えっ、こんなところにトンネルが

2008年1月3日

 

 大阪に出てきて、今のマンションに落ち着くまでに5回引っ越した。べつに引っ越しマニアではない。いずれも、やむにやまれぬ事情があり、引っ越しせざるを得なくなったのだ。そのうち、3回目に引っ越したのが泉北ニュータウンである。ここには18年間住んだ。いい街だった。

 

 栂美木多駅から職場がある堺東駅まで、毎日電車に約20分乗る。私にとって電車の中は貴重な仕事場である。20分間、立ったまま一心不乱に専門書を読む。集中するあまり、ときには乗り過ごしてしまうことも・・・・・(笑)。
 そんな具合だから、途中の中百舌鳥付近にトンネルがあることなんか全く気づかなかった。30秒ほどで通り過ぎる短いトンネルである。

  「えっ、こんなところにトンネルがあったん?」
トンネルの存在に気がついたのは、引っ越してから3か月もたってからであった。
本や新聞を読み出すと、まわりの音が遮断され聞こえなくなる。何を聞かれても生返事。その遺伝子はしっかり上の娘に受け継がれ、時々周囲をいらだたせている。(そこまで似なくてもいいのに・・・ )

 今のマンションに引っ越してからも、このパターンは変わらない。朝7時ちょっとまえに家を出て、環状線のホームで電車を待つ。電車が来るまでの2〜3分間、読みかけの本を読む。
 電車に乗り込むと(幸いにして必ず座れる)、今度は新今宮まで約15分間、一心不乱にワープロを打つ。新今宮から岸和田駅に着くまでの約20分間、再びワープロを打つ。打つべき文書がない場合は読書にあてる。

 私にとって電車の中は貴重な仕事場である。1分1秒たりとも無駄にはできない。家から学校までの片道の所用時間は1時間余り。往復2時間、毎日電車の中で仕事ができるかどうかの差は大きい。しかし、最近、こうした緊張感も持続しづらくなってきた。年を取ったのかもしれない。
 

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