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 2007年の春、新たな〈場〉が出現します。
 プラトン〜デリダの著作に由来する「コーラ」を継承して、ヴァーチャル空間に潜在的/可能的な〈場〉として、Web評論誌「コーラ」を創刊します。そして、未知の読者に本誌を贈呈します。

 思い起こせば、三年前に評論紙「La Vue」(紙版)を休刊にした後、さらなる継続をめざして「コーラ」の立ち上げを宣言したのですが、他誌との立ち位置の違いや発行形式が定まらずこの間停滞しておりました。その当時に比べても、新しい雑誌を創刊するパワーは充分だとは言えませんが、昨年末にメールマガジン「カルチャー・レヴュー」を不定期刊にすると同時に、Web評論誌「コーラ」の創刊を再度宣言したのでした。

 本誌は先の評論紙「La Vue」の視座を引き継いでいきます。
 「La Vue」は、表現を通して「他者」との交差、あるいは「視座」の交換をめざす媒体を模索していたことから始まりました。その基底には、〈思想・文化情況の現在形〉を射抜く批判的視座の発芽に関与できればというホット/クールな想いからでもありました(「La Vue」創刊の言葉)。

 その視座に加えて本誌「コーラ」には、新たに共-存在としての〈存在の自由〉という水平性と端的に〈ただある〉ことを肯定する垂直性の視座を交差させたいと思います。それが〈倫理の現在形〉というシリーズの企画であります(このシリーズは、12号をもって第1期の区切りを終えました)。「精神のリレー」(埴谷雄高)として、論争的/論創的にこのシリーズが受け継がれることを願っています。

 また本誌は、さまざまな方々の関心領域を発表する横断的かつ開かれた投稿誌でもありたいと思っています。立ち位置を越えてのご参加をお待ちしています。

 さらに本誌の目論見のひとつとして〈協働編集〉というのを言挙げしておきます。この作業を有効にするためには、「コーラ」という〈場なき場〉に立ち会う未知の読者の編集参加を求めています。その意味で本誌の編集委員会は暫定的であって、この「コーラ」という揺籃器にコミットメントする労力を惜しまない方々に対して、編集委員会は開かれています。

 例えば、責任編集という形で本誌の特集を組むことや、リアルの〈場〉でのトークセッション、また協働レヴュー(討議)を経ての共同執筆、合評会なども志向しています(果たせるかな!)。

 編集委員会に参加されたい方は、その意思表明(本誌を遣って何をしたいのか。そのために自分は何ができるのか。そしてどこまでを引き受ける用意があるのか)をメールにてご相談ください。(E-mail:yij00302アットマークnifty.com)

 最後に「コーラ」は来るべき世界に向けて、方向感覚を研ぎ澄ましながら、複数の声が交響しあう言語‐身体空間の〈場〉、生成的で流動的な〈場なき場〉の出現に賭けたいと思います。賭金は、読者であり投稿者である、あなた自身です。(2007.04.15)

★評論紙「La Vue」は「投げ銭」システムによって運営され、1999年12月の創刊から2003年12月の休刊までの4年間において15号を刊行したのでした(総目次は、こちら)。

Web評論誌「コーラ」01号(2007.04.15)
創刊の辞「方向感覚を研ぎ澄ましながら――論争的/論創的に」山本繁樹
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