当たらずとも遠からず

推理力を養う

 

1.社会は連想ゲーム

 生徒の大半は、社会は暗記科目だと思っている。確かに暗記的要素が強いことを否定はしない。しかし、力づくで覚えるのではなく、因果関係類推力を働かせて覚えると、特に覚えようとしなくても頭に入ってくることが多い。つまり、

 

社会科は y=f(x) で表すことができる連想ゲーム  

 

と考えるのである。

 

 

2.日本の世帯数はどれだけか?

 経済の勉強の第一歩として、家計、企業、政府の3つの経済主体について教えるが、その場合、「抽象語で分かったつもりになるな」というのが私の口癖である。そこで生徒に尋ねる。

「では、日本に家計の数はどのくらいあると思うか?」 
 生徒は1千万とか2千万とか、思いつくままさまざまな数字を口にする。なかには、700万とか1億とか、ちょっと首を傾げたくなるような数字を平然と言う生徒もいる。そこで、「じゃ、ちょっと考えてみようか」と提案する。

先生「日本の人口は?」
生徒「1億2千万人」
先生「正解!」 「では、1家族あたりの人数は約何人か?」
生徒「4人」 「3人」・・・
先生「まあ、そんなところですね。もし1家族あたりの人数が3人なら、1億2千万人÷3人=約4000万世帯ということになる。1千万とか1億という数字はあり得ないことが分かりますね.。」

 こういうふうに説明をすると生徒は「あー、そうか」とすごく納得する。
正解は1家族の平均人数は2.4人で、従って日本の世帯数は約5000万世帯となる。
 

 

 

3.日本の労働力人口はどのくらいか?

 各家計は誰かが働いて収入を得て生活している。そこで、「では、現在日本で働いている人はどのくらいか?」と尋ねる。
これも、生徒は当てずっぽうでさまざまな数値を口にする。そこで尋ねる。

先生「日本人の平均寿命はどれくらいか」
生徒「80歳」
先生「正解です。」
先生では、「もし、20歳で就職して60歳で定年になるとすると、人生の中で働いている期間は40年ということになる。つまり、生きている間の約半分が仕事をしていると考えられる。したがって、1億2千万人の約半分、すなわち約6000万人が働いていると推定できる。

 また、別の考え方として、家計数が5000万であり、各家計で少なくとも一人以上は働いているだろうから、共働き家計も考慮すると、約6000万人くらいかな、と推定することもできる。」 
ちなみに正解は約6600万人である。(2015年)

 

 

4.失業率

 この話のついでに、失業率の推定もさせるとおもしろい。現在の日本の失業率を次の4つの選択肢から答えさせる。

@ 2%
A 4%
B 10%
C 25%

 ちなみに、失業率2%は日本の高度経済成長のときの数値であり、25%は大恐慌のときのアメリカの失業率である。数値に対するこうした感覚を身につけていると、選択肢はAかBに絞られる。

正解はもちろんA4%である。労働力人口の話のついでに、失業率という 重要な経済指標の使い方も、あわせて紹介しておくとよい。

 

 

.日本の乗用車の台数はどれくらいか?

 家計の数が5000万世帯。都会では自動車を持っていない人もいるだろうし、田舎では1家に2台、3台という家もあるだろう。

もし、1家に1台とすると5000万台

 となる。
正解5700万台である。これにトラック1500万台を含めると、約7000万台が日本の保有する自動車台数になる。

 

 では続けて問題。

 もし、中国が今後も経済発展を遂げ、日本人と同じ割合で自動車を持つようになると、中国全体の保有台数はどれだけになるか。

 中国の人口は約13億人で日本の約10倍だから、正解7億台となる。そのとき、世界の石油はどうなるのだろう???
 

 

 

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