1カ月ぶりの山歩き
大文字山の古道を探索に行きました


 
春の芽吹きです


2019.4.6(土)晴れ 16℃ Ikomochi

コース:
・銀閣寺バス停11:40→昼食→大文字山登山道入口12:15→中尾城址堀切12:50→沢13:10→出会坂の尾根13:10→古道を下って中尾の滝13:35→休憩→中尾の滝の尾根14:00→山頂登山道三叉路14:25→尾根から作業道をたどってロープのある階段15:05→山頂三角点15:10=休憩15:35→熊山の尾根→中尾の滝16:00→堀切→登山道入口17:10→銀閣寺バス停






 1カ月ぶりの山歩き、大文字山の古道を探索に行きました。

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 前夜が花見会で遅くなったので、朝をゆっくりできる大文字山です。出町柳も銀閣寺道も大勢の観光客でごった返しているけれど、白川疎水べりの階段の特等席は独り占めで、花を見上げ水面を漂う花筏を楽しみながら、おにぎりをほうばった。満開になりかけの桜並木は、白雲で覆われているよう。外人さん夫婦がしきりに写真を撮っているので、どこから来たのかブロークン英語で尋ねると、イタリアはローマだそう。いい日だよねと話しながら、一緒に「綺麗!」と歓声をあげた。人混みを避けて裏道から登山口へ向かう。下ってくる人に話を聞くと、今日はみなさん花見に出かけているようで登山者は少ないとのことだ。

銀閣寺白川は花の雲
若葉がまぶしい

 いつもの堰堤から中尾城址堀切へと登る。若葉の黄緑色が鮮やかだ。尾根に登って辺りを見回すと、木々の先はまだ赤い新芽がちらほらで山桜の白色の影も見えない。辺り一面にヒサカキの甘酸っぱい香りが漂い、春の到来を喜ぶ。

上から見ると、掘れた道型がくっきり ヒサカキの甘い香りで山が満たされている

 今日は先日気になっていた谷へと、堀切からの道を下ってみる。山道というよりも2mはありそうな広さで、作業道かしらん?尾根との間を抜けて沢へ出た。中尾の滝の下流だ。この沢沿いの道は広くしっかりと固められてあり、ここも古道であることが分かる。

堀切を東の谷へと下る
中尾の滝の下流にでる

 「GO!GO!neko819」さんのブログに「京都近代オーバレーマップ」の紹介があり、アクセスしたら京都の古い資料がたくさんあり、その中の国土地理院の情報ライブラリーにたどり着いた。地理院で保管してある古くからの地形図を注文すると、コピーして郵送してくれる。嬉しくなって明治や大正、昭和の各年代の地図や京都、大津各地の古地図をどさっと注文した。(1枚500円からです)。

 大文字山近辺をたぐっていくと、明治時代の地図には現在使っている山頂への登山道の記載はなく、中尾城尾根の堀切を起点に滝を越え出合坂や熊山方面へと道がある。また中尾の滝の沢伝いに山中越えに出る道も古道であった。

 大文字山の北の谷には中尾城址尾根が入り口で、その東側の谷間や尾根には縦横に道がはしり、人々が行き交っていたようだ。そんなこんなで、この間たどった掘り込まれた道の数々は古道であったと確信をした次第です。

 さて、今日の目的の一つは、堀切から下って沢の対岸から東の尾根に上る道を探すこと。中尾の滝の沢(名前は分からない)の右岸対岸に地形図では緩く広がる斜面があるので、検討をつけて道を探すと、倒木で荒れてはいるけれど踏み跡があった。ゆるゆるしばらく登っていくと1月に迷い込んだ尾根の深く掘り込まれた乗越しに着いた。よく歩かれてきたようで、ここからP328方面へと繋げたのだろう。道の確認ができたので、次は明治の地図にあった中尾の滝から尾根を登っていく道を探しにいく。

沢沿いに古道が残る
緩やかに尾根へと登る
一株のシハイスミレ 1月に迷い込んだ尾根に出た

 中尾の滝の頭上にあたる小さな支尾根の先端には、袋や鉄棒や石が置いてあるのでなんだろうかと見に行くと、軍手も枝に引っ掛けてあり、どうも階段を作ったり道整備をしている様子だ。きっと、中尾の滝の下手にある急な登りの斜面から直でここにくるつもりみたい。そんな苦労しなくても、先ほど登ってきたゆるゆるの道を使えば歩きやすいのになあ。ま どうでもいいけど。

 尾根を歩いていると、何か気配がするので、「うん?」と周囲を見回したら、あーー白いものが木立の隙間から見え隠れします。咲き始めた山桜。見て見て!と呼んでくれたのね。見渡す尾根にはまだ白いものが見えなかったので、今日初めての唯一の山桜です。

かすかな気配に振り向くと。さくら
中尾の滝から直登道を整備中らしい

  今日はみなさんお花見にお出かけのようで、中尾の滝は水音が響くだけで静か。ここも独り占めで、倒木の椅子に陣取ってのんびり。小鳥のさえずりが聞こえるけれど、まだ群れではないみたい。

滝つぼ 蕾をつけたチャルメラソウ

 さてと古道を探索に行きますか…とうろうろしていると、一人男性がやってきた。こんにちはと声を掛けるも、なんか挙動不審。あっちに行ったりこっちにきたり。迷ってるんかな?どうしたんですか?と声を掛けると、「みちみちクラブで迷いにきたんです」「???」。

 見ると、首からぶらさがった地図ケースには見たことがある地図が。「それってokaokaさんの地図ですよね?」「あっ 知ってますか?」「ええ わたしもokaokaの一員で」「えっ みちさんですか?」「いえいえ いこもちと言います」「….」。

 聞けば、okaokaさんの紀行に出合っていたく感動し、大文字山にはまったそうで、okaokaさんの地図を片手に道に迷うのを楽しみに来て今日で2回目だそう。それにしても 大丈夫かなあ? 東西南北は見当ついてますよね? 地形図は持ってますよね? とお節介を焼いてしまう。地形図ではまったくどこにいるか分からないらしいけれどGPSとコンパスは持っていて、三角点の方向は分かっているそうなので、「じゃあ 楽しんでくださいね」と別れた。

キブシの花 山ラーメン

 大文字北の谷の真ん中に背骨のように位置する中尾の滝からの尾根、ずんと三角点山頂までせりあがっていくが、ずっと傾斜のある登りで、ほんとにこれが古道なんだろうかと疑問だが、どんどん登っていくと途中には幻の滝から竜王尾根に至る道やいくつか分岐がある。

中尾の滝から尾根の古道に登る
掘りこまれた道が続く

 古地図では三角点への登山道のどこかに出るはずなので気を付けながら分岐を探していくと、傾斜がきつくなる最後のあたりで右側にかすかな分岐があった。よく見ると踏み跡もしっかりしているのでたどる。巻道である。すぐに、登山道と出合い、そこは登山道から竜王尾根に向かう巻道の入り口でもあった。以前、ここの分岐で東に延びる平らな道っぽいものを見つけてもしや?と思っていた場所だった。しかし、この道は傾斜も急で物を運ぶには大変だったろう。荷車などが通行したのは、出合坂の尾根の古道で、こちらは山頂に行くための道だったのだろう。

尾根から西へ 巻道が延びる
巻道は山頂登山道に合う

 今日の課題は終え、さてどうしようか?先ほど見かけた尾根の分岐のどれかを行ってみようか?中尾の滝の尾根に引き返し、少し下ったところの分岐を東へたどってみる。分岐の入り口は平らで広いけれど、進むにつれて次第に細くなっていき、獣道に等しくなった。しかし、ここには赤い境界杭がずっと打ち込まれていて、ところどころに赤いテープもあり、さらには斜面をよじ登ってきたような跡もあり。まったく物好きな人も多いものだと自分のことは棚に上げて、笑ってしまう。

三叉路になっている
尾根の分岐を東へ
赤い境界杭が続く しきみの花が咲く

 この細道は、等高線上を巻いていくようで、足元は急な傾斜地である。一歩踏み外すと転がり落ちて、木にひっかかり大怪我しそう。足場の悪いところは木の枝や木の根はては石をつかんで、慎重に足を運ぶ。片足くらいの幅のところもある。いい加減どこかの支尾根につかないもんかなあ?40分以上緊張しながら進んでいくと、目の前にやっと支尾根の傾斜地が現れた。やれやれ、早く平らで広い道を歩きたい。と思ったとたんに気力がなえた。

 あと数メートルで支尾根に着きそうだけれど掴む木も根も一瞬とだえる部分が眼前に現れて、もう進むのは嫌や きっと足を踏み外すかも と思い、そんな時には逃げるに如かず。手の届く範囲の木の幹にしがみついて腕力勝負で斜面をよじ登った。少し奮闘したら、やれやれ道に出た。そこは、ロープのあるあの階段道だった。そういえば、ロープの横に獣道みたいな踏み跡があったよね、これやったんか。上からだったら、絶対行ってみようなんて考えもしなかったろう。(この細道は結構危険です。初心者は行かないでください)。

巻道は次第に細く足場が悪い
斜面をへつって細道が続く
出たところはローブのある階段

 はああ 疲れた。山頂三角点の丸太に座って、ぼけーっと景色を眺めた。次々に登山者がやってきて、歓声が響く。黄砂が空を覆い、西山も愛宕も霞んでいる。そうやって30分ほどいただろうか。さあ 帰らなくちゃ。どう行こうかな?とりあえず山頂から北へ杉林の道を下っていく。

山頂は黄砂で視界不良
三角点は賑わって

 少し緩やかになったあたりに小鳥がたくさん群れていたので眺めていると、後ろから声を掛けられた。中年の女性だった。「桜はさいているでしょうか?」と聞くので「今日は1本しか見てないんですよ」なんでも、昨年この下側で早咲きの桜があったのだそう。見に行きましょう と一緒に下っていくと、「ああ あれです」見ると、大きな桜の木が真ん中でぽっきり折れて、幹の先端は地に頭をついている。花はなかった。幹がまっぷたつなのでもう水分が届かなかったかも。きっと去年は最後の力を振り絞ったんですね…と話しながら、桜を見上げた。

 「桜が見たいならもう1本知っているので行ってみますか?」と聞くと、女性は「見たい番組があるので早く帰りたいけれどどうしようかなあ」と迷っていたが、「せっかくの機会なのでご一緒させてください」じゃあ行きましょうということになった。でも、木々の間から尾根を透かして見るが白いものは全く見えず。咲いているかなあ?と言いながら、熊山の斜面を下った。

 女性は、子供の時から大文字に親しんできたがいつも登山道を登るだけで、最近になって大文字の裏側がこんなになっていると知ったとのことだった。出会った人に連れていってもらい、道が増えているんだとか。熊山も初めてで、熊山山頂の手前にある桜の古木も初めてだそう。一抱えはある桜、きっと100年は経っているだろね と話しながら見上げた先は、残念ながら花はまだ蕾が固くしまっていた。来週あたりかなあ 、咲いたら見事でしょうね と思い描きながら。熊山山頂手前の道をどんどん進み、いつの間にか出合坂の尾根に着いた。

大桜はまだ蕾

 初めて分かったが、熊山の道はあの中尾の滝からの古道にぶつかったのだ。ということは、古道は熊山へ、そして如意ヶ岳へと繋がっていたのだ。近道を教えてあげましょう と、女性を案内して古道を中尾の滝に連れていった。幻の滝は先日連れて行ってもらったが、中尾の滝は初めてだそうで、たいそう喜んでもらった。 。

 滝から堀切への巻道を行く。この道も初めてだったそうだが、途中で竜王尾根からの道に出合うねと、「あーここだったんですね。一度迷ってよくわからなくなって、この道の先は行かんとこと思ったんですよ」と女性。「ねっ 一辺覚えるとこの道はすごく便利で分かりやすいんですよ。次は一人で復習にきてくださいね」。

 堀切から堰堤に出て、最後は中尾水の水場で休憩した。女性はここの水を汲んで帰ると言って、ペットボトルを何本も出して汲んでいた。わたしもボトルの湯を捨てて汲んだ。今日はいろいろ探検したが、最後は道連れができてよい山歩きだった。夕暮れの白川べりは、朝よりも一層花が開いた桜で覆われていて甘い香りで幸せな気分だった。楽しい一日でした。


                             【 記:ikomochi 】