プレミアムステージ特別企画 |
展望台 那須湖を臨める展望台。警官2名が先に現場を検証しているところに、橘署長、古舘、そして金田一がやってくる。その床には血溜りが出来ていて、その血溜りは湖に続いていた。佐武がここで殺されたことは間違いない。 橘 「首を切り落として死体の方はこっから投げ込んだ。これは一度、 湖水をさらえてみないかんなぁ」 金田一「署長さん、こんなものが落ちていたんですが・・・」 古舘 「は!」 金田一が見つけたブローチには、古館には思い当たるところがあった・・・ 那須警察署・所長室 警察で、橘署長、金田一らのいるところに、呼び出された珠代。展望台で見つけたブローチは珠代のものだったのだ。珠代はそれは失くした物であると言い、問い詰められた珠代はその経緯について語り始めた。昨晩11時頃、珠代は佐武をこっそり展望台に呼び出し、例の懐中時計を佐武に差し出したと説明する。 金田一「(頭を掻きながら)あっ、と言うことは、あなたは、指紋を取 るために佐清君に時計の修理を依頼したんですか?」 珠代 「違います。偶然、時計の裏側に指紋が残っていただけです」 金田一「・・・あ、すみません」 橘 「それで、佐武くんは?」 珠代はその後のことを語る。時計を受け取り右のポケットにしまった佐武は、立ち去ろうとした珠代を強引に襲おうとしたのだ。そのときにブローチも珠代の胸元から外れたのだが、そこに猿蔵がやってきて、佐武の後頭部を椅子で殴打し、珠代の窮地を救ったのだった。 橘署長も、もちろん、それ以上、話しを聞く必要も無く、珠代は引き上げようとする。最後に金田一が一言; 金田一「あっ。た、た、た、珠代さん。あなたどういう風にお考えでし ょうか?あの仮面を被った人物について、あれを真実の佐清さ んだと思いますか。それとも・・・」 珠代 「・・・・・」 金田一「???」 珠代 「・・・無論、私はあの方を佐清さんだと信じています」 金田一「あ」 そのまま珠代は退室していった。それとちょうど入れ替わりに古舘がやってくる。 古舘 「松子夫人がみなさんに来て頂きたいと仰っているんですが…」 金田一「松子夫人が?」 犬神邸・大広間 上座に松子と佐清が座している。 昨晩と同じ光景ではあるが、今回は犬神家の一族以外の人間である、橘や古館、金田一も同席している。 昨晩は皆が無礼なので手形を拒んだが、佐武が殺されたことで、イジを張っている場合ではない、さらに佐清自らも押すと言ったことから、今回、手形を押すのだと説明する松子。確かに佐清の手に朱墨が塗られ、手形が押された。 同じ頃、湖で、首の無い死体が見つかった・・・ 那須湖畔 金田一がその現場に到着したときには、血みどろのボートが湖畔に停泊していた。そのボートの中に死体は置かれていたようである。 刑事 「死亡推定時刻は午後11時から12時の間。死因は背後から胸部に かけての一突き。凶器は短刀のようなものだと思われます」 金田一「ということは、犯人は短刀と首を切り落とすための日本刀と、 二つの凶器を用意していたということでしょうか?」 橘 「うん、そういうことになるだろうな。」 刑事 「で、犯行後、犯人はこのボートを使って死体を沖まで運んだも のと思われます」 金田一「チョッキのポケットは、探ってご覧になったんでしょうね?ほ ら、珠代さんが渡したという時計…」 刑事 「見つかっておりません」 橘 「そうか、そもそも珠代の話も本当なんだか分からんしな」 そのいくつかの情報を、帽子を押さえながら、思案する金田一。 橘 「しかし犯人は何だってこんな手数の掛かることをするんでしょ うなぁ、金田一さん・・・金田一さん??????」 金田一の姿は既にそこには無かった…。 那須のとある宿(柏屋) 金田一は宿屋の玄関口に座り込み、主人と宿帳を見ながら話しをしている。宿帳には『東京都麹町区三番町二十一番地 無職 山田三平(三十歳)』の文字が書かれている。 金田一「この復員服の山田三平が出て行ったのが午後10時頃。帰ってき たのが夜中の12時頃ですね?」 主人 「へぇ、何となく慌ててたようだったねぇ」 金田一「そのときも、やはり顔を隠して」 主人 「ええ、ええ、ええ。結局、あっしらは一度もその客の顔を見な かったことだでねぇ」 金田一「顔を隠した男が二人」 と言いながら茶でも啜りながら暢気に推理している金田一。そこに; 橘 「オヤジ。ちょっと聞きたい・・・金田一さん!」 と、橘さんもやってくる。 金田一「ああ、橘さん。遅かったですね。もう、大体のことは聞き終わ りましたよ」 橘 「どうしてこんな所にいるんですか!?」 金田一「いや、ボートが乗り捨ててあったということは、誰かが上陸し たってことですよね?どこへ行ったのかなぁ、って見回したら ちょうどここがあったんです。単純なことですよ」 と、また茶を入れながら、橘署長に差し出して; 金田一「どうぞ!」 と、また暢気な…(苦笑)。 那須のとある宿の外 そのまま一通り話しを聞き終えた金田一たちは、外に出てくる; 金田一「復員服の男、復員服の男、復員服の男、顔を隠した・・・」 と、橘とは話もせずに一人で推理を続ける金田一君。 橘 「犬神家の内部の者で、夕べの 8時から10時までの間でアリバイ の無いものはおるか?」 刑事 「へぇ〜、猿蔵です」 橘 「何?他のものは全員、手形の件で奥座敷におりました」 刑事 「なる程。生首を発見したのは猿蔵。佐武に最後に会ったのは珠 代と猿蔵。つまり・・・そうか、犯人はあいつか!」 金田一「分かったんですか?」 橘 「犯人は猿蔵だ!復員服の男に変装して殺したんだよ、あはは(笑)」 と言いながら、橘は車に乗り込もうとするが; 金田一「ちょ、それでは珠代さんの証言は?」 金田一もそれに従い車に乗り込んで; 金田一「佐武君が珠代さんに無礼を働こうとしたときに、猿蔵が飛び出 してきたっていう…?」 橘 「えっ?あああああーーーーーーーーんんんんんんんんんんん。 そうか、二人は共謀しているんだよ。遺産を独り占めにしよう と企む珠代が、猿蔵に命令して殺させている。復員服に化けた のはそいつに罪を着せ、捜査をかく乱する作戦だ!」 そうして、そのまま車は発進した・・・(ああ、このコンビ、もう少し楽しみたひ…(苦笑)) 犬神邸・大広間 佐清の手形の鑑定結果が出た。今からその発表がされようとしており、関係者一同、勢ぞろいしている。 橘 「鑑識課の藤崎君です」 藤崎 「ええ、それでは、鑑定の結果をここで発表させて頂きます。こ の二つの手形は同じもであります。従ってここにいらっしゃる 方は、佐清さん語本人に違いありません」 結果が出た。その発表に何とも言えぬ表情を示す一族と、安堵の表情の松子。 金田一「?」 加えて、そのとき、何かを言おうとする珠代。 金田一「???」 自分達へのあらぬ嫌疑も晴れたと言い切って、松子と佐清は座敷を出て行こうとしたとき、再び珠代が何かを口にしようとした。 金田一「?????」 その一連の一族の解せぬ反応に、金田一はまたもや頭をぼりぼりかきむしるのだった。 犬神邸・松子の部屋 佐清と部屋で二人っきりになった松子は、佐清に「許しておくれ」と詫びを言う。自身も内心は佐清が別人ではないかと疑ってしまっていたのだと。 松子 「やっと、やっと帰ってきてくれた我が子を疑うなんて…」 犬神邸・廊下 一方で、小夜子は珠代に敵意を示す。 小夜子「あの化け物と一緒になればいいのよ。あなたが佐智さんを選ん だら、私、あなたを殺す。殺してやる・・・」 そう言った直後、お腹を押さえてうずくまる小夜子。「ひょっとして赤ちゃんが?」と寄り添う珠代を振り切って、小夜子は去っていく。で、その様子を影から見ている佐智(って、不気味なんだな(苦笑)) 那須湖畔 一人、傷心の珠代。そこに佐智がやってきて、「泣いている姿も素敵ですね」などと声をかけてみるが無視され、珠代が立去ろうとしたところ、強引に珠代を薬で眠らせ、そのままボートに乗せた。 那須湖畔の空き家 眠っている珠代を2階の一室に運ぶ佐智。 そこに、顔を隠した復員服の男の影が・・・珠代をベッドに寝かせ、シャツを脱ぐ佐智だったが、目の前に顔を隠した復員服の男が現れる。佐智絶叫・・・ 犬神邸 電話のベルが鳴るり、それを取る猿蔵。 『珠代さんは、今、豊畑村のあき屋敷にいます。早く迎えに行ってあげなさい』 (恐らく日が替わって)ベッドで目を覚ます珠代。そこは先程の空き家ではなく自分の部屋。枕元には; 『佐智君は失敗した。珠代さんは 現在でも今までと変わりなく 純潔であることを証明す。 影の人』 とのメモが置かれている。 不思議に思いつつ珠代が起きてくると、小夜子が佐智が「昨晩から見当たらない」と騒いでいた。橘署長が言うには、猿蔵が知っているようだが、珠代の許しがないと絶対に言えないと頑張っているらしい。 珠代 「猿蔵。佐智さんはどこにいるの?」 猿蔵 「あいつはまだ部屋にいるだろうよ。おら何も、あいつまで連れ てけーる義理はねぇからな」 金田一「あの部屋って?」 猿蔵 「豊畑村の空き屋敷だよ。半分、裸で縛られて、猿ぐつわ嵌めら れたまま」 金田一「猿蔵さん、君が縛り上げたの?」 猿蔵 「いや、おらじゃねぇ、おらじゃねぇさ。最初っから縛られてい たのさ。出かけにうんとでっけービンタを1つくらわせてやっ たやっただね」 梅子 「!だれか行って、あの子を助けてあげて!!」 那須湖畔の空き家 金田一達がそこに到着したときには、佐智は椅子に縛られたまま死んでいた。 刑事 「し、死んでる」 小夜子「いやーーーーーーーーー(卒倒)」 そうして、佐智の首筋には; 金田一「琴の糸だ・・・」 警察が現場検証をしている間、自らの手帳に、斧・琴・菊の文字を書いている金田一; 金田一「斧・琴・菊・・・菊が佐武で、琴が佐智・・・斧は・・・」 橘 「佐清!犯人はやはり珠代と猿蔵!」 金田一「そうなんですかねぇ」 橘 「なんですか!頼りない名探偵ですなぁ」 金田一「はぁ。すみません」 橘 「おい!さっさと縄を解いて調べてみろ!」 刑事 「はい」 金田一「ああ、ちょっと待って下さい。あの…、縄を解く前にですね、 よく見ておいて頂きたいんですが、佐智くんの上半身には、こ のように一面にかすり傷がついていますよ。これは明らかに縄 のためについた傷ですよね。これだけのかすり傷ができるため には、縄は相当、緩んでないといけないはずなのに、この戒め は、この通り、かっちりと佐智君の体に食い込んでいますよ。 これは一体、どういうわけなんでしょう?」 橘 「金田一さん、そ、そ、それは、どういう意味かね?」 金田一「どーいう意味か・・・僕も考えているんですよ」 橘 「また分かんないんですか?」 金田一「うーん(頭をかく)」 橘 「えっ!あんた、本当に本当に名探偵なんですか?!名探偵なら こういうとき、びしーーっと」 という橘さんの攻撃をかわして; 金田一「署長さん、(佐智の)ワイシャツのボタンが一つ、無くなって いますねぇ〜」 それが何を意味するのか、さっぱりまだ分からなかった。 那須警察署・署長室 署長室には、橘や金田一だけでなく、松子・竹子・梅子が揃っている。佐智の死因は絞殺で、琴の糸がクビに巻き付いていたと告げると、3姉妹に戦慄が走った。 竹子 「琴の糸ですって!ああ!そしてこの間は菊だった・・・。松子 姉さん!」 犬神邸・松子の部屋 橘署長・金田一、そして琴の宮川師匠を前に、琴を一心に琴を引き続ける松子。 橘 「松子さん。さっきの皆さんのご様子。一体、何があったのか、 お話頂けませんか?」 松子 「・・・あ!」 松子は左手の指を押さえた。 金田一「おや、怪我をしましたね」 松子 「はあ。今、琴糸が切れた拍子に」 宮川 「今?」 金田一「!???」 松子は署長に、他の妹と相談して、話をすると告げる。 犬神邸・大広間 松子 「それでは、お尋ねに従って私が申し上げます。竹子さん、梅子 さん、何もかもお話しても構わないでしょうね?」 松子の問いかけに黙って竹子と梅子は頷いた。大広間には、”残った”関係者一同が集まっていた。 松子が皆に向かって、自分たち3姉妹の過去について話し始めた。 3姉妹の母親は、佐兵衛に愛情を注がれるわけではなく、あくまでも道具として離れに飼われていたも同然の扱いで、それぞれ犬神佐兵衛の妾として終わった。だが、佐兵衛が50を過ぎたときに、18〜9の1人の女工 青沼菊乃を愛し、子を宿したと。 佐清 「!」 佐兵衛は菊乃を正妻として迎えようとしただけでなく、家宝である斧・琴・菊を黙って与えてしまったことから、三姉妹激怒し、菊乃を襲撃。だが、襲われた菊乃は、三姉妹に向かって、こう言った; 菊乃 『斧・琴・菊…良き事聞くですって?いえいえ、いつまでもお前 たちに良き事ばかりは聞かせておかぬ。今に、その斧・琴・菊 が、お前たちの身に報いてくるのじゃ!よく覚えておいで!斧 はお前で、琴はお前じゃ。そして菊はお前さんじゃ!』 その壮絶な告発に、誰も口を挟むものは居なかった。そばにいる佐清さえも・・・ 『特報 金田一耕助シリーズ第二弾 今秋放送 八つ墓村』 (シリーズですって〜) |