和して同ぜず

 2007年01月19日


 言わずと知れた論語の言葉である。
 「君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず」
「和」と「同」のすべての組み合わせを考えると次のようになる

  @ 「和して同ぜず」
  A 「和して同ずる」
  B 「同じて和せず」
  C 「同じて和する」
  D 「和せず同ぜず」
  E 「同ぜず和せず」

                 
 世の中で一番難しいのが@の「和して同ぜず」。反対意見を言うとすぐ「オレにけんかを売るのか」と言う人がいる。学会なんかでも大ボスの意見に対して反論するには、「間違っているかも知れませんが、こんな考え方もできるんではないでしょうか」と恐る恐る切り出すのが常識だそうだ。「良いものは良い、悪いものは悪い」と正直に言うのは、日本ではかなり難しい。

 日本で一番多いのはACの「和して同ずる」「同じて和する」タイプである。いわゆる仲良しクラブである。組織の中で同じ考えのものが集団を作り、仲間内で飲み会をし親睦を深める。こういう小集団がいくつかできると社内に派閥が生まれる。サラリーマンとは悲しいもので、どこかの組織に属していないと、どこからも相手にされなくなる。

 孔子が言うようなBの「同じて和せず」というタイプは日本では案外少ないのではないか。同ずればたいてい仲間に入れてもらえるのが普通である。「同じて 」しかも仲間に入れてもらえないとすれば、その人のコミュニケーション能力に相当の問題がある。

 最後に、DEの「和せず同ぜず」「同ぜず和せず」は、一匹狼のタイプである。俗に、「頑固者」とか「へそ曲がり」と呼ばれる人にこのタイプが多い。
さて、あなたはどのタイプ?
 

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