国民主権と天皇
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1、世界の王制 世界における君主制(王制)は、民主化という時代の流れの中でつぎつぎに崩壊した。20世紀になって崩壊した国として は次のような国がある。
一方、現在もなお世界で君主制を採っているのは、イギリス、オランダ、スウェーデン、スペイン、サウジアラビア、タイ、日本など約30ヵ国である。このうち今なお”Emperor”の称号でよばれ るのは、日本の天皇だけである。
2.天皇の地位 昭和天皇は、人生の前半を「神の子」として生き、後半を「人間」として生きた。天皇の地位について憲法は、「この地位は、主権の存する国民の総意に基く」(第1条)と定めている。このことは反対解釈として、もし国民の総意が天皇制に反対ということになれば、憲法を改正することによって、天皇制を廃止することも可能であることを憲法は認めているとも読める。現在のところ、世論調査では、象徴天皇制に賛成するものが約77%あり、象徴天皇制はほぼ国民の間に定着したものと考えられる。
3.皇室の予算 皇室の予算は、明治憲法下では「御料」を中心とした私的財産の収入ですべてがまかなわれていた。しかし、戦後は皇室財産が国有財産に移管されたため、皇室費用は国庫から支出されている。 宮内庁関係の予算を大別すると,皇室費と宮内庁費に分かれて、その内訳は次のようになっている(皇室経済法第3条)。 宮内庁関係予算(平成20年度)
資料、宮内庁ホームページ http://www.kunaicho.go.jp/15/d15-03-02.html
答.理論的には天皇は国民には含まれないと考えられる。なぜなら、「天皇主権」と言う概念に対して「国民主権」という概念があるのだから、国民の中に天皇が含まれていては整合性を欠く。
4.天皇の権能 天皇の権能について憲法は、「国政に関する権能を有しない」と定め、内閣総理大臣と最高裁判所長官の(形式的な)任命のほか、 衆議院の解散(憲法第7条)など10種類の国事行為を行なうことを定めている。そしてこれらの行為にはすべて「内閣の助言と承認」が必要とされ、天皇に何か失敗があってもその責任は助言と承認を与えた内閣にあり、天皇は責任を問われないシステムになっている。 古来、日本の政治は権威と権力という二重構造を形作ってきた。 天皇は権威の象徴としてあがめられ、天皇の居所は「禁中」と呼ばれ、天皇を直視すると眼がつぶれるという信仰すらあった。したがって、いかなる権力者(たとえば徳川幕府)といえども天皇を敵に回す ことは「朝敵」とみなされ、自らの権力基盤が脅かされかねなかった。 憲法前文には「そもそも国政は、・・・・・その権威は国民に由来し・・・・」とあ り、本来、選挙で選ばれただけで十分な権威があるはずなのに、それだけでは割り切れない何かが日本人の政治感覚にはあるのかもしれない。1999年には国旗・国歌法が成立し、天皇はますますその存在感を高めつつあるように思われる。
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