061 天草市﨑津・今富の文化的景観
天草市﨑津は天草下島の南西部、東シナ海に開口した羊角湾 (ようかくわん) 北岸に位置する漁村集落である。歴史的に流通・往来の拠点として、現在は主に漁港として機能している。業に伴う作業場や漁船の係留施設として海に張り出して設置されるカケ等、独特の生活・生業上の施設が価値の高い漁村景観を形成している。
今富は﨑津の入江の奥に位置し、大川内川が形成した東の大山迫、及び西河内川が形成した西の西河内迫の2つの谷地形を中心に農村が立地している。今富から﨑津へは農産物・林産物のほか、漁船の乗り子としての労働力も供給された。他方で、﨑津の漁家の婦人が水産品の販売に近隣集落へ出かけており、今富でも野菜・米などと物々交換が行われていた。今日でも、信仰及び婚姻をも含め、生活・生業のあらゆる側面において、﨑津と今富との間には密接な関係が維持されている。
﨑津・今富は、歴史的に流通・往来の拠点であるとともに、カケ・トウヤなど独特の土地利用の在り方を示す﨑津の漁村景観、及び近世以降の干拓により農地を広げつつ山裾に集落を営んできた今富の農村景観による一体の文化的景観が形成されている。当初は﨑津が重要文化的景観に選定されていたが、後に今富が追加選定され、「天草市﨑津・今富の文化的景観」となっている。

参考資料:国指定文化財等DB(文化庁) 
2023-6-14
天草市﨑津 (撮影:2002-2) 天草市﨑津 (撮影:2002-2)
写真があるのは﨑津だけです。
天草市﨑津 (撮影:2002-2) 天草市﨑津 (撮影:2002-2)
        重要文化的景観 ~天草市﨑津・今富の文化的景観
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