01.さよならは嫌い

「それじゃあ、俺、行きます」

たとえ、もう二度と逢えないのだとしても、さよならは言わない

「ああ」

今、乗り込む飛行機が落ちて、

不可抗力による別れを予感させる不安があったとしても

「不安を抱えるなとは言わない。とことん悩んで考えろ」

この声を、言葉を、聞く事ができないとしても

「そして、苦しめ。そこに見える何かがある。藤原には見える筈だ」

友情よりも強く

敬愛よりも深く

恋情よりも緩やかに

何ものも侵すことの出来ない繋がりを感じるから

それを抱いて、生きる

声帯を震わせ、声高に告げることが無くとも

「自分を誇れ。お前は──俺がこれと見込んだドライバーだからな」

これが今生での、最後だとしても

歩き出したその道に、合流地点が存在しなくとも

「行ってこい」

それでもあなたの存在が消えることはない

「行ってきます」

だから、さよならは言わない

お題配布サイトさまよりお題を頂戴して、拍手お礼小話とさせて頂いております。

ストレートに。

この二人は恋人同士ではなく、精神的両思い。

それで満足するアニキなんて在り得ないと思いつつ、たまにはってことで。(笑)

雰囲気だけで表現したくて、色んなもんを省略しまくり、Sを何個付ければいいのか分からない

激短の小話となってしまい申し訳も……ごにょごにょ。

  2005.10.05 UP