骨太の金融教育
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(はじめに) 高校生にとっての金融教育とは何か。骨太のメッセージとして、何を教えればいいのか。以下の内容は、 金融経済教育教員交流研究会(2011年6月18日)で発表した内容を下敷きにしたものである。
もちろん、これらのほかにも金融のしくみや金融政策について教えなければならないことは言うまでもない。
1.金融商品の種類
2.おいしい話には気をつけろ 高校生に一番教えておかなければならないのは、「一獲千金」を狙ってはならないということである。金融商品に限ったことではないが、確かに、世の中には稀に大儲けする人がいる。宝くじが当たったとか、競馬で大穴をあけたとか、株で大儲けしたなどというたぐいの話である。 投資にはリスクとリターンの関係がある。一般に、安全性が高ければ収益性が低く(ローリスク・ローリターン)、安全性が低ければ収益性は高い(ハイリスク・ハイリターン)。ノーリスク・ハイリターンなどというおいしい話は、犯罪がらみか、詐欺行為かいずれかだと思えばまず間違いない。 銀行預金はほとんどノーリスクに近いが、その代り得られるリターンも小さい。最近の銀行の金利なんて、0.02%などと私の視力より悪い(笑)。国債は、政府への貸付だから、多少のリスクはあるもののリスクはそれほど高くはない。利回りも銀行預金よりはいい。同じ銀行への預金といっても、外貨預金は為替リスクがある。儲かるか損をするかは丁半ばくちみたいなものである。 一方、株式は、資産価値が2倍3倍になる可能性はあるものの、予想外の損が発生する可能性も十分考えておかなければならない。一般的に、株取引でもうけているのは1割、とんとんが2割、あとの7割は損をしているといわれる。だいたい、「推薦株」の本を書いている人 の多くは、じつは本を書いた印税でもうけているだけで、自らは相場をやっていないのだ。そんなことも知っておいたほうがよい。 金融商品とうまくつきあっていくためには、こうした金融商品の性格をよく理解しておくことが大切である。
3.わけのわからぬものには手を出すな!
投資をする際には、自分で理解・納得できないものには手を出してはならない。いくらプロが勧めるものであっても、いくら新聞が書き立てていようとも、自分が納得できないものには投資をすべきではない。
4.卵を一つのカゴに盛るな
卵を一つのカゴに盛ると、そのカゴを落とした場合、全部の卵が割れてしまう。しかし、複数のカゴに分けて卵を盛っておけば、そのうちの一つのカゴを落としたとしても、他のカゴの卵は影響を受けずにすむ。 たとえば、退職金を全額銀行に預けておくと、万が一日本にインフレが起きた場合、退職金は紙くずになる可能性がある。だから、銀行預金のほかに、外貨、金、 不動産、株、投資信託などに分散しておくのである。一獲千金を夢見る人は、えてして卵を一つのカゴに盛る傾向がある 。しかし、失敗した時のリスクを考えるならば、これはやってはならない。一発決めはご法度である。
5.投資の王道は複利効果 100万円を1年間に10%ずつ増やすことができたら、10年では何倍になるか。こうした 複利計算はExcelを使うと簡単にできる。エクセルのセルに =100*(1+0.1)^10 と入力しエンターキーを押すと、259万3742円となる。
と認識すべきである。 (PS) もし、私も若いころにきちんとこうした教育を受けていれば、もう少しうまく資産形成できたような気もする。まあ、今からでも遅くはないのだが…
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