職業と社会的地位 2007年03月14日
ところが、近代に入って活版印刷が普及すると、聖書のドイツ語訳が大量に発行され、誰でもが聖書を読めるようになった。ルターが神の前の万人の平等を説いたことと併せて、プロテスタントによる新しい職業観が誕生した。英語で「職業」を“calling”という言い方がある。神がその職業に召されたという意味で、日本語では「天職」というニュアンスに近い。 現在では、「職業に貴賤はあるか」と問われれば、多くの人は「ない」と答える。しかし、実は「ない」と答えている人のほとんどは、腹の底では「そんなしょうもないこと聞くな。あるに決まってんじゃん」と思っている。職業と社会的地位が密接に結びついていることは現代のジョーシキといってよい。
たとえば、自らは働かないでカネがカネを生む金融業は「賤」の代表はとされてきた。現代でもそうした名残は消え去ったわけではない。イスラム社会では今も利息を取ることは禁止されているし、また、日本でもいわゆる高利貸しの社会的地位は決して高くはない。
1級建築士だけではビルは建たない。危険な現場で汗水垂らして働く人がいて初めてビルが建つ。今ある職業は必要とされているから存在しているのだ。そんなことは百も承知していながら、それでも世間のジョーシキを克服するのはなかなか難しい。 |