(1)増加する外国人
日本には、韓国・北朝鮮人(63万人)、中国人(49万人)、ブラジル人(29万人)など、日本国籍を持たない人たちが約197万人いる(2004年)。これは日本の人口の1.6%にあたる。彼らの中には、日本に定住し、日本人と同じように税金を納め、日本人と変わらない生活を送っている人も多い。
(2)憲法の規定
このような外国人にたいして日本国憲法は、どのような形で人権保障をしているのであろうか。
もちろん、憲法が個人を個人として尊重するとしていることから、思想・良心の自由や学問の自由などは当然に認められし、また、人種・信条などによって差別されないことも当然である。判例もそのような立場に立っている。
しかし、憲法14条には次のように書いてある。
「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分または門地により、政治的、経済的または社会的関係において、差別されない。」
注目してほしいのは、主語と述語である。「すべて国民は・・・差別されない」となっているのだ。このことはその反対解釈として、「国民でないものは、・・・差別されてもしようがない」ということを憲法自身が容認していることを意味する。
(3)外国人に保障されない人権例
「国民」には認められている権利が、日本国籍を持たないために認められていない権利として次のようなものがある。、
@外国人に対する参政権(選挙権・被選挙権)は公職選挙法で認められていない。
Aまた、多くの費用をともなう社会権についても外国人には認められていない。
B日本国籍を持たない人が公務員への就職を希望しても受験資格がない(国籍条項)場合もある。
C就職やアパートの入居をめぐる差別事件などは依然として残っている。また、差別落書も後を絶たない。
(注)最高裁判所は、国政選挙への参加は憲法15条があるから認められないが、地方選挙について
憲法は外国人の参政権を禁止していない(93条)としている。
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