景気をよくするにはどうしたらいいか
| ||||
1.景気が悪い理由 みんながものを買えばどんどん景気はよくなる。高度経済成長期といわれた 1950年代後半から1960年代は、みんな新製品をどんどん買った。白黒テレビ、洗濯機、冷蔵庫が三種の神器といわれ、そのあとカラーテレビ、クーラー 車 の3Cが人々のあこがれとなった。欲しいものがたくさんあり、日本中が豊かな生活を求めて買い求めた。それが日本の高度成長を支えた。 反対に「みんながものを買わない」と不景気になる。 だから、不景気の根本的な理由は、買う人が少なすぎると言うことに尽きる。
2.景気をよくするにはどうするか 原因が分かれば対策は簡単に出てくる。みんなが買わないから不景気になるのであれば、みんなで一斉にものを買えばいいのである。たとえば、
正解 家計数を5000万世帯とすると (1) 10万円×5000万= 5兆円 となる。 (注)桁数が大きくなると計算できない生徒もいるので、きちんと板書してやること。 なんと、1年間では60兆円ものお金が余分に使われることになる。これだけみんながものを買えば、どんな不景気だってたちどころに吹き飛ぶこと請け合いである。
3.不景気になるほど消費者はお金を使わない 不景気の時にはみんなでお金をたくさん使えば景気がよくなることは分かった。 ・ 会社が不景気で、お父さんの給料が下がった。 そんな心配があるとき、10万円ずつよけい使ってくださいといって、本当に使ってくれるだろうか。答えはもちろん、「使いませーん」 それどころか、人々は明日の不安に備えて、ますます貯蓄に励むであろう。財布のひもはますます固くなり、お父さんは外へ飲みに行くのを控え、外食をやめ、欲しかったデジタルテレビも当分は我慢することになる。
不景気のときに貯蓄を殖やそうとする行動は個人的には正しい。しかし、個人として正しい行動が、社会全体として正しくなるかというと話は別である。反対に景気をますます悪くさせてしまう。部分最適が全体最適にならないのだ。こうした現象を「合成の誤謬」という。
4.財政出動 そこで、消費者に代わってお金を使ってくれる「白馬の騎士」の登場となる。それが 「政府支出」である。お金がなければ国債を発行して借金をしてでもお金をばんばん使いまくる。 ・ 道路をつくる。 そうやって公共事業をやれば、建築会社が儲かる、セメント会社が儲かる、失業している人も仕事に就ける。近くの飲み屋が儲かる、デパートの売れ行きも回復する、やがてだんだん金回りがよくなり、新車も売れるようになり、景気が回復する・・・・という寸法である。 今日、「不景気の時には公共事業」という政策が呪文のように唱えられ、実施されているが、この政策を考え出した人がJ,M,ケインズである。
5.金融政策 ついでに、お金を発行する日本銀行にも、不景気の時には日本中にいっぱいお金を供給して、会社がお金を借りやすいようにしてもらう。
6.まとめ 有効需要(=1年間で実際に購入される金額)は次のようにまとめることができる。
この有効需要が少なすぎるから不景気になるのであるから、不景気の時には、政府や日銀が ・減税により消費を増やし、 などの政策を採る。それにより、ものがたくさん買われるようにして景気回復を図っているのである
|