やる気にさせるものの言い方 (2017年5月22日)
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言い方次第で・・・ 同じことを言っても、言い方次第で相手のやる気をそぐこともあれば、逆にやる気を搔き立てることもある。 役所では、書類に不備があり手続きできない場合でも、「書類不備のため手続きできません」とは絶対に言わないそうである。否定的な言い方は相手に不快感を与えるからだ。 そこで「書類がそろえばすぐに手続きできます。お待ちしています」と、あえて肯定的に言うのだそうだ。 なるほど、これなら「すぐに持ってこないと…」という気持ちにさせられる。 あまり人気のない職場に転勤させる場合も、「先方が君の腕を見込んでどうしても来てほしいといっている」と言えば、それがたとえ左遷であったとしても、「そうか、それなら頑張ってみようか」という気にもなる。 家庭や職場においても、相手が自分の望むようにしてくれない場合、ついその不満を口にしてしまうことが少なくない。しかし、「ごみを捨ててくれてありがとう」「台所を片付けてくれてありがとう」などと感謝されれば、「もっとしてあげたい」という気持ちにもなる。 大学後期試験で ある生徒が国立大学の前期試験に落ちた。非常に優秀で、センター試験の結果も非常によく、本人も先生も前期で合格するだろうと思っていた。 ところが、不合格だった。本人が落ちこんだのは言うまでもない。母親の話ではあまりのショックで、しばらく呆然として勉強も手につかなかったらしい。そんな折、私のところにやってきて、後期は論文試験なので、そのための指導をしてほしいと言ってきた。 指導の過程で「大丈夫、後期も案外受かるもんですよ」と励ましたのだが、この一言が「前期のショックから立ち直り、頑張ろうというきっかけになった」と、あとで本人から聞いた。 後期試験は難しい。10人に一人くらいしか通らない。それをあえて肯定的に言うことで、元気を取り戻してくれた例である。 結果は合格だった。日曜も朝から晩までメールで添削をしたかいがあった。長い教員生活の中で、最もうれしかった一コマである。
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