ユキワリイチゲに会いに行きました


 
パタッと花弁が開いた
ユキワリイチゲ


2019.3.9(土)晴れ 15℃ Ikomochi

コース:
・京都駅9時53分発→草津→貴生川駅10時16分着=あいくるバス10時25分発→東前野11時19着=瀧樹神社~田村神社~土山宿~近江土山あいくるバス15時39分発→JR貴生川駅→京都駅17時27着




 ユキワリイチゲに会いに行きました。

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 先週のセツブンソウに引き続き、自生地探訪です。山で出会うのには野草大好きさんの情報網に頼らないとなかなか会えないユキワリイチゲ。やっと山道を登って行っても時期が早かったり、行方が分からなくなっていたりで、これまで一度しかお目にかかったことがない。

 もともと自生地だったのが気づかず、たまたま氏子さんが落ち葉の掃除をしていて発見、それから保護して10年の今では大きな群生地となった瀧樹神社があると知り、出かけてみました。

 ユキワリイチゲはことさらに陽の光を好むそうで11時以降は開花しないらしい。瀧樹神社は滋賀県土山町にあり遠いけれど、幸いにしてJRとバスを乗り継いで2時間ほど。お天気は上々、カメラを担いで出かけました。

瀧樹神社 瀧樹神社社殿

 瀧樹(たぎ)神社は大きな鎮守の森の中の立派なお社で、一歩中に入ると清々しい空気が溢れている。お社の前を通り境内を進むと、ありました一面のユキワリイチゲ。木陰で薄暗いのでまだ開花せず、蕾がたくさん。写真を撮っている女性が、下の方に行くと開いていますよと教えてくれたので、野洲川の河原の近くに下りていくと、斜面一面が花畑でした。

 さんさんと射す暖かな日光を浴びて、たくさんの花が開いています。ヘリ石に座ってシャッターをパシャパシャ。同じようにカメラを向ける人、今年も咲いたなあと見物に来る人、入れ替わり立ち代わり人が来るけれど、常時20人もいるでしょうか。お蔭でゆっくりとお花に対面できました。

そろそろお目覚め ねむい
保護区です わーい お日様だい

 じっと眺めていたら、「ぱたっ」とかすかな音がして、なになに?と見たら、今しも花びらが一枚ぱたっと開いたところでした。分厚目のしっかりした花びら(萼片とのこと)なので、開く音が聞こえたのかもしれません。決して空耳ではありませんよ。そんなこんなで嬉しくて、2時間余り、あっちの群落、こっちの群落と花が開くさまを眺めて楽しみました。

 おじさん軍団に話を聞くと、岐阜県から来たそうで、朝から落合に行ってこれからどこに行こうかなあと相談中でした。毎週花を追いかけて他府県にまたがって車で走り回っているそうです。関東にはイチゲがないからここまで来たという人も。かと思うと、カメラは何が良いかと情報交換中のグループも。アングル指導中のグループも。山仲間にはない世界がここにはありました。(いや 似たようなもんでしょうか?)

陽射し浴びて全開 花びら状は萼片だそう

 瀧樹神社の近くに、伊勢神宮の斎宮が立ち寄ったという斎宮頓宮跡があるので、行ってみました。こんもりした森の中に小さなお社があります。京都から勢多、甲賀と来て3日目にここ土山垂水頓宮に着いたとか。三条大橋から土山まで約52キロ、1日あたり17キロ徒歩4時間半の行程。しかし、絵とか見ると斎宮群行は腰輿(およよ)に乗って担がれているけれど、乗る方も担ぐ方も大変やったろうな。300人もの大行列やったというし。源氏物語の斎宮と御息所もここに泊まらはったんかしらん。

オオイヌノフグリ ホトケノザ
自生地 斎王垂水頓宮跡

 東海道で鈴鹿峠を越える手前の宿場が土山宿だったそうで、今も保存されているらしい。坂上田村麻呂が鈴鹿峠の悪鬼を退治したのでその功績を讃え祭ったのが田村神社だそう。征夷大将軍で東北地方平定した人くらいの知識がないので、こんなところに立派な神社がありびっくりです。しかも、この田村神社は厄除けの神さんらしく14万の人出があるとかで、社務所の横には受付窓口がずらりと並ぶ建物があるのに二度びっくり。

清流野洲川のほとり 御神矢が守る社殿
今年の厄年は 14万人がお参り?ずらりと並んだ受付窓口

 土山宿は全長2キロ半ほどあり、大きな宿屋風の建物が整然と立ち並んでいるさまは、ここがいかに栄えたのかを知るよい機会でした。旧東海道を歩いているのだろうグループとすれ違いました。「ここまで来たからには最後まで行こうね」と話していたので、東海道53次を延々と歩いておられるのでしょう。ご苦労様です。

遠く鈴鹿峠方面を望む 土山宿
立派な家並が続く宿場町 可愛いお地蔵さん

 今日は貴重なユキワリイチゲを見て、古くからの歴史に思いを馳せながらぶらついた旅でした。でも、道中山頂に雪がほとんど残っていない綿向山や雨乞岳(帰宅して地形図を広げ山の位置や形から探して確認)、そして京都の山からは遥かかなたに見える南鈴鹿の山々を近くに眺めながら、思いはやっぱり山へと飛んだのでした。(公共交通機関利用日帰りでは、到底登れそうにない山域。いつか行けるといいなあ)

土山宿 加賀屋 もうそこが南鈴鹿の山々

 しかし、鈴鹿峠の近くとは、はるばるきたもんだ。かつて鈴鹿サーキットに毎夏遊びに行っていた時、土山を越えると、あーやれやれとほっとした記憶がある。遠い遠い地と思っていたのに、意外に地域バスが便利で、さすが東海道、さすが要衝の地、滋賀県は奥が深いぞと再認識した次第です。


                             【 記:ikomochi 】