京都北山 コウンド谷の古道に再挑戦
2020.08.10(月)  


山波 桑谷、峰床、鎌倉山


2020.08.10 (月)晴れ 市内38℃ 花脊峠朝26℃  Ikomochi
行き:出町柳バス停 7:50 - 能見口バス停
帰り:能見口バス停 17:29 - 出町柳バス停



コース:
出町柳発広河原行き7:50→能見口9:35着~コウド口橋10:10=10:25~大栃10:40~桂の広場11:40=12:10~古道を遡る~沢右股分岐12:45~分岐を左股へ~古道にのる13:10~尾根に上がる14:00~P951 14:05=14:45下山~伐採地15:30~コウンド谷西尾根~道にあう16:00~コウンド谷16:25~コウド口橋17:00~能見口バス停17:25=17:29発出町行バス








       コウンド谷の古道に再挑戦、山も猛烈な暑さでへとへとになりました。

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 連日の高温続きですっかりばて気味。花脊峠を越えれば少しは空気も涼しいかと、6月にこけたコウンド谷古道に再挑戦。出町柳バス停では広河原行きに行列はなく、発車前の朽木行きも混んでいずしかも一般客の方が多い。

 バスを待っているとお巡りさんが近づいてきて、ホイッスルです とくれた。今日8月10日は山の日だそう。山岳連盟の人が冊子を配っていた。そういえば、去年同じ日に保津峡駅でアンケートを取られたなあ。みなさん ご苦労様です。広河原行きバスにも山姿は数人しかいず、これで山の日っていうのかしらん。

今日は山の日だそうな 朽木行きのバス空いてる

 能見口で私と大きな荷物を抱えた男性の2人が下車。花脊峠の温度計が26℃だったので期待していたが、ここも暑い!!橋の下でにぎやかな声が聞こえるので覗くと、川では水着の男性が水遊びしている。透き通った水は冷たそう。山に行く目標がなければ、能見川の浅瀬を歩いて遡りたいといっつも思うのだが。

 一緒に下車した男性には車のお迎えが来るようで座って待っている。久多峠の通行止めが解除なのか、今日は車の往来が多い。真っ青な青空、わき上げる白い雲、気温はぐんぐん上がる。 能見集落の入り口や真ん中、外れに数体、村を守るお地蔵さんたちには、お盆だからだろう、新しい花が供えられお菓子もある。久多の川地蔵もそろそろだなあ。一度見たが、せせらぎの中に石が並べられきれいな花束が供えてあり、その美しい光景に驚いたことだった。志古淵信仰に由来するお盆のお祭だそうだ。

真夏の能見村 村のお地蔵さん

 コウド口橋のロッジはどの家も人の気配がして、賑わっている。道沿いに大きな杉が並んでいたがすべて切り倒され、斜面の上まで伐採作業中だ。昨今の強風で倒木を避けるためだろうか、仕方ないが。 今日はよそ見をせずにせっせと歩いてきたので、バス停から30分余りで林道入口に着いた。 橋から渓流を眺めていると、黒っぽい大ぶりの鳥が岩の上をぴょんぴょん。じっとしていないのでよくわからないが、カワガラスだろうか。

光砥口橋では伐採中 能見カントリー

 ノウミカントリーの表札がかかる広場の前でおにぎりをほう張り、飲水。なにか忘れたと思ったら、スパッツがない。ヒル除けに必需品なのに。仕方がないので、今年発売のディード入りサラテクトを膝から下にたっぷりと吹き付けた。

ヒル除けディード 爪をたてたか角で突いた?
マツカゼソウ 栃の大木

 さあ 今日こそは古道をたどろう。出発。2回目のコウンド谷は様子もわかってきたので倒木も上手に迂回し、どんどん歩を進め出発して1時間余りで桂の広場に着いた。

桂の木の広場に着く 苔蒸した桂の木

 しかし、谷間は蒸し暑い。汗がたらたら流れ喉が渇く。首に巻いたタオルはぐっしょり。風が通る広場に座り込んで休憩した。涼しげな葉をつけた桂の老木、幹も根元も苔で覆われ、よく見ると巻き付けられたワイヤーロープは幹に取り込まれて一体化している。古いものなのだろう。

 古道の下流にもワイヤーロープの痕跡があった。苦労して切り倒した木を運び出したのだろう。なにか白っぽいものが落ちているのでみると、オオミズアオだった。薄水色の大ぶりの蛾、時たま、夜どこからともなく灯をめがけてひらひら飛んできた。優雅な蛾を見つけたときは見とれたものだった。

 最後に見たのはいつだったのだろう。長い間見たことがなかった。山奥にはまだ住んでいるんだなあと、嬉しくて写メを友人たちに送った。携帯の電波はこの谷では届く。能見の村はずれに大きな送信タワーが立っているからだろう。携帯の電源を解除すると、友人たちから これはいったいなに?と次々にラインが送られてきて、しばらく遊んだ。

ワイヤーロープの痕跡 オオミズアオ

 ヒルチェックしたが、1匹も姿がなく今日も大丈夫だ。汗が引き飲水もたっぷり、さあ 今日こそは古道をきちんと歩こう。先回尾根に登った斜面、見上げたが あの時なぜ登ろうと思ったのか いまでは思い出せない。木の精に呼ばれたことにしておこう。

更に奥へ古道をたどる 古道の痕跡も崩れて
足場の悪い沢を登る 沢の分岐。左に古道が続く

 桂の木から沢の右股沿いにしばらくは広い道があるが、すぐに大岩が重なる沢にぶつかる。よく見ると、左岸には古道の痕跡がある。切り立った狭い谷間なので、すぐに崩れるのだろう。流れる水は少ないので楽に越えることができるが、大岩の間を歩ける場所を探しながらよじ登っていく。

沢分岐、右股 沢分岐、左股

 よじ登るとは本当で、上流から下を眺めると傾斜がかなり急で、下流は視界の先に落ち込んで見えない。30分ほど奮闘すると急に平らな分岐に出た。沢は二つに分かれ、左股の付け根から尾根の斜面に向かって広い道が折れ曲がって登っている。これが古道かなあ。

左股の上流部 危うく踏みそうになったヤマヒキガエル

 右股のほうはというと枯れた沢が尾根に向かって突き上げているが、このどこかから、P951に至る近道があるのだろう。分岐から左股を見ると苔むした大岩の沢の脇に踏み跡があるのでとりあえずたどってみるが、支尾根の先端の急斜面にさえぎられて次は沢の中を登る。

左股沿いに古道が続く 立派な古道が尾根を目指している

 傾斜がきつくなり、どうにも前進できなくなったので、やはり古道は先ほどの分岐を登る巻き道が正しいのだろう。沢の斜面をよじ登り右岸の上部にでると、そこには平らで広い道があった。藪に埋もれてもいず、いまでも頻繁に歩かれているようでうれしくなった。道を下って先ほどの取付きまで確かめ、そこから再度尾根に向かう。

尾根に近づく 道は藪漕ぎとなる

 沢の左股の上部にトラバースの道が続き、途中沢を横切って尾根に向かう。ジグザグに登っていく。ブナの木が迎えてくれる。青空が透けて見える。もうすぐ尾根に着く、と喜びは一転、眼前に立ちはだかる背丈ほどのワラビのブッシュ。びっしり生えているので掻き分けながら歩く。

恐るべし岩姫わらびく 兎に角暑い!

 道はくっきり掘りこまれているので迷うことはないが、むーんとした草いきれの中、わらび原を泳ぎ、抜け出したときにはへとへとになっていた。すぐにP951の古木に会いにいった。尾根を渡る風が火照った身体に有難い。汗まみれのシャツを着替え脱ぎ捨てる。

比良望遠 P951の古木

 すると驚いたことに、さっきまでまつわりついていた小さなブヨたちは、私ではなく、その脱いだシャツにたかっているではないか。汗の塩をなめているのだろうか?桂の広場から沢を登るにつれブヨ軍団が襲ってくるようになり、大きな銀蠅状のアブもしつこく背中やら腕を狙う。細かいのは耳たぶや目の回りを狙ってくる。ばたばたと祓うが追いきれない。時たま虫よけスプレーを振りまいてもその場限り。この前の愛宕といい、夏場の沢はヒルよりもブヨ・アブという強敵がいる。

 ブヨ軍団から逃れ、やっとほっと一息、熱い紅茶を入れてすする。その写メを自撮りしてラインで送ったら、すぐに 山でウィスキーを飲んでいるようだ と友人たちが騒ぐ。

ウィスキー飲んでませんよ! 下山します

 山頂では電波が届くので、山並みの写真などを送って一緒に景色を楽しんだ。山を歩くのは一人だが、こうして写真をリアルタイムでみんなで共有できるって楽しいことだ。新しい発見だ。ワラビの藪漕ぎですっかり疲れたので今日はここで終わり。のんびりしていたら、もう14:40また遅い時間になってしまった。もう下山に掛からねば。

立派な台杉 伐採地

 尾根のわらび原の繁殖ぶりはすさまじい。後で調べると、イワヒメワラビと言って鹿が食べないのだそうだ。芦生も小野村割の尾根も日当たりのよい場所はあれよあれよという間にびっしりと茂っていたが、いまや困り者だ。Oさんが、中国から黄砂に乗って飛んできて瞬く間に広がったんだと言っていたが、原産地は中央アジアから広く分布しているそうなので、あながち真実なのかもしれない。

 今日は伐採地から林道に出て早稲谷林道を下る予定だ。先日の赤いマークの枯木を南下して大きな台杉の下を抜けて次のこぶに乗る。踏み跡もはっきりしており、伐採地を囲む網の横を歩く。このまま下れば林道終点だなとどんどん歩いていくが、気づくとなぜか杉の木立をかき分けている。あれ?通り過ぎたのかなあ。

伐採地からの山波品谷遠くに長老 もうすぐ林道かな?

 周囲を見ると、東に尾根が見えあれはコウンド東尾根だろう。ということは、西尾根に乗ってしまったのかなあ。引き返して探すよりもこのまま下ったほうが早そう。尾根の芯に乗るようにすると薄いが踏み跡はある。

 しばらくして左の斜面からはっきりした道が登ってきている。この道を下ってもよかったが先が分からないので、そのまま尾根芯を下り、もう16時、いよいよ時間が遅くなったので途中で東側の支尾根に入り、斜面を下った。ここにも薄いが踏み跡がきっちりとあり、どこかにたどり着けそうだ。

 Oさんにくっついて広河原の道なき尾根を歩いていてよかった。周囲の山を見る、尾根芯を歩く、ブッシュの抜け方、斜面の下り方 見よう見まねで教わった。その経験が今に生きる。Oさん感謝。杉木立がいつしか馬酔木やシキミのブッシユに変わり、瀬音が聞こえた。沢に下ってきたようだ。

なぜか藪漕ぎしている 東にコウンドの尾根が

 最後に出たのは、コウンド谷の林道だった。沢が2股に分岐した細い尾根を下ったようだ。ここまでくればすぐに出口だ。とりあえずバスに乗らねばと、小走りで下る。今日は暑くて汗を流し、3リットル担いできた水はほとんどない。喉が渇く、汗がべとべと。岩場を滴る水を手に受け喉を潤す。生き返って、あとはひたすらバス停を目指した。

山道に出会った 下って沢に出た
乾いた喉にお助け水 林道入口に出た

 ロッジではバーベキューを楽しんだりハンモックに揺られたり、のんびりくつろぐ人たちを横目に小走り。17時25分に能見口橋に着き、最後のお湯でコーヒーを入れて飲んでいると、懐かしいメロディーが近づいてきた。 今日は、時間が読めずバスに遅れてはならないと焦った。どこで間違っただろう。また探しに行かねば。コウンド谷は一筋縄で行きません。

六地蔵さんの周囲も伐採された 目覚めたらお岩だった

 ところで、翌朝起きて顔を洗ってびっくり、右目の回りがパンパンに腫れてお岩状態になっていた。耳たぶも熱を持ちまっかっか。目の周囲に薬を塗るわけにもいかず、保冷剤でひたすら冷やして過ごしたら、夕方には腫れが引いた。ヒルよりも恐ろしいアブにブヨ。夏場の谷歩きは注意しましょう。


                 【 記:ikomochi 】