、佐清に「許しておくれ」と詫びを言う。自身も内心は佐清が別人ではないかと疑ってしまっていたのだと。

  松子 「やっと、やっと帰ってきてくれた我が子を疑うなんて…」



犬神邸・廊下

一方で、小夜子は珠代に敵意を示す。

  小夜子「あの化け物と一緒になればいいのよ。あなたが佐智さんを選ん
      だら、私、あなたを殺す。殺してやる・・・」

そう言った直後、お腹を押さえてうずくまる小夜子。「ひょっとして赤ちゃんが?」と寄り添う珠代を振り切って、小夜子は去っていく。で、その様子を影から見ている佐智(って、不気味なんだな(苦笑))



那須湖畔

一人、傷心の珠代。そこに佐智がやってきて、「泣いている姿も素敵ですね」などと声をかけてみるが無視され、珠代が立去ろうとしたところ、強引に珠代を薬で眠らせ、そのままボートに乗せた。



那須湖畔の空き家

眠っている珠代を2階の一室に運ぶ佐智。

そこに、顔を隠した復員服の男の影が・・・珠代をベッドに寝かせ、シャツを脱ぐ佐智だったが、目の前に顔を隠した復員服の男が現れる。佐智絶叫・・・


犬神邸

電話のベルが鳴るり、それを取る猿蔵。

  『珠代さんは、今、豊畑村のあき屋敷にいます。早く迎えに行ってあげなさい』





(恐らく日が替わって)ベッドで目を覚ます珠代。そこは先程の空き家ではなく自分の部屋。枕元には;

  『佐智君は失敗した。珠代さんは
   現在でも今までと変わりなく
   純潔であることを証明す。
             影の人』

とのメモが置かれている。

不思議に思いつつ珠代が起きてくると、小夜子が佐智が「昨晩から見当たらない」と騒いでいた。橘署長が言うには、猿蔵が知っているようだが、珠代の許しがないと絶対に言えないと頑張っているらしい。

  珠代 「猿蔵。佐智さんはどこにいるの?」
  猿蔵 「あいつはまだ部屋にいるだろうよ。おら何も、あいつまで連れ
      てけーる義理はねぇからな」
  金田一「あの部屋って?」
  猿蔵 「豊畑村の空き屋敷だよ。半分、裸で縛られて、猿ぐつわ嵌めら
      れたまま」
  金田一「猿蔵さん、君が縛り上げたの?」
  猿蔵 「いや、おらじゃねぇ、おらじゃねぇさ。最初っから縛られてい
      たのさ。出かけにうんとでっけービンタを1つくらわせてやっ
      たやっただね」
  梅子 「!だれか行って、あの子を助けてあげて!!」



那須湖畔の空き家

金田一達がそこに到着したときには、佐智は椅子に縛られたまま死んでいた。

  刑事 「し、死んでる」
  小夜子「いやーーーーーーーーー(卒倒)」

そうして、佐智の首筋には;

  金田一「琴の糸だ・・・」



警察が現場検証をしている間、自らの手帳に、斧・琴・菊の文字を書いている金田一;

  金田一「斧・琴・菊・・・菊が佐武で、琴が佐智・・・斧は・・・」
  橘  「佐清!犯人はやはり珠代と猿蔵!」
  金田一「そうなんですかねぇ」
  橘  「なんですか!頼りない名探偵ですなぁ」
  金田一「はぁ。すみません」
  橘  「おい!さっさと縄を解いて調べてみろ!」
  刑事 「はい」
  金田一「ああ、ちょっと待って下さい。あの…、縄を解く前にですね、
      よく見ておいて頂きたいんですが、佐智くんの上半身には、こ
      のように一面にかすり傷がついていますよ。これは明らかに縄
      のためについた傷ですよね。これだけのかすり傷ができるため
      には、縄は相当、緩んでないといけないはずなのに、この戒め
      は、この通り、かっちりと佐智君の体に食い込んでいますよ。
      これは一体、どういうわけなんでしょう?」
  橘  「金田一さん、そ、そ、それは、どういう意味かね?」
  金田一「どーいう意味か・・・僕も考えているんですよ」
  橘  「また分かんないんですか?」
  金田一「うーん(頭をかく)」
  橘  「えっ!あんた、本当に本当に名探偵なんですか?!名探偵なら
      こういうとき、びしーーっと」

という橘さんの攻撃をかわして;

  金田一「署長さん、(佐智の)ワイシャツのボタンが一つ、無くなって
      いますねぇ〜」

それが何を意味するのか、さっぱりまだ分からなかった。



那須警察署・署長室

署長室には、橘や金田一だけでなく、松子・竹子・梅子が揃っている。佐智の死因は絞殺で、琴の糸がクビに巻き付いていたと告げると、3姉妹に戦慄が走った。

  竹子 「琴の糸ですって!ああ!そしてこの間は菊だった・・・。松子
      姉さん!」



犬神邸・松子の部屋

橘署長・金田一、そして琴の宮川師匠を前に、琴を一心に琴を引き続ける松子。

  橘  「松子さん。さっきの皆さんのご様子。一体、何があったのか、
      お話頂けませんか?」
  松子 「・・・あ!」

松子は左手の指を押さえた。

  金田一「おや、怪我をしましたね」
  松子 「はあ。今、琴糸が切れた拍子に」
  宮川 「今?」
  金田一「!???」

松子は署長に、他の妹と相談して、話をすると告げる。



犬神邸・大広間

  松子 「それでは、お尋ねに従って私が申し上げます。竹子さん、梅子
      さん、何もかもお話しても構わないでしょうね?」

松子の問いかけに黙って竹子と梅子は頷いた。大広間には、”残った”関係者一同が集まっていた。

松子が皆に向かって、自分たち3姉妹の過去について話し始めた。

3姉妹の母親は、佐兵衛に愛情を注がれるわけではなく、あくまでも道具として離れに飼われていたも同然の扱いで、それぞれ犬神佐兵衛の妾として終わった。だが、佐兵衛が50を過ぎたときに、18〜9の1人の女工 青沼菊乃を愛し、子を宿したと。

  佐清 「!」

佐兵衛は菊乃を正妻として迎えようとしただけでなく、家宝である斧・琴・菊を黙って与えてしまったことから、三姉妹激怒し、菊乃を襲撃。だが、襲われた菊乃は、三姉妹に向かって、こう言った;

  菊乃 『斧・琴・菊…良き事聞くですって?いえいえ、いつまでもお前
      たちに良き事ばかりは聞かせておかぬ。今に、その斧・琴・菊
      が、お前たちの身に報いてくるのじゃ!よく覚えておいで!斧
      はお前で、琴はお前じゃ。そして菊はお前さんじゃ!』

その壮絶な告発に、誰も口を挟むものは居なかった。そばにいる佐清さえも・・・





  『特報 金田一耕助シリーズ第二弾 今秋放送 八つ墓村』
     (シリーズですって〜)


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