車の寿命

 

 2006年に堺市の戸建て住宅から大阪市内の賃貸マンションに引っ越したが、それを機会に思い切って自家用車を手放した。マンションが駅から近く、しかも、タワー式の駐車料金が毎月3万円弱とあってはその費用も馬鹿にならない。

 10年乗った愛車の走行距離はちょうど10万キロメートル。車検を通したばかりで 、まだまだ新車同然だったのに、査定金額はたったの3万円だった。

 ところで、日本の車はいったいどのくらい走ることができるのか。以前、廃車のスクラップ工場を見に行ったことがある。いわば自動車の墓場である。

 そこで聞いた話では、技術者はだいたい100万キロメートルは走ることができる車を作っているそうだ。ところが、タクシーですらせいぜい50万キロ メートルしか走らないという。10万キロメートルというのは最大能力の1割以下で、やっと車本来の調子が出てきたところである。それがたったの3万円とは・・・。   

 日本では年間500万台の使用済み自動車(=廃車)がでる(2007年)。そのうち400万台が日本国内で解体され、残り100万台は中古車として海外に輸出される。アフリカ、東南アジア、ロシアなど日本の中古車に対するニーズは強い。 解体された廃車から、使える部品は部品ごとに取り出され、海外に輸出される。

 世界には、かつての日本がそうであったように、中古車でもいいから車がほしいという人がたくさんいる。われわれ日本人は、料理でいえば一番おいしいところをちょっとだけ食べて、あとは捨ててしまうという贅沢をしているのかも知れない。

 

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