SSCに物申す (2004年11月3日) ある行為を選択すれば、それとは異なる別の行為をすることによって得られるであろう利益が犠牲になる。この犠牲になる利益を、経済学では機会費用という。
この機会費用という観点から、一番 考えさせられるの が、2004年4月から大阪府に導入されたSSC(総務サービスセンターの略)とよばれるコンピュータによる事務管理である。これによって、給料・年休・通勤費・出張・クラブ付き添いなど、全ての事務管理がSSCによって一括管理されることになった。
ようやく公務員の世界にもIT革命が遅ればせながらやって来たかと思ったのも束の間、これがとんでもない「食わせ物」だった。導入された4月当初、いきなりシステムがダウン。いくらアクセスしてもつながらない。オマケに、せっかくつながっても、使い勝手がとてつもなく悪い。マニュアルを読んでも、さっぱり要領を得ない。そのため現場は大混乱をした。
通常、コンピュータが導入されれば、便利になって当然である。ところが、大阪府の場合、コンピュータの導入によって不便になったとしかいいようがない。
たとえば、出張に出かけるときの旅費の入力の仕方が非常に分かりにくい。
研修のための出張に行きたくても、また、あの鬱陶しい入力をしなければならないのかと思うと、出張に出かけようという意欲も萎えてしまう。これじゃ、出張に出かけるなと言っているようなものである。
初期画面に戻って入力し直し、我慢しながら1時間くらい試みたが、結局上手くいかなかった。この程度の作業は、普通のソフトだったら、せいぜい1〜2分もあれば簡単に出来る。後で聞いたら、SSCのソフトの設定ミスだったということである。
一応、誤解のないように申し上げておくが、私は決して人並み外れて操作が下手だというわけではない。また、コンピュータの導入に反対するものでもない。しかし、あまりに稚拙なソフトが導入されたため、機会費用という観点からものすごい損害が大阪府全体で発生している事実をもっと深刻に受け止めるべきだと思うのである。
仮に私のように、年末調整の入力のために1時間の労働時間を無駄にすれば、大阪府全体で19万5千人の職員がいるから、約6億円の損害が出ていることになる。もちろん使い勝手の悪さで生じている年間の時間的ロスは、そんな 比ではないから、1年間を通してみれば、何十億円もの無駄が生じていると想像される。
噂によれば、このソフトは10年ほど前に民間で開発され、見向きもされずに放置されていた
のを大阪府が購入したということである。もしそれが本当ならば、「責任者、出てこい!」と言いたい。 |