雲取山(寺山峠尾根筋~一ノ谷~貴船)//北山
2017.01.28




 
雪深い一ノ谷を何度も渡渉する


2017.01.28 (土)  晴れ  哲郎、道子

行き:出町柳駅前バス停7:50 - 花背高原前 (京都バス)
帰り:貴船16:20 - 叡電貴船口 = 出町柳


コース:
・花背高原前バス停~林道終点~左手の支尾根~寺山峠から旧花背峠への尾根~標高620のピークから西の支尾根を下る~一ノ谷出合~二ノ谷分岐~三ノ谷分岐~勢竜天満宮~芹生ロッジ~芹生峠~奥貴船橋~奥宮~貴船バス停

注意:
◆寺山峠から旧花背峠への尾根周辺に道はありません。雲取山周辺は冬季1m前後の積雪となります。登山時は積雪情報を確認し、積雪に応じてワカン、スノーシュー、アイゼン等の装備が必要となります。







 チェーン装着で遅れたバス、花背高原前で降りる。後ろから団体さんがゾロゾロ・・・10人以上が降りてくる。彼らは民家の軒先で準備を始めるが、二人は林道を進み除雪が終わったところでシューを付ける。

 道には数日前のトレースがあり歩けそうだが、この先の林道終点から植林地の斜面をシューで登るので「めんどうだ!」と、最初からシューを付けることにする。準備に手間取っているのか団体さんはこちらに来ることもなく、ユックリのようである。

 この団体さん、全員がシューやワカンを持参しているわけではなく、先導のトレースを利用して進行するつもりなのだろうが、積雪は1mあり、アイゼンではなかなか進めないだろう。きっと大阪か奈良の団体さんだろう。今風に言うと「北山なめんなよ!」と言いたいところだが、比良で見かける雪見ハイキング風のハイカーではなく、ザックや靴もシッカリして、雪もしまっていそうなので心配はなさそうである。

花背高原前バス停で降りる 彼らは民家の軒先で準備を始めるが

 9時40分、歩き始める。スキー場跡のゲレンデは丁度滑り頃の積雪、きれいだ!。林道終点に着き植林地の雪を見て、予定通り寺山峠へ向かわず左手の植林地の支尾根に取りつく。植林地の積雪は80cm位だろうが、前日の雨で雪は重くしまっている。それでもシューが20cmも沈み歩きにくいので、急斜面をジグザグに登って行く。

 哲郎はカメラを取り出しテイク後にシューのベルトがブラブラしているのを見る。「留め具を移動しよう!」と素手で強引に移動させる。「しまった!」と、金具に指が当たり爪の間から血が流れてくる。素手でベルトをしたままの横着で、罰が当たったのだろう。バンドエイドで応急処置し道子が待つところへと登って行く。「処置が悪かったのか夜中に痛みだし、後日ひょうそ+打撲と診断され、当分ベースギターはお休みとなる)。

スキー場跡のゲレンデは丁度滑り頃 急斜面をジグザグに登って行く

 斜面を登っていると、上空にドクターヘリがやって着てホバリング、右下の谷に見えるはずの団体さんがいつまでもやって来ないので、何かあったのかと心配する。

 支尾根は急勾配だが、時々緩くなるとそこで一息入れることになる。標高800mが近づくと前方が明るくなり雑木が見えてくる。雑木の中に入ると雪は柔らかくなるが積雪1mとなり真っすぐ歩けないので、勾配の緩いところを探しながらジグザグに登って行く。

植林地を黙々と登って行く 雑木に変わるとさらにしんどくなる
写真の時だけ頑張る道子

 11時15分、寺山峠から旧花背峠への尾根に出る。「予定より20分早く着いた!」と道子に言う。雪がしまっていたので早く登れたようだ。左手の標高860mの小ピークに登って行くが尾根には薄いトレスがあるので、数日前にこの尾根を楽しんだ人がいるようである。

 ピークに着き尾根を進まず、今日もここから一ノ谷へ下ることにする。西へ進むと「×」の表示があり、その横を通って行くと尾根は南西に向きを変える。

寺山峠から旧花背峠への尾根に出る 「×」の表示の横を通って一ノ谷へ下る

 右に植林を見ながら下って行き、雑木が終わる頃尾根は2分する。前回は左にとり一ノ谷支流へ下って行ったが、今日は右にとりその支流口の一ノ谷へ直接下ってみる。植林の中、尾根が西から北西へ変わり始めると、目的地より上流に降りてしまうので、西北西へ下る尾根を探す。

 急な細い尾根で分かり難いが、前方にわずかに白く光る物を見つける。近づくにつれ尾根はハッキリしてきて「これだ!」と、この尾根を下って行く。左手には前回支流に降り立った尾根が見える。

 谷に近づくと尾根は二分するが目的の支流口への尾根は急勾配、でも積雪があり難なく降りることができる。道子は左手の支尾根から巻くように降りて行く。

今日は右にとり
その支流口の一ノ谷へ直接下ってみる
植林地を一ノ谷へ下る

 下に一ノ谷が見えてきて谷横に降り立つ。丁度12時、直接一ノ谷へ下ったので予定より30分早く着いたようだ。谷に降り渡渉するのだが、谷まで1~2m崖を降りることになるが、面倒な二人はシューを履いたまま谷に降りることにする(シューが何かに引っかかったら、もうアウト!)。谷に降り立った道子は渡れそうなところを探すが、水量多く対岸も雪の壁があるので、渡渉地点がなかなか見つからない。

下に一ノ谷が見えてきて谷横に降り立つ シューを履いたまま谷に降りる道子

 谷を渡った二人は目の前に見える林道へ登って行く。林道は80cm~1mの積雪だが、ここもしまっていて歩きよい。林道は何度も谷を越えていくが、橋が皆壊れているので渡渉することになる。当然二人はシューを履いたまま、水位が低くて対岸が登れそうな所を探して渡って行く。

 いつもは銀色のじゅうたんの上を心地よく歩いて行くのだが、今日は前日の風雨により多くの杉の枯葉が散らばっていて景観は良くない。なんて言っているうちに二ノ谷分岐に着く。

今日も林道を歩くことにする 二ノ谷分岐に着く

 二ノ谷口を過ぎると、すぐに右岸に渡り、その先で林道が崩壊している難所に来る。崖下で橋は大きく崩れ周囲の林道も消えている。ここは林道ができる前から難所であったが、無理やり林道を作ってもすぐに崩れたようである。

 ここは対岸の林道に渡れないので、少し下流へ向かい渡渉地点を探す。渡渉できても対岸の雪の壁を登らなくてはいけないので、二人は各々登れそうなところを探して渡渉する。

 対岸に渡り積雪1mの林道に乗る。植林が切れると雪面が綺麗に光、心地よく歩いて行くことができる。でも面倒な渡渉は続く。

渡渉地点を探す道子 対岸に渡り積雪1mの林道に乗る

 最後の渡渉を終えると前方が明るくなり三ノ谷分岐に着く。12時50分、予定より30分早く着いたので、木の上から雪の雫が落ちてこないところを探し立ってユックリの昼食とする。

 昼食も終わり、二人は芹生へ向かって林道を歩き始める。谷沿いの林道は芹生まで1.3~4Km高低差70m程度で歩きよいのだが、雪が重いので交替で先行することになる。

最後の渡渉を終えると三ノ谷分岐 明るい三ノ谷分岐

 谷沿いの林道には植林地が続き、特に見るべきものもなく、ただ黙々と歩いて行く。見るべきものと言えば足元に続く動物たちの足跡だけのようである。トレースがある方が歩きやすいので交替で先行することになる。三ノ谷分岐から30分歩いて、前方に勢竜天満宮を見る。これを見るとシューハイクは終わりに近づく。

動物の足跡に沿ってシューを楽しむ 勢竜天満宮に着く

 芹生ロッジがある消防機器試験場まで来ると、道は除雪されているのでここでシューを外す。今日は珍しくここに車が止まっている。外し終えた頃建物から男性が現れてきて、「奥のトイレを使って下さい!」と道子に声がかかる。道子がトイレを借り戻ってくると「奥さまがコーヒーどうぞ!」と。

 それではとシューを片付けるのは後にして、奥のロッジへ向かう。同じくして通りかかった立命小屋の様子を伺った男性2人と共に暖かい部屋でコーヒーを頂く。「4/29にこの広場でコンサートがあり宇崎竜童も来ます!」とご主人。今、芹生出身のご主人たちはNPO法人「芹生の里保存会」を設立中だそうで、彼はここの会社の社長のようである。

 色々と話が進んでしまい、身体が温まったところで「これから貴船へ向かいます!」と、ロッジを後にする。シューを片付けるていると遅くなり、橋を渡って芹生峠へと登り始めるのは15時05分、予定より35分遅れたことになる。

芹生ロッジがある消防機器試験場まで来ると
道は除雪されている
橋を渡って芹生峠へと登り始める

 峠までの登りは除雪してあっても滑るので、二人はチェーンの滑り止めを靴につける。貴船の最終バスは16時20分、「芹生から1時間で貴船バス停まで行けるやろか」と言いつつ登り始める。頑張って登ったのだろう、芹生峠で15時20分、15分で登って来たことになる。

 「それでもバスは間に合わないだろうな~」と思いつつ峠を下って行くが、こちら側の路面に雪は無くスイスイと下って行くことができる奥貴船橋で16時00分、「バス間に合うかも知れない!」と道子に言う。

 貴船神社奥宮で16時10分、「間に合う!」と二人は急ぎ足で歩くことにするが、40Lのザックで重装備では足が進まない。冬の夕暮にもかかわらず観光客で賑わっている貴船の町の中を走るように下って行き、丁度16時20分にバス停に着く。

芹生峠に着く 奥貴船橋で「バス間に合うかも知れない!」と

 バスには間に合ったが「こんなにたくさん乗れるやろか?」と思うほどの長い列を見る。やって来たバスはすし詰めで、気分が悪くなるような熱気、「これだったら歩いたほうが良かった!」と道子。叡電貴船口で着替え後始末をし、今日は叡電で帰ることにする。







木には望みがある。
たとい切られても、
また芽を出し、
その若枝は絶えることがない。


ヨブ記 【14-7】
ノリウツギ