だるまさんが転んだ

 

1.たとえ話

 生徒に分かりやすく説明するには、たとえ話が効果的である。今年初めて「だるまさんが転んだ」というたとえ話をしたら、生徒からすごくわかりやすいと言われたので全国の皆さんに公開することにした。

 話のポイントは

 

 「湾岸戦争以降の日本は、だるまさんが転んだというゲームのように、少しずつ少しずつ戦争への道を歩み始めているのではないか」

 

という内容である。

 湾岸戦争(1991年)までの日本では、自衛隊が憲法に違反するかどうかが平 和主義の主要テーマだった。ところが、湾岸戦争をきっかけに、日本の国際貢献が求められるようになり、それまでの違憲論議はどこかに吹っ飛び、翌1992年にはPKO協力法が成立し、自衛隊の海外派遣が始まった。

 一方、湾岸戦争と同じ年、ソ連が崩壊した。冷戦の終了とともに日本のもつ地政学的重要性が薄れた。アメリカから見捨てられることを恐れた日本政府は、日米安保条約の再定義を行い、その後しだいにアメリカという金魚のウ○コのごとく、アメリカと行動をともにすることになる。新ガイドラインの設定、周辺事態法(1999年)テロ対策特措法(2001年)、イラク復興支援特措法(2003年)、有事関連7法(2004年)・・・・。
 日本を守るために作られた自衛隊が、いつしか海外に出かけることが当たり前になった。

 かつてアメリカは日本の番犬だった。2000億円という思いやり予算は、番犬に対する餌みたいなものだった。しかし、いまや日本はアメリカのポチになった感がする。湾岸戦争以来20年が過ぎた。知らない間に、日本はずいぶん9条の理念からかけ離れたところに来てしまったのではないか。もちろん、これも民主主義の制度のもとで国民が選択したのだから文句を言う筋合いではないのかもしれない。

  

「だるまさんが転んだ」

 

 やがて「日本は大砲の弾の飛んでこない安全な所ばかりにいて卑怯だ。日本もアメリカと一緒に戦え」とならなければいいのだが・・・・。

 

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