無題01
立ってる場所が違う、そう思ってた
世界が、存在する空間が……違う、そう思ってた
自分の周りにある空気が、
彼の人の周りにある空気と繋がっているように、
いま見ている月を、彼の人も見れるように、
世界が違う
立っている場所が違う
そう、自分が思っていただけで
一緒に走ろうって言われた
俺は、とんでもないって思った
違う
それこそが違う
赤城を、早朝とも言える時間に走ってたのは、俺
こっそりと走っていたのは、
どれだけ逃げようとも、紛れもなく自分自身
世界が違うんじゃない
自分が違う世界に逃げたんだ
怖いから……
目の端にも映らない自分
幻滅させてしまうかもしれない自分
何も持っていない自分を知られるのが、怖かった
赤城に行くことすら出来なくなるのが、怖かった
けれど、
声をかけられて、嬉しかった
名前を聞かれて、舞い上がった
”走りに惚れたんだ”
嬉しくないわけが無い
見られたことに、しまった! と思う気持ちの方が強くとも
でも、同じ世界に立っていても
涼介さんと俺では、見てる先が違うんだよね……
結局は後ろ向きですみません……。
なぜか、ちょっと暗くなってしまいました。とほほ。