03.誰でもない、君の為に

ただ、一人の為に

この想いは、悪なのだろうか

君はまたこれに、乗っているんだね……

望んではいない、そう思いたい。

「ザフトに、戻るの?」

この事実を知ってなお、戻るのだろうか。

同じことを繰り返してしまう。

そんなことにはもう、耐えられそうに無い。

「全てを知らねば、反論する事すら出来ない。思考は、知ることから始まる」

キラの問い掛けに、アスランは真っ直ぐにキラを見て返した。

「そうだけど……だけど!」

「キラ。必ず君の元に帰るから。それまで、待ってて」

守りたいのはこの世界じゃない

君が存在するための、世界

君の全てを守るため

ただ災厄を払いのけるだけでは、君は悲しんでしまうから

アスランの優しい眼差しを信じたい。

けれど、込み上げてくる不安がキラの瞳を揺らし、キラは俯いた。

「どこで、待てば良いの? 何をして待てば、良いの?」

力を手にすれば、また誰かの血が流れ。

それは自分に返ってくる。

「キラがどこに居ても、必ず戻る」

「僕は……」

「あの時だって、戻ってきただろ?」

「だけど…っ」

離れることは、あの時を思い出させる。

ホントに戦争になるなんてことはないよ

ホントに?

それでも、戦争になってしまった。

あの時は、父親に会いに行った。

ザフトのアスラン・ザラではなく。

それでも、その思いは否定されてしまった。

今度も無事に帰って来れる保障はどこにもない。

また再び逢えるとは限らない。

「キラ、好きだよ。君だけが。だから心配するな」

「アスラン……」

だったら、傍に居て?

っていうのは、我が侭なのだろうか

この世情で、僕達の立場で。

目を瞑っていられないことは、自分がよく分かっている。

聞こえるんだ……

逃げられないよ

色んな人たちの想いを、知ってしまったから

お題配布サイトさまよりお題を頂戴して、

拍手お礼小話とさせて頂いております。

分かり辛くてごめんなさいっ(><)パート3

ラクスが襲われた後に、こっそりと会う場面を捏造。

ザフトに戻っているのは、事実を知るため。

そして、誰でもない、キラのため。

という感じに仕上げてみました。

でも、アスランメインのはずが、キラメインに…(汗)

種は更新停止中ですいません。

それでも応援くださる皆様に、感謝を込めて。

本当に、ありがとうございます。

  2005.12.02 UP