2000年8月放送分


放送日 ゲスト ゲスト解説
8/25放送分 須藤玲子 テキスタイル・アーティスト
8/18放送分 elliott メッセージ性とメロディラインで注目を浴びるバンド
8/11放送分 女性ヴォーカル,独特な世界観を持つ14才の女性
8/4放送分 Cymbals 男性のドラム,男性のベース,女性のボーカルから成るバンド


2000年8月25日放送分 ホームに戻る

◆オープニング◆

真っ赤なオープンカーを運転するキュレーター稲垣吾郎。ガードレール沿いをを走るオープンカーの映像に吾郎氏のナレーションが被る。

   〜僕はどうしようもなくつまらない人間だ。
    でも、そんな僕でもアートは優しく抱いてくれる。
    だから、僕を感じさせてくれるアートを探すために今日も走る。〜

  吾郎 「『何度も車がぶつかるガードレール』。なんてアートなんだ」

◆アートワークハウスにて◆

  吾郎 「で、あるんだろうね?僕を感じさせてくれるアートは。」
  支配人「もちろんでございます。当店お勧めアート、感じて下さい。」

と、ショーケースに登場したのは白いスリーピースに蝶ネクタイの男性。「久しブリーフ!十年に一人、ダンディーです。」で、自分で笑ってます。「ダンディー、この自慢の大きな身体を利用して来年K-1デビューしようと思うんだ。リングネームはダンディ・フグ。」(収録したのしばらく前なんでしょうね…。)

  吾郎 「私の辞書にはない。」

「おやすまなさい。」と言いながら流されてゆく、ダンディー坂野でした。

  支配人「こちらはいかがございますか?」

と示すショーケース内部には、様々な素材に様々な技法が施されてそれぞれ質感の異なる布が4枚ほど飾られています。

  リリー「吾郎さんは初めて女性の部屋に行った時に、電話とかティッシュの箱とか
      ドアノブとかにカバーがかかってるのを見たらどう思います?」
  吾郎 「掃除が大変そう。
  リリー「僕ちょっとダメなんですよ。」
  吾郎 「なんでダメなんですか?」
  リリー「妙に女し過ぎてて。ティッシュ出すとこの横のフリルとかね。」
  吾郎 「ああ。」
  リリー「でもそのカバーの素材が他のものであれば、もっとセクシーになったり
      ファッショナブルになるのではないか、と。」

吾郎氏、指を鳴らして「その通り!」

☆本日のゲスト:須藤玲子(すどうれいこ)

今もっとも注目されているテキスタイル・アーティスト。斬新なアイデアと最新の技術を駆使し、芸術性の高い布づくりを行い、海外でもその芸術性が高く評価されている。1953年生まれ。

  吾郎 「『テキスタイル』と言う言葉自体、意味のわからない方も多いと
      思うんですけれども。
      僕もわからないんですけど、一言で言うとどういった…?」
  須藤 「『布』って言う意味で、例えば織物とか染め物とか編み物とか
      全部『テキスタイル』です。」
  吾郎 「これもそうですね。」

と自分の着ている衣装のそでを引っ張ってみせます。

  須藤 「そうですね、テキスタイル。」

テーブルの上には須藤さんの作品が並べられています。

  須藤 「触ってみて下さい。」

で、吾郎氏がまず手を伸ばしたのは細長い形の布地。

  吾郎 「こちらはネクタイ?」

と手にするとほろほろとほどけるように広がります。

  吾郎 「あ、ネクタイじゃないですね。あれ?あれ?あれ?」

畳まれていた部分が現れ、幅広のストール状になりました。

  須藤 「メンバーの一人が折り紙で遊ぶのが好きで、それをデザインの
      アイデアにして作ったものなんです。」

  吾郎 「あ、これまたなんか触り心地が…。」

と次に手にした布には無数の円の模様がプリントされています。

  須藤 「わかりますよね?これ輪ゴムをイメージして作ったんですけど。」
  吾郎 「え?輪ゴムをつけたんですか、これ?あ、イメージか。」(^^;)

本の上にのっかっていた輪ゴムが古びてくっついてる、それが結構きれいだったり。そんな感じを布にしてみたいと思い、作った作品だそうです。

「で、こちらが…。」と立ち上がって銀色に光る布に手を延ばした吾郎氏、指が触れた瞬間「あ!これ面白い!」と目を輝かせます。

  吾郎 「何これ!触ってみて!へんなの!
      (完全に吾郎少年になってます(^^;))
  支配人「不思議だな、これは。不思議な感触。」
  吾郎 「なんかヌメヌメっとした…。なんだろ、これ?」
  須藤 「ステンレスなんですよ。」
  吾郎 「え?ステンレス!?」(いつの間にかソファのひじ掛け部分に腰掛けてるし
  リリー「流し台のステンレスですね。」

自動車の部品にメッキする「スパッタリング」と言う技法を施したものだそうで、ステンレスを生地に吹きつけたものです。

  リリー「洋服作りたいと言う若者が増えてますが、
      形よりも素材に注目してらっしゃるわけですよね?
      ここから何かを作るってものはないんですか?」
  須藤 「こんな生地にしたいなというものができれば、あとはどんなふうに
      使われてもかまわないんですよね。

     (この会話の間、ひたすら作品の布を畳んできれいにテーブルに並べる吾郎さん)
  リリー「これだけ手をかけて作ったもんですからね。
      一生懸命握ったお寿司をジャムつけて食われたらヤじゃないですか。」
  吾郎 「そう!そうだね。職人として、やっぱりアーティストとして。」

そういう人もいるでしょうけど、須藤さんはあくまでもテキスタイルを作っているので「布って変わっていったり色々な使われ方をされるのが大事」と思っているのです。

  吾郎 「もういろんなふうに変化して、いろんな人にそれぞれの使い方で…。」
  須藤 「もう何になってもいいと思ってるんです。」
  吾郎 「それが逆にこだわりと言うか…。」

ここで須藤さんから稲垣キュレーターにプレゼントが。

  須藤 「いつも白いスカーフしてますよね、今日はしてらっしゃらないけど。
     (前の衣装の時のですね。)
  吾郎 「ええ、もうあいつとは絶縁したんですよ」(ぜ、絶縁…?)

「じゃあちょうど良かったかしら?」と言いながら須藤さん、スカーフ(マフラー?)を吾郎さんの首に巻きます。グレーの柔らかそうな生地にところどころ異なった素材が入ったアートな感じのものです。吾郎氏、髪をかきあげてポーズ(^^)。

  支配人「いいんじゃないですか」
  リリー「うん。『ゲージツ家のクマさん』みたいな…。」(^^;)

そして最後に須藤さんにとってアートとは何かを訊ねます。

  須藤 「いろんな限界を超えるって言うことだと思います。」

本来なら布には使わない自動車の塗装技術を使うとか、超えていくこと、そのプロセスだそうです。

そしてお約束の照明ダウン。

  吾郎 「こんな須藤さんのアートを、僕の身体が欲しがっています。」

  そして吾郎氏の愛車にみんなで乗り込み、須藤さんのアートスペースに向かいます。後部座席で揺れている支配人とリリー氏を振り返り「なんか後ろの方がやけに動くような気がする」とおっしゃる須藤さん。急に大きく左右に動き出す吾郎氏に「それ変じゃありません?」

アトリエに到着。

  須藤 「ここで大体、生地の下準備をしてこの後工場で最後の仕上げをするんです。」

作業台の上には折り目のついた台紙。その上に薄い布地を乗せ、またその上に同じ台紙を重ねていきます。

  吾郎 「これはスタジオで見せていただいた、折り紙をイメージした作品ですね。」

台紙の両端に一人づつ立ち、二人がかりで台紙と布地を合わせていきます。

  吾郎 「いつもお二人で?」
  須藤 「二人でやらないと型がうまく入らないんで。こんな感じで全部手で。」

続いて工場を見せてもらいます。大型のプレス機に型紙に挟まれた布がセットされています。

  須藤 「さっきアトリエで折った布に転写紙をかぶせて今から熱をかけます。」
  吾郎 「その転写紙には色がついてるんですか?」
  須藤 「色がついるんです、ほら。」

布に接する面はワインレッドです。そして185℃の熱を40秒間あてると転写紙の色が布に移るのです。熱転写が済み、プレス機から出てきた布はきれいなワインレッドに染まっていました。

  吾郎 「今日は色々とありがとうございました。
      今度僕の衣装のテキスタイルをお願いしますね。
      お仕事頑張って下さい。」

◆帰り道◆

愛車の真っ赤なオープンカーを駆る稲垣キュレーター。後部座席では支配人が何やらおいしそうに食べています。

◆稲垣芸術館にて◆

  吾郎 「それではここで、我が稲垣芸術館が所有するグレートミュージックを
      紹介しましょう。」

今回のグレートミュージック:「マリアンヌ」1983年 BY ジャッキー・チェン

  支配人「ジャッキーがミュージシャン?知りませんでした。さすが!稲垣様。」
  リリー「この曲はほとんどの方が知らないと思うんですが、
      作詞作曲は五輪真弓さんでその当時初登場28位。
      28位しかいかなかったのか、よく28位までいったのか。
      さすがに微妙な、いい作品をお持ちですね。」(^^;)
  吾郎 「それにしても日本語で歌うジャッキー。なんてアートなんだ。」

     「本日、我が稲垣芸術館に増えたアートは、
    テキスタイルは作業工程のアートだとする『須藤玲子のアートワーク』。」

   「今日もまたアートとセッ○スしてしまいました。
    稲垣芸術館、開館まであと450日。」

◆エンディング◆

愛車を駆る稲垣キュレーター。

   「『まったく人気のないホスト』。なんてアートなんだ。」


2000年8月18日放送分 ホームに戻る

◆オープニング◆

真っ赤なオープンカーを運転するキュレーター稲垣吾郎。住宅街を走るオープンカーの映像に吾郎氏のナレーションが被る。

   〜僕はどうしようもなくつまらない人間だ。
    でも、そんな僕でもアートは優しく抱いてくれる。
    だから、僕を感じさせてくれるアートを探すために今日も走る。〜

  吾郎 「『必要以上に猫よけペットボトルを置いている家』。なんてアートなんだ。」

◆アートサウンドハウスにて◆

今回は、新作スタンドカラーのスーツのボタンを二つくらい外してる稲垣キュレーター。ちらっと胸元がのぞいています。(*^^*)

  吾郎 「で、あるんだろうね?僕を感じさせてくれるアートは!」
  支配人「もちろんですとも。ね、パンチ。」
  パンチ「あ、はい。吾郎さん、当店のアート、感じて下さい。」

と、ショーケースに登場したのは、カジュアルな服装の男性二人。手に持った小型ラジカセから音楽が流れます。「みなさんこんにちわ、美女マシーンの時間です。今日は僕達のお母さんのことを紹介します。」

  男性A「僕のお母さんはスポーツが好き。」
  男性B「うちのおかんはスポーツ刈り。」
  男性A「僕のお母さんはおしゃれなブローチをよくつけています。」
  男性B「うちのおかんは肩によくセミがとまっています。」

首を振る吾郎氏、「…感じない。」
  男性A「うちのお母さんはパソコンを使って仕事をしま…」

オチの前に流されて行ってしまいました…。(ちょっとオチ聞きたかったなあ。)

パンチ氏の「次のアートはどうですか?」の声とともに登場したのは、デニムシャツにキャップと言う少年ぽいいでたちの女性一人。

  吾郎 「かなり感じる。」

☆本日のゲスト:elliott(エリオット)

プロデューサー小林武史氏の目にとまり、Mr.Childrenのアルバムにバック・ボーカルとして参加。その後ユニットを結成し、そのメッセージ性とメロディラインで注目を浴びる。

  吾郎 「『エリオット』と言うのはそもそもはユニット名ですね。由来と言うのは?」
  TOMOKO「映画『E.T.』の…。」
  吾郎 「これですね。」と指と指を合わせる仕種。(ちょっと「催眠」ぽい(*^^*))
  TOMOKO「あの男の子の名前からとったんですけど。」
  吾郎 「あの少年、エリオットでしたっけ?」

『E.T.』が好きだったTOMOKOさん、ソロ・ユニットを作ることになった時に好きなものを名前にしたいと思ったことと、書いている詩が少年性を追求しているものが多かったので、この名前をつけたそうです。

  吾郎 「曲はおいくつの時から作ってるんですか?」

家にピアノがあったTOMOKOさんは、2歳くらいの時から耳で聞いた音楽に合わせて指で鍵盤を叩き、それに言葉を乗せてゆく遊びが好きだったそうです。

  吾郎 「♪お母さん今日は晩御飯なあに〜♪みたいな。」
  TOMOKO「そう、♪食べたいな〜♪くらいの。」
  吾郎 「♪お風呂にするの食事にしますか〜♪」
  TOMOKO「そこまではあれですけど。」
  パンチ「♪それとも寝る〜?♪」(^^;)

今回歌ってくれる曲のタイトルは「物語じゃないんだ」。日々届けられる膨大な情報の中で、凄惨な事件のニュースを聞いても「まただよ」と流 してしまう自分達もある意味加害者なのかもしれない、本来、死はすごく悲しい大きなことのはずなのに、そこで起きていることは物語じゃなく現実なのに、といった内容の詩です。

この曲を作るきっかけとなったのは、夜中にテレビで戦争の映像を見て「何の映画だろう?面白そうだな」と思ったら本当の内戦の映像だったことでした。

  吾郎 「その時どう思いました?自分で。」
  TOMOKO「『まずい人間』だなと。戦争とか面白がってるんだ私って、と。」

映画みたいなことが現実に起きていて、それを映画みたいに感じて流してる自分がいるってところから題名をつけたそうです。

  TOMOKO「自分もその共犯者として…。」
  吾郎 「共犯者?そういうふうに思うことが共犯者ってことですか?」
  TOMOKO「ニュースを見て『ああまたか』って思っちゃってる自分がね。
      一つ一つに痛い感じにならないで『また亡くなったんだ〜』とか。」
  吾郎 「『また』って言いますよね。最近のニュース見ると。
      面白がってはいないんだけど心は痛いんだけど『またかー』って出ちゃう。」
  TOMOKO「それが怖いなと思って。」

そこでこの詩を書くことによって忘れないようにしようと思ったそうです。歌の題材は普通に生きてることでたくさんあるとおっしゃいます。テレビを見ていてもそうだし、人と会えばまた書きたくなるのです。

  吾郎 「自分にとって歌うってことはどういうことなんでしょうね?」
  TOMOKO「自分に対して印をつけていくみたいな感じがします。」
  吾郎 「聞いてくれる人のことも意識しますか?」
  TOMOKO「『少しは』意識しますね。」

それだけでは人を刺してしまうようなキツイ言葉を、どれだけ傷付かないようにメロディでうまく包めるかということにすごくこだわっているそうです。

  TOMOKO「イタイ言葉を作っている時ほど優しいメロディを考えたりとか。」

そして照明が落ち、

  吾郎 「こんな『elliottの歌』を、僕の身体が欲しがっています。」

と言うことで、elliottの演奏が始まります。

elliott:「物語じゃないんだ」
(スタンドマイクの前には椅子に腰掛けたTOMOKOさん。少し離れた後方にはアコースティックギターを弾く2人の男性。歌詞にはすごくつらい言葉が連なりますが、メロディは休日の朝に似合いそうな、まどろんじゃいそうな感じです。)

◆帰り道◆

愛車の真っ赤なオープンカーを走らせる稲垣キュレーター。「物語じゃないんだ」を歌いながらドライブです。

◆稲垣芸術館にて◆

  吾郎 「それではここで、我が稲垣芸術館が所有するグレートアートを紹介しよう」

今回のグレートアート:「古代エジプト『ツタンカーメンの黄金のマスク』」

  吾郎 「亡くなったツタンカーメン王の死に顔を隠すべく作られた黄金のマスク。
      そのまばゆいばかりの輝き、無駄とも思える豪華さ。まるで紅白歌合戦の
      小林幸子の衣装に勝るとも劣らない。なんてアートなんだ。」

   「本日、我が稲垣芸術館に増えたアートは、社会的なメッセージを美しい
    メロディに乗せて歌う『elliottのサウンド』。」

   「今日もまたアートとセッ○スしちゃいました。
    稲垣芸術館、開館まであと455日。」

◆エンディング◆

愛車を駆る稲垣キュレーター。

   「『三原じゅん子のお腹にミニコアラ誕生』。なんてアートなんだ。」

◆稲垣芸術館所蔵アーティストの近況報告◆

6/16放送「八谷和彦氏」(ポスペ開発者);石油が枯渇した際の自動車の代替品として馬はどうかと考え、馬を主な交通手段としているモンゴルへ出向いてその生活を体験されたそうです。

6/23放送「くるり」(バンド);出光のCMに曲が使われてます。


2000年8月11日放送分 ホームに戻る

◆オープニング◆

真っ赤なオープンカーを運転するキュレーター稲垣吾郎。商店街(?)を走るオープンカーの映像に吾郎氏のナレーションが被る。

   〜僕はどうしようもなくつまらない人間だ。
    でも、そんな僕でもアートは優しく抱いてくれる。
    だから、僕を感じさせてくれるアートを探すために今日も走る。〜

  吾郎 「『あまりにも汚すぎてホコリで落書きされている車。』
      なんてアートなんだ。」

◆アートワークハウスにて◆

  吾郎 「で、あるんだろうね?僕を感じさせてくれるアートは。」
  支配人「もちろんでございます。当店お勧めのアート、感じて下さい。」

と、ショーケースに登場した男性2人組。以前「笑っていいとも」にも出演していた「あさりど」です。1人が「宇多田ヒカルのヒゲダンス!」と紹介すると相方が「AUTOMATIC」を歌い出します。腰を落としてリズムを取ってたのが、いつの間にかヒゲダンスに。口ずさむのはもちろん「ターララララーラーララーラー♪」。

  吾郎 「残念だが…。私の性に合わないアートだ。」

「続きまして宇多田ヒカルのバスケットボール!」と言いながら流されてゆく、あさりどのお二人でした。

  支配人「では、こちらのアートはいかがですか?」

と示すショーケース内部の白い壁全体には、女の子らしい丸文字が縦横無尽に踊っています。

  吾郎 「ん?」
  支配人「こちらのアートはポエティック・シンガー『螢』の詩でございます。
      弱冠14才にして彼女はこのような詩にメロディをつけ歌っているのです。
      アートの作者である『螢』に来ていただきました。どうぞ!」

とショーケースが移動し、そこには14才の少女の姿が…、ありません。

  支配人「さっきはいたんですけどね…。」

吾郎氏や支配人たちが振り返ってみると、その背後に、デニムっぽいジャケットにスカートと言うごく普通の少女らしい服装をした螢ちゃんが立っているのでした。
  吾郎 「あれ?」

☆本日のゲスト:螢(ほたる)

ノートに赤いペンで書き溜めていた詩がプロデューサーの目にとまり、13才でインディーズから詩のアルバムを発表し、小劇場にこだわったライブを披露。その独特な詩、世界観が同世代に支持されている。

  支配人「稲垣様、螢さんに何かお尋ねしたいことがあれば。」
  吾郎 「はい。あれ?結構、端に座られて…。」

いつもゲストの方が座られるソファの一番はじっこ、吾郎氏から最も遠い位置にちょこんと座っている螢ちゃんに戸惑い気味の吾郎氏。

  吾郎 「近くの方がしゃべりやすいんで、もうちょっと。」
  螢  「…ここでいい。」

そっか、じゃあとりあえずそこで、はい。」ってことで自分を納得させる吾郎氏、ちょっとたじたじ(^^;)。

  吾郎 「『螢』って言う名前はどういった理由でつけたんでしょうか?」
  螢  「私は小さい光を伝えたいから。」
  吾郎 「とても合ってるよね、螢って言う文字の感じとか言葉の響きと存在が。
      自分もきっと螢なんじゃないかな。」

すかさずリリー氏、眼鏡を拭きながら。

  リリー「そうですよ。そういう名前ですから。」(^^;)

  吾郎 「そこ(ショーケース)にも詩があるんだけど、
      その照明のところに書いてある『大切なココロ』ってのが
      僕はすごく好きだっ…」
  螢  「大切ココロ。」
  吾郎 「あ、『な』はないもんね。『大切ココロ』だった。」(^^;)

現在14才の螢ちゃん、気がついた時には詩を書いていたそうで。

  吾郎 「詩を書く時は映像って言うか書きたいことが頭に浮かんで、
      それが言葉になるの?」
  螢  「私は自分で絵も描くんだけど、そういうのも全部イメージ。」

こんなことも聞いてみます。

  吾郎 「僕のこと知ってる?
  螢  「名前は知ってる。」
  吾郎 「結構おしゃべりでしょ?イメージより。
  螢  「…。」
  吾郎 「うるさい?

そんな吾郎氏にリリー氏から一言。

  リリー「今日はよくしゃべりますね。」(^^;)

古いものをよく探しに行くと言う螢ちゃん。

  吾郎 「例えばどういうもの?」
  螢  「古い風の匂いがするもの。」
  リリー「うちのばあちゃんちのタンスとか結構古い匂いがしますよ。」(笑)

今度はリリー氏から質問してみます。螢ちゃんの詩の中には『アナタ』と言う自分以外の人間の存在を示す言葉も登場しますが、人とのコミュニケーションは取りたいと考えている?それとも取りたくない?

  螢  「割と一人でいるのが好きなんだけど、人間は好き。」
  リリー「やっぱりいろいろ話してみないとね。」
  吾郎 「結構楽しいよね?」
  螢  「…。」

反対の方向を見つめたまま沈黙の螢ちゃんです。
ここで支配人がトークを締めようとし、照明も落ちてキュレーターの決めゼリフを待ち ますが…。

  吾郎 「いやいや、まだ終わってませんよ。

と螢ちゃんにこれからやりたいことを尋ねます。螢ちゃんの答えは「旅。」

  リリー「一日も早く行った方がいい。
      今この感受性のまま外国にどんどん行くべきでしょう。」
  吾郎 「そうだね。すごい吸収力でしょう。
      そしてまた何年かした後に話を聞きたいですね。」

そしてもう一度照明が落ち、今度こそ。

  吾郎 「こんなアートな『螢の詩』、僕の身体が欲しがっています。」

螢:「カゼドケイ」
(普通の女の子っぽいデニムのスカートから着物に着替えた螢ちゃん。不思議な印象と相まって巫女さんのイメージです。歌うというよりは音楽に合わせて詩を朗読していると言った感じ。番組公式HPに「イカ天を思い出した」と書かれていた方がいましたが、ちょうどその年代の私にもそんな風に思えました。)

◆帰り道◆

愛車の真っ赤なオープンカーを駆る稲垣キュレーター。後部座席では支配人がリリー氏の眼鏡を取り上げ、取り返そうとするリリー氏ともみ合っています。

◆稲垣芸術館にて◆

  吾郎 「それではここで、我が稲垣芸術館が所有するグレートミュージック
      をご紹介しましょう。」

今回のグレートミュージック:「シティ・コネクション」1981年 BY エマニエル坊や

  支配人「素晴らしい!稲垣様。」
  リリー「この当時、日本はエマニエル・ブームで、坊やでも夫人でも
      『エマニエル』がつけば流行っていたんですよね。」(^^;)

     「本日、我が稲垣芸術館に増えたアートは、
    生きていることがアートな『螢のアートワーク』。」

   「今日もまたアートとセッ○スしてしまいました。
    稲垣芸術館、開館まであと460日。」

◆エンディング◆

愛車を駆る稲垣キュレーター。

   「『異常にペン回しがうまいサラリーマン』。なんてアートなんだ。」


2000年8月4日放送分 ホームに戻る

◆オープニング◆

真っ赤なオープンカーを運転するキュレーター稲垣吾郎。住宅街を走るオープンカーの映像に吾郎氏のナレーションが被る。

   〜僕はどうしようもなくつまらない人間だ。
    でも、そんな僕でもアートは優しく抱いてくれる。
    だから、僕を感じさせてくれるアートを探すために今日も走る。〜

  吾郎 「『燃えるゴミの日に出した為に収集車に持って行かれなかった燃えないゴミ』
      なんてアートなんだ。」

◆アートサウンドハウスにて

  吾郎 「で、あるんだろうね?僕を感じさせてくれるアートは。」
  支配人「もちろんです。ね、パンチ。ねっ?」
  パンチ「はい。吾郎さん、本日のアート御覧下さい。どうぞ。」

と、ショーケースに登場したのは、カッパのカツラを被ったジャージ姿の男性。「はじめまして、カッパ・グレイシーです。天竜川から来ました。」ときゅうりを取り出し、タバコの要領で吸っています。「正直まだシドニーあきらめてません。バタフライで。」と言ったかと思うとペットボ トルを頭の上にかかげ、「あ〜」と叫び声をあげながら頭のお皿に水を掛け始めます。そしてお酒の『黄桜』のCMソングをハミングし「ちょっといい気持ちぃ〜♪」で締めました。
吾郎氏、すまなそうな顔で:

  吾郎 「僕には、ないなぁ…。

叫びながら流されてゆく、カッパさんでした。

パンチ氏の「続きましてのアートはどうですか?」の声とともに登場したのは、ちょっと50年代ぽい水玉模様のワンピースを着た女性一人に男性が二名。男性のうち一人はマッシュルームカットです。

  吾郎 「ん?かなり感じる。」

☆本日のゲストCymbals(シンバルズ)

男性のドラム、男性のベース、女性のボーカルの3人から成り、一見キュートだが小悪魔的なセンスを持つ、2000年の東京を密かに代表するポップ・バンド。

  吾郎 「『シンバルズ』って言うバンド名の由来はドラムのシンバルからですか?」

と尋ねる吾郎氏に、ドラムの沖井さんの答えは

  沖井 「ドラムのシンバルと言うより、こっちの(オーケストラの)方の
      シンバルからですね。」
  吾郎 「ドヴォルザークですね。
     (こういうのがさらっと出てくるあたりに弱いんです、私(*^^*)。)

でもシンバルそのものと言うより字面に惹かれたそうです。yがCに食い込んでる感じがいいな、と。

  吾郎 「お三方はポップな印象ですね。
      ビジュアル的にもそうだし話した感じでも。」
  沖井 「バンド名も字面を何より大事に思ってるとかね。」

一度聞いたら忘れないことや字面が覚えやすいってことを気にしたバンド名がすでにポップであるようにと言う気持ちの表れだそうです。

  パンチ「『ポップ』って本当のところはどういう意味なんですか?」

普通大量生産されたものは芸術という目では見られませんが、見方を変えて大量に作ることのかっこよさ、作りもの感のかっこよさを追求するのがポップアートだと語ります。

  吾郎 「『ポップ』って言われてみると難しいですよね。ポピュラリティ
      (大衆性)=ポップだったり、ポップコーンのポップ、はじける
      って意味だったり、いろんな使い方があって。」
  沖井 「『ポップ』って言う言葉の持つ大義的な印象を取り込めていけたら
      いいなと思いますけど。」
  吾郎 「見てる人達の『ポップ』って言葉に対する印象と自分達の『ポップ』
      を近くに持って行きたいと?」
  沖井 「そうですね。」
  吾郎 「じゃあかなり『ポップ』って言葉に関してはこだわりがあるんですね。」
  沖井 「無意識的に意識してたんでしょうね。『ポップとは』とか考えて
      集まったわけではないけど。」
  土岐 「なんとなくこの3人は、音楽性と言うよりモノの感じ方が似てる
      ところで集まったって感じで。」

シンバルズの3人が最も影響を受けたポップ・アーティストは『モンキーズ』。オーディションで集まって作られたモンキーズは、ポップ史上最大のプロジェクトでした。シンバルズはそれを個人レベルでやっているのです。たとえばボーカルの土岐麻子さん。個人の土岐麻子とシンバルズの土岐麻子は別モノ。3人でいる時は「シンバルズの土岐麻子」をねつ造しているのです。

  吾郎 「変な言い方ですけど『ポップ』って計算だとか意識的なものじゃないですか。
      自然に成り立つものではなく、20世紀以降のものですよね。
      そういった意味では戦略家なんじゃないですか、結構。」
  沖井 「まあペ−ぺ−ですけど。末席にでも加えていただければ。」
  吾郎 「『ぺ−ペ−』ってポップですね。」
  沖井 「『P』が2つもありますからね。」

  吾郎 「こんなポップな『シンバルズのサウンド』、僕の身体が欲しがっています。」
と言うことで、シンバルズの演奏が始まります。

Cymbals:「Highwaystar,Speedstar」
(とっても『ピチカート・ファイブ』な感じです。ボーカルの土岐さんはオードリー風のお帽子に手袋、黒のスレンダーなワンピース。男性陣はシンプルなシャツとスリムなパンツと言ったいでたちです)。演奏開始とともにベースの沖井さんは持っていたギターを床に叩きつけて壊します(これってポップ?)。演奏の終わりにはドラムの矢野さんがドラムセットを蹴り倒してます(これってポップ?)。

◆帰り道◆

愛車の真っ赤なオープンカーを駆る稲垣キュレーター。右手に持ったギターの破片をまじまじ見つめています。(だから〜、運転中だってば。(笑))

◆稲垣芸術館にて◆

  吾郎 「それではここで、我が稲垣芸術館が所有するグレートアートを紹介しよう。」

今回のグレートアート:「写楽の役者絵『奴江戸兵衛』」

  吾郎 「写楽が残した数多くの役者絵の中でも、特にうまく静の中に動が
      表現された作品。この躍動感、このポーズ。
      まるで『ダチョウ倶楽部のヤー』に勝るとも劣らない。」

     「本日、我が稲垣芸術館に増えたアートは、
    戦略的なアートを追求する『シンバルズのサウンド』。」

   「今日もまたアートとセッ○スしてしまいました。
    稲垣芸術館、開館まであと465日。」

◆エンディング◆

愛車を駆る稲垣キュレーター。

   「『改名ばかりする芸能人』。なんてアートなんだ。」


7月分へ6月分へ

ホームに戻る