文化遺産の内容 奈良は、710年から794年までの日本の首都であり、政治・経済・文化の中心として栄えた。平城宮は首都の北部中央に設けた天皇の居所であり、行政機関の施設が付属していた。当時の宮殿や役所などの木造建築の遺構は今でも地下に良好に保存されている。首都とその周辺に造営された多くの社寺は、現在も法灯を伝えており、8世紀の堂宇をはじめ各時代の建物が残っている。 薬師寺・唐招提寺には、8世紀の古代建物が残っており、これらは当時の仏教寺院の伽藍を代表するものである。東大寺・興福寺は、主要部分については兵火によって創建当初のものが失われたが、多くは12世紀に再興された。再興に際しては、当時の新しい中国の建築技術が導入され、その代表的建物が東大寺南大門である。また、世界最大の木造建物である東大寺の金堂(大仏殿)は18世紀の再興であり、春日大社の社殿の建造時期は14世紀から19世紀に亘っている。 創建当初の建物がそのまま残っている例こそ少ないが、わずか90年に満たない時代に創建された寺社が1200年以上も存続し、往時の栄華を今に伝えていることは驚くべきことである。 青によし 奈良の都は 咲く花の 匂うがごとく 今さかりなり 小野 老 万葉集巻三328 参考資料:国指定文化財等DB(文化庁) 2023-6-20 |
世界文化遺産-古都奈良の文化財- |