合格祝い
上の娘が大学合格祝いに黒猫をほしいというので、近所からもらってきた。名前をアルキメデスという。通称は「アルちゃん」。小さい頃腎臓が悪くて、よく獣医さんに通ったが、今はもうすっかり元気である。
全身真っ黒だと思ったが、お腹に少しだけ白い部分がある。成長するにつれその部分が大きくなってきた。それで腹黒ならぬ「腹白」とも呼ばれる。少々気が強い。ドアの取っ手にジャンプして、自分でドアを開けるから、ネコとしては賢い部類にはいるのかも知れない。
学校から帰ると、必ず玄関まで出迎えにくる。
アルちゃーん、ただいま。かしこかったでちゅね」。
ネコに話しかける時は、なぜか幼児語になる。こんな話、生徒には絶対に聞かせられない。あるとき、卒業生が家に遊びに来て、信じられへーん、南先生がこんなにネコ馬鹿パパだったとは
、と絶句していた。黒いひげを引っ張ったり、足の裏を触ったり、ともかく可愛い。特に足の裏をさわった感触がいい。
「子育てを終わってみれば犬と猫」という川柳があったが、ネコは我が家の潤滑油である。
家も家具も傷だらけ
家人の愛情を一身に集めてかわいがられている我が家のネコ。新しいマンションがすっかり気に入った様子である。
外を眺めたり、昼寝をしたり。ときには廊下を「バシャバシャー」と駆け抜け、リビングで90度回転し、隣の和室に走り抜けたりもする。おかげで、床のフローリングは無惨な爪の引っかけ傷だらけ(泣)。
新しいマンションに引っ越して真っ先に買ったのが、ネコの爪研ぎグッズ。「コーナン」でわざわざ値段の高い方を買ったのに、見向きもしてくれず、即ゴミ箱行き。
代わって彼女の爪研ぎの犠牲になったのが、わたしの書斎椅子。布張りでちょうど爪研ぎにいいらしい。毎日ロッククライミングよろしく、チェアークライミング(笑)をしている。最近は、椅子がボロボロになって、もう怒る気力もなくなった。
うちの可愛いねこたんたん。「ただ」でもらってきたのだが、都会で飼うのはずいぶん高くつく。
ネコのプライド
ネコにもプライドがあるのをご存じだろうか。家の中だけではストレスがたまるのか、最近、盛んに家の中から「脱走」したがる。
私が外から帰るのを待ちかまえていて、ドアを開けると同時に廊下に飛び出すのだ。最初の頃は恐る恐るホフク前進しかしなかったのですぐ捕まえられたが、今では脱走に成功すると気持ちよさそうに廊下を駆け回り、捕まえるのに難儀する。
しかし、忙しいときにいつもいつもネコと追いかけっこばかりはしていられない。こちらもバカではない。家に入るとき、脱走されないようにカバンで通せんぼをしてドアを開ける。すると、おもしろいことに
「フン、あたしゃ最初から脱走する気なんかなかったよ」とばかり、ぽいっとあっちを向いてしまうのだ。
プライドがいたく傷つけられた様子もまたかわいい。
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