小てつのよも山話(No.105)
「禁断のインプレッション 靴編 その後」

ブナ林を楽しむ / 大御影山


2017年3月15日(水)            小てつ






 2014年1月によもやま話で「禁断のインプレッション 靴編」を、恐れ多くも書かせていただいた。

 ← 「禁断のインプレッション 靴編」。


 今回はその後の経過について。

 小てつ愛用のローバータホー、2011年1月に購入し6年以上が経過した。購入してすぐに新シリーズのタホープロが出て、「何か騙された感じ・・」と思いもしたが、どんな不具合が出るかわからない新商品よりもいいかと納得して、せっせと手入れもして使ってきた。

 2014年4月にソールの張替えをし、6年間山行に不快を感じることなく、ただの斜面や谷筋歩行、極悪路のお供をしてくれていた。途中2014年2月からスカルパのトリオレとの併用があったので、当初思っていたよりかは長持ちしている感はあった。ところが近頃、山行後靴下が濡れていることがあって、いよいよゴアテックスがやられたかと思ってよくよく点検してみると、中のかかと部分のステッチが切れてしまっているのを発見した。

 両方の同じ部分が切れてしまっているので、小てつの足グセが悪いのではなく、摩擦によるものと思われた。ここが破れているということは、ゴアテックスもやられているし、最近厚手の靴下を履いていても、靴が大きくなったように感じたのはこのせいかと思った。

破けたところ

 外側の皮はワックス手入れにより、全く型崩れも割れも無いが、中で足が遊んで踏ん張れない靴は、いざという時不安でもある。(小てつの山行、いざという時ばっかりなので・・)。

 そこでまたもや清水の舞台から飛び降りて、(嘘つけ、第一回阪神1日目2R三連単バンザイ、神様アリガトウやろが・・)K日山荘にいそいそと出かけたのでありました。

 あらかじめ下調査もし、K日山荘が取り扱っているメーカーの中で、足にさえ合えばとザンバランのヴィオーズ・プラスGTくらいを候補にして(藤井フミヤが履いているトファーネNW GTまでは手が出ない)いたのだが、ヨドバシのK日山荘フットウエアー店に行って驚いた。小てつをはじめokaoka clubのメンバー御用達の総革の靴が置いていないのである。前に覗いた時には、ザンバランもマインドルも置いてあったと思ったのに、今はヌバックだとタホープロともう1種(マムートやったと思う)だけだった。他は全部コンビの靴。あと店の中はほとんどトレランシューズ。

 買う気で行っていたのと、Lッジに店替えしてもあまり品物がなかったのを前に哲郎さん達のザックを買いにお供した時に愕然としたので、ここで買うべしと展示してあったタホープロを手にとれば、全く小てつの足のサイズの品物。店員のおねえさんに断りを入れ試着をしてみれば、それはピッタリきたのも当たり前で、逆に浮気する気持ちは吹っ飛んでしまった。

 いちおうどこか当たるところは無いか確かめるために、しばらく履いている時間を利用して、店員のおねえさんに前の靴の状態を話したり、手入れについての解釈やK日山荘の今事情など根掘り葉掘り聞き出す。そんな店もヒマそうな平日午後に時間を作れるのも小てつの仕事のありがたさ。

 結局「もうすぐ品切れ」とわざわざ値札に書かれた現品のタホープロを仕入れることにする。おそらくもうすぐ新商品が出るのか、K日山荘とタカダ貿易の契約が切れるのか、真相はわからないが、物を買い求める時には「縁」も大事にしている小てつは、それで良しとする。

左新タホープロ、右旧タホー

 「ローバーのタホー」とネットで検索すると、必ず出てくる長野のお店。タホーではないけれどヌバックの靴を履いておられる、興味がある方なら一度検索して動画を見てみる価値はあります。要は靴の手入れのお話。「新品の時からワックス三回仕上げ」というのが、ここのお店の売り。そうすれば、10年は持ちますというのだ。

 ピカピカに光った靴がいいというのではなく、店長は鼻からゴアテックスは長期もたないことを理解して、外側にワックスを塗っておき、防水と保革を持続させる考えだ。もともと革自体に通気性はないので、ワックスを塗ることでゴアテックスの通気性を損なうことはないとの考えだ。

 小てつはそこまでの知識と信念はないが、革を見るとワックスを塗りたくなる性分なので今まで塗ってきた。ただ、前回は最初いくらか山で使ってから塗ったので、いささか仕上げに難もあった。そこで今回はおろす前にワックスを塗っておくことにした。塗っては乾かし、また塗っての作業は10日ほどを要した。前は完全に乾く前に山行したりして埃まみれにすることもあったが、今回は一度完全に乾かすので、それも軽いようになるだろうと期待している。またここから5年ほど、快適な山歩きを約束してくれる相棒誕生だ。

 さて、新しい靴の手入れと共に、古い方もつくろってみることにした。新しいのがないのに冒険はできませんから。(いくらトリオレがあると言っても、常時は履けません。河内谷林道なんか下駄みたいなトリオレとても履いていく気になりませんわ~)。

 糸が切れてしまっているのはかかとの縫い合わせ部分で、普通の縫い針では仕事出来ない場所であり、またそれより布地自体薄くなってしまっているので、縫い合わせても布地が裂けてしまうだろう。ここは「当て布」が良いようだ。

当て布貼り付け それ用接着材

 最近は良い接着材もできていて、カチカチに固まるのではなく、それ用の乾いても柔軟なままのものがあり、それで試してみる。先に現物ではなく、他の布で試したうえで、薄くて柔らかいものの引っ張りには強い生地を選んで貼り付けてみた。乾いてから試し歩きをしてみると、御室88ヶ所くらいや新しい靴のピンチヒッターはこなせそうな状態にはきてくれた。感謝!感謝!。

 さて、小てつの具合はこんな感じだったのですが、同じ時期に靴を新調されていた哲郎さん達の具合はどうだろうとうかがってみますと、やはり購入から2年でソール張替え+1年使用で表面にヒビが入り傷んできているようです。ちなみに哲郎さん達はワックスを塗っておられません。内側は大丈夫なようで、もう一度ソール張替えでも使用できそうだが、次回のセール期間を待って新調もお考えだそうです。狙いは同じシリオのPF630&PF530だそうで、しっかり下調べされているようです。

道子と哲郎の靴(シリオ、3年使用後)

 釣りが趣味の頃の釣行前夜の楽しさと同じで、次はどれにしようかと思いを馳せている時が一番楽しいかも知れません。でもまあ手に入れてから、これでどこを歩こうかと考えるのも楽しいですけどもね。


                        【 記: 小てつ 】