東大寺は天平17年(745)、聖武天皇によって創建された寺院で、古代より多くの参詣客を集めてきた名刹である。中世以降、2度の兵火により多くの建物を焼失したが、草創当初の法華堂、転害門、本坊経庫及び正倉院正倉が現存し、その他の諸堂とともに、天平のたたずまいを今に伝えている。
法華堂は東大寺建築のなかで最も古く、寺伝では東大寺創建以前にあった金鍾寺 (きんしょうじ) の遺構とされる。天平勝宝4年(752)の東大寺山堺四至図
(さんかいしいしず) には羂索堂 (けんさくどう) とあり、不空羂索観音を本尊として祀るためのお堂である。旧暦3月に法華会 (ほっけえ) が行われるようになり、法華堂、また三月堂ともよばれるようになった。もとは寄棟造の正堂 (しょうどう) と礼堂 (らいどう) が軒を接して建つ配置であったが、鎌倉時代、礼堂を入母屋造に改築して2棟をつないだ。正堂は天平初期の建築であるが、礼堂は大仏様
(だいぶつよう) の特色が見られる鎌倉時代の建築である。時代の異なる建築が高い技術によって結ばれ、調和の取れた美しい姿を見せる。
参考資料:東大寺HP/国指定文化財等DB(文化庁)
2019-8-9 |