特徴等
琴ノ浦温山荘は、製革業で財をなした事業家新田長次郎が黒江湾を臨む海浜に営んだ別荘で、陸繋島 (りくけいとう) であった矢ノ島との間を埋立てて潮入の池泉を造成した庭園内に、各建物を配置している。主屋、浜座敷及び茶室が重要文化財に指定されいいるほか、正門や冠木門など6棟が附(つけたり)指定されており、庭園と一体となって往時のたたずまいを今に伝えている。
北冠木門は伴待部屋の東北脇、主屋の東に広がる庭園西北の入口に設けられた数寄屋風意匠の門である。中央を桟瓦、軒を銅板で葺いた勾配の緩い屋根をかけ、格子戸を嵌める。潮入式地泉回遊庭園が主屋の東西に配され、 庭園を廻る小径の要所に数寄屋風の瀟洒な小門が設けられているが、この北冠木門もその一つである。 それぞれが異なった意匠になり、庭園の点景になっている。
西冠木門は、主屋からその西に広がる池へと至る道筋に開かれた門である。幅1.7m、切妻造、 銅板葺で、屋根の中央部を軒廻りより一段高くし、桟の付いた幅広板葺状に仕上げる。数寄屋風意匠の瀟洒な門である。
南冠木門は、主屋の南側から庭園に通じる小径にある銅板葺の門である。湾曲した冠木を載せ、 隙間なく垂木を並べた編笠門と呼ばれる軽快な屋根を特色とする。 生垣の間に開かれ、庭園景観を引き立てている。

参考資料:国指定文化財等DB(文化庁)/琴の浦温山荘園案内リーフレット
2010-5-7
       
       
       
       
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番号・名称 年 代   構造等
073(附) 琴ノ浦温山荘北冠木門、西冠木門、南冠木門
(附)北冠木門 大正5年(1916)頃 木造、瓦葺及び銅板葺、幅1.6m
(附)西冠木門 大正5年(1916)頃  木造、銅板葺、幅1.7m
(附)南冠木門 大正5年(1916)頃 木造、銅板葺、建築面積1.8m  
琴ノ浦温山荘南冠木門
(撮影:2010-5)
琴ノ浦温山荘北冠木門
(撮影:2010-5)
琴ノ浦温山荘西冠木門
(撮影:2010-5)
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