小野村割岳 (ワサ谷~南尾根)//北山
2016.08.20


 
小野村割岳から佐々里峠への尾根で
心地よい緑を楽しむ


2016.08.20  (土)  晴れ   哲、道

行き:出町柳駅前7:50- 下ノ町
帰り:広河原17:30 - 北大路駅前
コース:
・下ノ町バス停~ワサ谷林道~林道ゲート(・594)~谷分岐~林道終点~△小野村割岳~P911~南尾根分岐~P781東ピーク~P711手前で南西の支尾根へ~広河原バス停裏~広河原バス停

注意:
・P911を下った南尾根に道はありません。薄い踏み跡を辿り軽い藪漕ぎがあります。支尾根がたくさんありますので初心者だけで出かけないようお願いします。
・小野村割岳から佐々里峠までの尾根には北への支尾根が幾つかあります。この支尾根は京大芦生研究林に下っていくので、迷い込まないように注意して下さい。









 猛暑が続く京都地方、「どこへ出かけても暑いだろう!」と。3年振りにワサ谷林道から小野村割岳出かけてみることにする。出町柳バス停、真夏なのだろう朽木行きの登山者も少なく、広河原行きの登山者は哲郎と道子だけである。

 下ノ町で降りると、車でやって来た10数人の団体さんが準備中、小野村割岳へ向かわないので行先を尋ねると「井口山です」と。「あそこは林道が崩れていて通れません!」と告げると、「昨年谷に降りて何とか行けました!」と言うことである。でも哲郎が今年の2月に調査した時は崩壊が進んでいて、とても女性では無理なような気がする。きっとこのグループは「okaokaclub」の「倉谷林道通れません!」という情報を見ていないのだろうと哲郎。

 準備も終わりワサ谷林道を歩き始める。8/25に開催される火祭りの松上げの柱をみて、その日の賑わいが頭に浮かぶ。

下ノ町バス停付近 火祭りの松上げの柱をみて

 谷沿いのウバユリは終わっているが、山裾にホツツジが咲き、足元に黄色いオトギリソウを見る。「これオトギリソウ!」とみていると、その横にサワオトギリも咲いている。オタカラコウが咲く谷を覗き、動き回る魚を楽しみながら歩いていると、前方から「おね~さん!」と道子を呼ぶ声がする。

 山裾の民家のお母さんが魚に餌を与えている。沢山の魚が集まり、子供を育てるように可愛がっているのだろう、これをみてお母さんは喜ぶのだが、この光景は数年前にも見たことがあり、「これは、ここで長居になるだろう!」と哲郎は思ってしまう。

 お母さんは久し振りに出会った登山者とお話がしたいのだろうと、二人は足を止め話を聞き入ることにする。「ここの雑魚が大悲山口にある、ある有名料亭でジャコの天ぷらとして出されていたそうで、折角育てているのに・・・・」と話は続く。

 話を伺っている間に、哲郎の首筋で何かがゴソゴソしているので手で振るって見ると大きなムカデが足元に落ちる。ムカデが頭に乗っかっていたようで、後からビックリの哲郎である。

咲き始めたホツツジ サワオトギリ

 水中のパンの欠片も消え魚もチリヂりと散って行ったところで二人は解放され、お母さんに別れを告げワサ谷林道を歩き始める。「暑いな~!」と、昨日降ったのだろう足元が湿っていて湿度が高い。途中で谷に降り顔を洗う哲郎。

 今まで群生していが、最近姿が見えなくなったルイヨウボタン、そこを覗いてみると、小株だが数株見つけ喜ぶ哲郎。今日は17時30分の最終バスで帰る予定、湿度も高い事だしユックリ歩くことにする。

 やっと林道ゲート(・594)に着きコンクリートの橋の上で休憩する。コンクリート橋はヒルの心配がないのが良い。もうアクエリアスを500mL飲んでしまった哲郎は新しいボトルに替える。

湿度も高い事だしワサ谷林道をユックリ歩く 林道ゲートに着きコンクリートの橋の上で休憩

 橋を渡るとジキタリスのお花畑、今年は暑かったので名残の花は少ない。十分休んでから出発する。道は細い雑木で覆われ見通しは悪く歩きにくくなる。小さな谷が暴れたのだろう、林道が数mほど寸断され送水管を見る。

 その先も細い雑木が道を塞ぎ、足元はゴロゴロ石で谷の様に荒れている。この林道でこんな光景は余り見たことがなく、何かが大きく狂っている様にも感じる。

小さな谷が暴れたのだろう 足元はゴロゴロ石で谷の様に荒れて

 やっと谷分岐の橋の上に着く。早速谷に降り顔を洗うが、谷は涼しく何時までもここに居たいような二人である。「もう、11時30分や!」と道子、いつもなら山頂に着く時間だから、今日はユックリ歩いていることになる。

 すでに林道の3/4以上進んでいるのだが、ここから山頂まで標高差300m以上あり、当然のようにここから勾配がきつくなる。高温高湿度の中、二人は黙々と足を進めていく。先を行く道子は崩れた谷筋の中で停まる。「ここは林道とちゃうで!」と哲郎、下ばかり見て歩いていたので二人は気が付かなかったようだ。

 林道まで引き返すのが面倒な哲郎は「左手の斜面の上に林道があるので植林地を登ろう!」と、二人は急斜面を登り始める。

谷は涼しく何時までもここに居たい おいおい、ここ林道とちゃうで!

 「引き返せばよかった!」と思うほど時間がかかり、やっと林道に辿りつく。そこはゴロゴロ石道の途中で、「やれやれ」と少し登って、なだらかになった林道を進み林道終点に着く。

 林道終点から谷沿いに進む。最後の水場だとタオルを濡らし顔を洗う。いつもはここで昼食としているが、この暑さ昼食後に山頂までにある急斜面を登るのはいやだと、斜面を登って行く。所々に火事で焦げた痛々しい木を見ながら支尾根を詰めて行き△小野村割岳に着く。

林道終点から谷沿いに進み △小野村割岳に着く

 山頂は風が通り心地よいと、ここで昼食とする。今日はワサ谷といい、この山頂といい、何故か寄ってくる虫が少ない。「カトリセンコウのお蔭やろか!」とそれを見ると、もう切れているので、新しい線香に火をつける。

 哲郎は上着を脱ぎ身体を拭いていると、肘にくらいついているヒルを見る。それを弾き飛ばしたが上腕にもいて「ヒル避けや!」と道子にいう。林道を通らずに植林地を登ったところで付いたのだろうと後悔する哲郎である。道子はスパッツを外しヒルチェック、1匹見つけこれを退治する。ヤレヤレの昼食タイム、オニギリを食べ終えた二人は佐々里方面へ歩き始める。

ツルリンドウ 二人は佐々里方面へ歩き始める

 こんな暑い日にこの山に出かける人はいず、静かな尾根を二人は緑を楽しみながら進んで行く。この尾根には小さなアップダウンしかないが、今日はとにかくチョットした登りでもシンドイと感じる二人。P911を下った分岐に着き、「こちらの尾根も久し振り!」と今日は南尾根を下ることにする。

P911の大木 南尾根分岐

 南尾根は疎林が続く細い尾根だが、素朴な感じが残っていて哲郎のお気に入り。しばらく緩やかに下って行くが、今どこを歩いているか分からなくなるくらい、同じような光景が続く。

 やっと標高750mの鞍部に着く。ここから小ピークを登り返して桃木小屋への分岐(P781東ピーク)に着く。今日はP781(桃木小屋方面)へ向かわず、もう一つ南の尾根から広河原へ下ることにする。

素朴な南尾根は哲郎のお気に入り 南尾根は軽い藪漕ぎが続く

 尾根を下るにつれヤブは消えていき太い雑木が増えてくる。下ノ町へ向かうP711の手前で南西への支尾根に乗る。いつもの横たわっている大木の横を通ると、「これでルートはあっている!と一安心する。

 小ピークへ20m登り右手にネットを見ながら下って行くと広河原はもう近い。シダの斜面を少し登った小ピークから西へ急斜面を下って行く。途中で古いTVアンテナを見るとルートはあっていて、最後は植林地に出合い少し左にとり、広河原バス停裏へ降り立つ。

横たわっている大木の横を通ると 古いTVアンテナを見ると

 庄兵衛さんに「後で行きます!」と告げ、オバナ谷の河原で後始末する。バスまで1時間以上あり、ユックリとビールを飲み「おかわり!」の哲郎。道子は久し振りだと、おかみさんと話し込む。

 今日は何の楽しみもなく、蒸し暑くキツイ登山であったが、いつものうるさい虫もいず、何かホックリした二人は「来てよかった!」と、最終バスに乗り帰路に着く。







山は上がり、谷は沈みました。
あなたが定めたその場所へと。


詩篇 【104-8】
名残のジシタリス