03. 雑踏の中でもきみを見つけられる

「あ⋯⋯」

思わず、声が出た。

ぶつかったときの気配と今の気配が違う、そのことに気づく

白い、白い、苛烈なほどの光

我ここに在りと輝く光を感じることはないけれど

重なる

風に靡く白と そして風と戯れる赤

見覚えがあるどころか、少し前までは毎朝、鏡で見ていた顔。

自分とは違い、飛び跳ねている髪と。自分とは正反対とも言える、纏う気配。

この2つが他人であると伝えるけれど、ぱっと見ただけでは間違いそうなほど、よく似ていた。

気になって、気になって

それでも、容疑者でもない、ただの一般人を調べるのは⋯⋯

そう思って自粛した。

なぜか、ヤツの気配は分かってしまう

いや、なぜ何て、そんなものは分かりきっている

憧れを抱くほどの、強い、強い光

求めて止まない魂が、ヤツの気配を見抜くのだろう

けれど、変装されたら分からない

きっと、気配さえも自由に演じる事が出来るのだろう

素の自分さえも演じているのだろうか?

本当の自分を、見失ったりしないのだろうか?

コナンは我が身を振り返る。

自分を見失ってしまいそうな一瞬。

学校でも、居候先である幼馴染の家でも、寝るときでさえ、"江戸川コナン"を演じていなければならない現状。

無意識でさえ、そこに他人が居る限り、"工藤新一"であってはならない。

本当の自分を、見失ったりしないのだろうか?

あの時、好奇心に負けて追いかけなければなんて、一度として思ったことは無い。

どんなマイナスもプラスに変えて、前を向く強さぐらいは持ち合わせている。

けれど、焦ることはある。

苛つくことも、数え切れないほどある。

もう元に戻れない夢を見ることもある。

そして、 本当の自分を、見失うときもある⋯⋯

聞けるものなら、聞いてみたい。

星の数ほどの顔と声と気配を自在に操る怪盗に。

本当の自分を見失ったりしないのかと。

俺の推理が正しければ、怪盗の予告日は明日──

お前は"俺"を見つけてくれたから

今度は、俺が"お前"を見つけてやる

今みたいに

ほんの僅かな気配の違いも見逃さず

怪盗とは違う、ましてや演じている素でもなく、本当のお前を

見失うときがあったとしても、大丈夫なように

それだけだから

だから、見つけるだけなら、いいだろ?

お題配布サイトさまよりお題を頂戴して、拍手お礼小話とさせて頂いております。

コKなのかKコなのか。お好きな方でご想像下さいv

拍手お礼は全て曖昧! これを売りにさせて頂いております。

01、02と読みようによってはリンクしているようなしてないような? でしたが、

とうとう、02と03は繋げてしまいました。と言いますか、01にまで侵食。

03で全て繋がってしまいました⋯⋯。お礼小話でこれって大丈夫なんでしょうか。(遠い目)

大昔はこれが問題でしたが、目次的なページを挟むことにより、解決しました。

少しでも、楽しんで頂けていたら幸いです。

  2005.12.02 UP