リーダーおよびタイトル 演奏者および演奏曲 コメント


MAL  WALDRON

"LEFT  ALONE"


BETHLEHEM   LP
as) JACKIE McLEAN (ON 1)
p) MAL WALDRON
b) JULIAN EUELL
ds) AL DREARER

1. LEFT ALONE
2. CAT WALK
3. YOU DON'T KNOW WHAT LOVE IS
4. MINOR PULSATION
5. AIREGIN


rec  1960
ビリー・ホリデイの最後の伴奏ピアニストであったマルが、ビリーの死後彼女に捧げたアルバムで、日本で「幻の名盤」ブームのはしりとなった。
表題の「LEFT ALONE」はビリーの詩にマルが作曲したものだが、残念ながらビリーがこの曲を歌ったレコードは残っていない。

ここではマルと親交が深かったジャッキー・マクリーンがビリーの詩をアルト・サックスでなぞっているが、本当にビリーが歌っているかのような鬼気迫る素晴らしい出来映えとなっている。
2曲目のキャットウオーク以後はマクリーンの抜けたトリオによる演奏だが、ビリーを失ったマルの悲しみが訥々と伝わってくるような、マルの人間味のあふれたピアノが何とも印象深い。何度聞いても胸を打つ素晴らしいアルバムである。


MAL  WALDRON

"ALL  ALONE"


GLOBE   LP
p) MAL WALDRON


1. ALL ALONE
2. DUE TORRI
3. A VIEW OF S.LUCA
4. BLUE SUMMER
5. IF YOU THINK I'M LICKED
6. THREE FOR CICCI
7. MOSQUE RAID
8. WALTZ OF OVLIVIOUS


rec  1966.03.01
続けてもう一枚マルの最高傑作を。
このアルバムはもともとトリオでの録音予定であったが、共演者がアクシデントで到着せず、急遽ピアノ・ソロでの録音となった。

ジャズの歴史に残るピアノ・ソロアルバムを誕生させたその偶然のアクシデントが今となっては神の恵みのように思える。
映画「マンハッタンの哀愁」の為に描かれたタイトル曲「オール・アローン」の最初のピアノタッチから、深く重いマルの内面世界に聞くものはずんずんと引き込まれていく。

深夜に少しボリュームを落として聞くのもよいし、昼間部屋を閉め切って大音量で没頭するのもよい。決してテクニックでは一流のものではないが、ここには黒い思索家であるマルの人間性がすべて凝縮されている。
万人に聞いて欲しいアルバムである。


ERIC  DOLPHY

"LAST  DATE"


LIMELIGHT  LP
as,bcl,fl)ERIC DOLPHY
p) MISA MENGELBERG
b) JACQUES SCHOLS
ds) HAN BENNINK


1. EPISTROPHY
2. SOUTH STREET EXIT
3. THE MADRIG SPEAKS,THE PANTHER WALKS
4. HYPOCHRISTMUTREEFUZZ
5. YOU DON'T KNOW WHAT LOVE IS
6. MISS ANN


rec  1964.06.02
マルの最高傑作の後は、やはりあのファイブ・スポットでの歴史的な一夜、マルのパートナーであったドルフィーの最高傑作を聞きたい。

ファイブ・スポットでの演奏後相棒ブッカー・リトルを失ったドルフィーは一端離れたチャーリー・ミンガスとのバンドに再び加わり、彼のヨーロッパ公演ツアーに同行、そのままヨーロッパに留まった。

ヨーロッパでの生活も決して恵まれたものではなかったようだが、それでも偏見と人種差別のない国で彼は一瞬の平穏を味わっていたのであろう。

このアルバムでは彼のお得意のアルト・サックス、フルート、バス・クラリネットの演奏がそれぞれ二曲ずつ聞けるが、特にフルートでの”YOU DON'T KNOW WHAT LOVE IS”は、無駄な音が一つもない、神の領域に近づいたといわれる最高の演奏である。

フルートという楽器の可能性を無限に広めたこの演奏を残した四週間後、彼は寂しく現地で息を引き取った。文字通りドルフィーの最後の日を記録した、心を打つアルバムである。


ANITA  O'DAY

"ANITA  SINGS  THE  MOST"

VERVE  LP
vo) ANITA O'DAY
p) OSCAR PETERSON
g) HERB ERRIS
b) RAY BROWN
ds) MILT HOLLAND

1. 'S WONDERFUL〜THEY CAN'T TAKE THAT AWAY             FROM ME
2. TENDERLY
3. OLD DEVIL MOON
4. LOVE ME OR LEAVE ME
5. WE'LL BE TOGETHER AGAIN
6. STELLA BY STARLIGHT
7. TAKING A CHANCE OF LOVE
8. THEM THERE EYES
9. I'VE GOT THE WORLD ON A STRING
10.YOU TURNED THE TABLES ON ME
11.BEWITCHED

rec  1956.05
マル、ドルフィーの重厚な作品を続けた後は、がらっと気分を変えて明るくスイングするヴォーカルを聴いてみよう。

軽快なスイングを持ち味とするオスカー・ピーターソン・カルテットをバックにして、小股の切れ上がった小粋な白人歌手アニタが、都会的な大人の色気あふれる楽しいヴォーカルの世界を展開してくれる。

アニタのヴォーカルも素晴らしいが、カルテットも激しくスイングして一流のコラボレーションを作り上げており、ジャズ・ヴォーカルとはこういうものだ、楽しくスイングしなければジャズじゃない、としみじみ感じてしまう。

アニタの傑作といえば本作以外に「THIS IS ANITA」、「AN EVENING WITH ANITA O'DAY」が有名だが、私はこのアルバムが彼女を楽しむには最高だと思う。


NAT  'KING'  COLE

"AFTER  MIDNIGHT"


CAPITOL   CD
tp) HARRY EDISON(2,5,12)
as) WILLIE SMITH(1,6,8)
vtb) JUAN TIZOL (4,7,10)
vio) STUFF SMITH (3,9,11)
p,vo) NAT COLE
g) JOHN COLLINS
b) CHARLIE HARRIS
ds) LEE YOUNG

1. JUST YOU,JUST ME
2. SWEET LORRAINE
3. SOMETIMES I'M HAPPY
4. CARAVAN
5. IT'S ONLY A PAPER MOON
6. YOU'RE LOOKIN' AT ME
7. LONELY ONE
8. DON'T LET IT GO TO YOUR HEAD
9. I KNOW THAT YOU KNOW
10.BLAME IT ON MY YOUTH
11.WHEN I GROW TOO OLD TO DREAM
12.ROUTE 66

rec  1956.09
女性ヴォーカルを紹介したので、次は男性ヴォーカルを一枚。
後に”KING”の呼称を冠せられ、ジャズというよりポピュラー歌手として有名になったコールだが、元々はれっきとしたジャズピアノの第一人者で、1940年代にはピアノ、ギター、ベースでのトリオを率いて、又レスター・ヤング等との共演などで軽快にスイングする演奏を沢山残している。

50年代の初めに自らのトリオを解散してヴォーカルへ、そして徐々にポピュラーへ軸足を置いていったが、56年演奏のこのアルバムはやはり彼のルーツがピアノであり、ジャズであることが、くつろいだアフター・アワー・セッション風の演奏の中に聞き取れる。

全曲気取らないリラックスしたよい出来映えだが、中でも”SWEETS”ハリー・エディソンのトランペットが加わったスイート・ローレイン、イッツ・オンリー・ア・ペイパームーン、ルート66の3曲が”My Favorite Things”である。


KEIKO LEE

"BEAUTIFUL LOVE”


SONY  CD
tp) ART FARMER(on 1,2,3,4,10,12)
p) KENNY BARROW
gui) JIRO YOSHIDA(on 7,12)
b) CECIL McBEE
ds) GRADY TATE
vo) KEIKO LEE

1. BEAUTIFUL LOVE
2.A TIME FOR LOVE
3. MY ROMANCE
4. THE SUMMER KNOWS
5. YOU'VE CHANGED
6. THE SHADOW OF YOUR SMILE
7. DON'T LET ME BE LONELY TONIGHT
8. THE END OF LOVE AFFAIR
9. I'LL BE AROUND
10.GO AWAY LITTLE BOY
11.LOVE IS ALL THERE IS
12.IF IT'S MAGIC

rec  1997.3.2
続いて日本の現在を代表する歌姫、ケイコ・リーの代表作を。
ジャズはもう1970年代で発展を止めてしまったと考えている私は、近年のアルバムは殆ど聴いていない(というか、最近までジャズそのものを聴く時間が殆どとれていなかったので)のであるが、アート・ファーマーが共演していることに興味を持ち、ジャケット写真も気に入って買ったアルバムである。

全盛期から30年を超えて、アート・ファーマーは美しい音を出してくれている。若い頃の鋭さは無くなっているが、その円熟した耳なじみのよい演奏が、決して美声とはいえない、どちらかといえば少ししわがれたケイコ・リーの「ディープ・ヴォイス」と良くマッチして、「今でもこんなによいジャズがあったんだ」と嬉しい気分にさせてくれた。

タイトル曲の「BEAUTIFUL LOVE」が、その出だしからゾクッとくるスリリングな感じで、この一曲だけでCDを購入する値打ちがある。

ケイコのディープ・ヴォイスは、最初はオバサン声のようで違和感を覚えていたが、かなり中毒性が強いようで、今ではすっかりお気に入りになってしまい、立て続けに何枚も彼女のCDを買う羽目になってしまった。


ART  TATUM

"THE ART TATUM - BEN WEBSTER QUARTET"

VERVE  LP
ts) BEN WEBSTER
p) ART TATUM
b) RED CALLENDER
ds) BILL DOUGLAS

1. ALL THE THINGS YOU ARE
2. MY ONE AND ONLY LOVE
3. MY IDEAL
4. GONE WITH THE WIND
5. HAVE YOU MET MISS JONES
6. NIGHT AND DAY
7. WHERE OR WHEN

rec  1956.09.11


DAVE  BRUBECK

"TIME  OUT"

CBS  CD
as) PAUL DESMOND
p) DAVE BRUBECK
b) EUGEN WRIGHT
ds) JOE MORELLO

1. BLUE RONDO A LA TURK
2. STRANGE MEADOW LARK
3. TAKE FIVE
4. THREE TO GET READY
5. KATHY'S WALTZ
6. EVERYBODY'S JUMPIN'
7. PICK UP STICKS

rec  1959.06.25


GEORGE  LEWIS

"JASS AT OHIO UNION"

DISC-JOCKY  LP
tp) KID HOWARD
tb) JIM ROBINSON
cl) GEORGE LEWIS
p) ALTON PURNELL
bj) LAURENCE MARRERO
b) ALCID PAVAGEAU
ds) JOE WATKINS

1. INTRODUCTION    (BASIN STREET BLUES)
2. SALLUTE TO OHIA STATE
3. COLLEGIAN
4. MAMA DON'T 'LOW NO MUSIC
5. CLIMAX RAG
6. LORD,LORD,Y7OU CERTAINLY BE  GOOD TO ME
7. HIGH SOCIETY
8. IF EVER I CEASE TO LOVE
9. THE WORLD IS WAITING FOA A SUNRISE
10.MARYLAND,MARYLAND
11.JUST A LITTLE TO STAY HERE
12.FREE AS A BIRD
13.I'LL BE GLAD WHEN YOU'RE DEAD,  YOU RASCAL     YOU
14.BURGUNDY STREET BLUES
15.OVER THE WAVES
16.BUGLE BOY BLUES
17.DOCTOR JAZZ
18.RED WING
19.SENSATION RAG
20.CORRINE
21.ICE CREAM
22.CHIMES BLUES
23.WHEN THE SAINTS GO MARCHING IN
24.MUSKRAT RAMBLE
25.FINALE


PEGGY  LEE

"BLACK  COFFEE"

ACE OF HEARTS   LP
vo) PEGGY LEE


1. BLACK COFFEE
2. I'VE GOT YOU UNDER MY SKIN
3. EASY LIVING
4. MY HEART BELONGS TO DADDY
5. IT AIN'T NECESSARILY SO
6. GEE BABY,AIN'T I GOOD TO YOU
7. A WOMAN ALONE IN THE BLUES
8. I DON'T KNOW WHAT TIME IT WAS
9. WHEN THE WORLD WAS YOUNG
10.LOVE ME OR LEAVE ME
11.YOU'RE MY THRILL
12.THERE'S A SMALL HOTEL

私とJAZZのことなど