20世紀とはいかなる時代であったか

 

 20世紀をどのような時代として位置付けるかについては、まだ多くの時間を必要とするであろう。現在の時点で考えられるいくつかの視点について述べてみたい。

 第一に、人類が初めて「核」を手に入れ、戦争の持つ意味が一変した時代であった。INF全廃条約(1987年)が結ばれた当時、アメリカ・ ソ連などが保有する核の量は全人類を20回殺せる量に匹敵するといわれた。

 第二に、地球環境問題が深刻になり、宇宙船地球号的な発想が求められるようになった。またそのことを通して、技術進歩と人類の幸福が初めて問われた時代であった。その結果、「国益」に代わる「人類益」の追求が自覚された時代であったともいえる。

 第三に、資本主義と社会主義政権の対立という壮大な「実験」を通して、人間がエゴイスティックな動物であることを証明してみせた世紀とも言える。

 第四に、歴史上初めて「大衆」が政治・経済・文化の方向を決定づける力を持つようになった時代ともいえる。各国で民主主義が高まり、大衆を意識したプロパガンダが重要な意味を持つようになった。ファシズムも大衆のなかから生まれたものである。
 産業革命の結果、大衆が都市に出現し、映画・自動車・電気製品など、大衆に消費されるものが大量に生産されるようになったことも20世紀の特徴と言える。

 

 さて、21世紀はどのような時代になるのであろうか。いまのところ、グローバリゼーションという言葉がキーワードではないかと感じている。

 

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