槍ヶ岳(北鎌尾根ルート) (2)

初心者オヤジ2015年7月の宿題を
かたずけに行って来ました。
早くやっておけばよかったな~
小学校の夏休みの宿題を思い出しながら
大変な状況の歩きとなりました。
(NO.157_2)

独標から槍を引っ張って撮りました


2017年9月23日~27日   洛西オヤジ

アクセス:
■名神高速ー東海北陸道ー飛騨清見ー高山ー平湯温泉あがんだな駐車場ーバスで上高地

コース:
■9月23日
車中前泊

■9月24日
上高地バスターミナルー槍沢ロッジー大曲水俣乗越分岐ー水俣乗越ー天上沢ー間の沢出合ー北鎌沢出合(少し手前でビバーク)

■25日
北鎌沢ー右俣、左俣分岐ー右俣ー北鎌のコル(少し西側に外れる)-P7~P10(独標)-北鎌平(コル)ビバーク

■26日
北鎌平ー槍ヶ岳山頂ー槍ヶ岳山荘ー天狗池分岐ー天狗池往復ー槍沢ロッジ(宿泊)

■27日
槍沢ロッジー上高地バスターミナル





 今日は洛西オヤジです。2015年7月に北鎌に挑戦、大曲分岐での判断ミスで槍ヶ岳山頂から下るとゆう愚行を侵してしまいました。その時は独標までの中間地点で引き返し再度下からの挑戦を皆様に(誰も何とも思ってないの)宿題として誓ったわけでありますが、月日の流れは速く2年以上が経過その間いつも心のどこかに、そうですね~魚の小骨が引っかかっているような(なんかイマイチわからんな~)気がしていたわけです。

 本来は8月に挑戦したかったわけですが、諸般の事情で今回の挑戦となりました。オヤジの齢になると日々の体力の衰えは著しいものがあります。今回も充分いやとゆうほど思い知らされ、もう少しで大変な状況になっていた(またまた大層に)歩きです。へたくそ写真とともにオヤジのヘタレ歩きお付き合いください。

■9月25日

 熟睡できずに4時ころまでウトウト、もちろん寒さもですがやはり背中の違和感が影響大でした。眠ったーとゆう感覚はなく頭のシンが重たい感じです。その時上部から人の声がします。オヤジと同じくらいの(いやもう少しご年配かな~)人と40~50代の男性二人組、軽装で特に若い男性はリュック持たずに大きめのポシエット?みたいな装備、挨拶をして聞くと夕べ1時前にババ平を出てきたそうです。

 「え~暗闇の中あの斜面を降りてこられたのですか」「ええまあゆっくり時間をかけてここまで来ました」「もちろん北鎌から槍ですね~」「そうです」。その割にえらい軽装備で、出合に向かって降りて行かれました。

 オヤジは朝は又味噌ラーメンだけ炊いて(えらい食欲ないな~)ツエルト撤収、北鎌沢出合に向かいます。予想どうり15~20分で出合に到着。先の男性とは違う若い二人組の男性がリュックを点検中、4時に大天井から貧乏沢を降りてここまで来られたそうです。やはり貧乏沢も厳しい下りだったようですが2時間弱で到着されています。

夜明け近し、起きだします 北鎌沢出合

 もう一人単独の男性この人はここでビバークされていたみたいで撤収中です。ほぼ同時に出発ですが、若い二人はアットゆうまに姿が見なくなりました。出合から北鎌のコルまでは皆さんの報告ではサラッと書いておられることが多いですが、なかなかどうして完全に沢筋を直登になります。右俣、左俣の分岐はありますがほぼ一直線の登りはキツイです。

右俣、左俣分岐 結構上部でも水は流れていました
厳しい登りです 上部コルが見えてきました
{ミヤマシャジン} ゴゼンタチバナの実ですか
コルから少し西側に外れ
て稜線に乗りました
この樹を右に回り込んで
コルから最初のピークP7でしょうか 踏み跡はそれなりにありますが
鮮明ではありません

 途中で朝あった二人が休んでおられるのに出会います、後で聞いたところだと横浜から来ておられるとの事、どうも年配の方が若い男性を引っ張っておられるとゆうか、アドバイスを送りながらユックリですが確実に歩いておられます。

 この後コル付近で珍しくとゆうか思いかけず単独の女性に遭遇、結局この後もオヤジを含めてこの3組が後になり先になりの歩きとなりました。コルに取りついたあたりからオヤジの体調に異変が・・・。バテバテなのはいつもの事ですが今日は特に激しいとゆうか、体が重く動悸が激しくなってきています。オヤジの危険シグナルです、オヤジはスポーツ心臓で脈拍は正常時は40台後半(ほんまかあ)、普通の人は70前後でしょうか動悸が激しくなるのはオヤジに取ってはあまり好ましくありません。やはり昨晩の寝不足が応えてきたみたいです。

硫黄尾根と千丈沢を右手に見ながら 独標が正面に見えます

 何とかP7に到着しましたがダウン状態、後の二組が追いついてこられました。男性二人組、単独女性はゆっくりとした歩きで、ビックリしたのは女性はリュックの中から大型の一眼レフのカメラを取り出して撮影、すごいな~夕べは北鎌沢の出合でビバークされていたらしいですが、こりゃ相当なキャリアの方みたいです。二人組の横浜の男性の方も夕べの12時過ぎから歩いておられるのです。それに引き換えバテたオヤジは最後に出発、ヨレヨレの歩きです。

 皆さんの助言どうり北鎌沢の下部で(今回は大分上部まで水はありましたが)持っている容器はすべて満タン(といっても1、75MLですが)にしましたが無意識の水分補給、あまり飲むとあかんな~小屋までもたんな~。

 この先独標までは踏み跡も鮮明ではありませんが稜線の下部のトラバース、時々ピーク(P8、P9,)に出てはトラバースを繰り返します。ルートの取り方に寄って3組が前後になりながら、もちろん全く姿を見かけなくなることが多いのですが、何とか独標の下部に到達上部のピークを目指します。

有名な緑色の残置ロープ ここも有名です、ザレ場トラバース
独標直下、ここからトライする人も オヤジはトラバースして先に進みます
この岩場を登ります
(天候条件によっては無理)
ちょっとガスッテ来ました

 独標へのアタックは三組三様でしたがほとんどが同時に到着(女性が一番早かったかな)。横浜の若い男性にシャッターを頼みました。これが失敗で回りの風景が写っていなくて、どないしょうもない写真になりましたが、お互い疲れていたので確認せず後で見てアチャー。したがって独標登頂写真がないのです。(あ~あもうこれんやろな~)。

 何より疲れています、女性は今晩もう一晩ビバークしますとの事(え~稜線ですよ)。「まあ明日の天気も安定しているので大丈夫だと思います」との事、こりゃ本物のアドベンチャーやあ、横浜の二人組は何とか明るいうちに槍の穂先に登頂してババ平まで戻ります。との事、それはそれでものすごい体力、気力、とにかくもう14時を回ってしまっています。目の前にそびえる槍を目指してオヤジと横浜組はスタートです。女性は出発する気配はありません。

なんでこれが独標やねん、わからへんやんか
(あんたが悪い、確認せんかい)
なかなかそこに見えて近かずかない槍

 ここでオヤジの水はもう500MLもありません。ますます体力の消耗は激しく、もしビバークとなればどうするか、まだ行動食もとっていません。食欲が全くありませんが、試しにカロリーメイトを少し食べましたが、のどに引っかかり、えずいて吐きそうになります。

 そりゃそうです水を飲まずにあのビスケット上のものは無理です。皆さんはジェル状の行動食サプリをよく飲まれていますがオヤジは重くなるので携帯していません。ふと思いついたのは夏場用に塩分プラスタブレットとゆうアメ?ビタミン8種、カルシウム、クエン酸、ブドウ糖、森永製菓(宣伝するな!)が食料袋の底に、ありました~。賞味期限4月で切れていますが(おまえ物持ちええなあ~)そんなこと構っていられません。

 口に含むこと10分ほどで、ウソみたいですが足の動きが少しスムーズ、に気のせいか疲労感もマシになったみたいです。やはり塩分の補給はだいじですね~。真夏の歩きなら完全に熱中症になっていたところでしょう。

もう完全に紅葉のシーズン
高度2800~900m
余裕あるやんけ、ヤケクソ
{イワギキョウ}

 ヨタヨタ稜線を進みます、ピーク、コルをいくつも超えて、もうどこがどのピークかわからない状態、これはオヤジだけではなく皆さんが記述されていますがとにかく疲労感がピーク、ここで横浜組とオヤジの決定的な差が生じます。P14の手前あたりで横浜組は稜線に、オヤジは下部のトラバースルートを採りましたが、これが間違いで稜線に戻るのに1時間以上のロスが生じました。

 北鎌平の手前P15?あたりで残念ながら日没を迎えてしまいました(フン、ヘタレオヤジ)。そんなボロクソにいわんといて今日は体調最悪、寝不足、水不足、(あんたが悪い、初心者そのもの)横浜組は槍直下の北鎌平に到着したみたいです。ライトがチラチラ、え~ホンマにこれから穂先に登るの~。最もあの装備ではビバークはおろか充分な着替えももっていないやろな~。なにがなんでも行くしか仕方がないかあー。

ええな~
(あほかそんなことゆうてる場合か!)
時刻はもう16時
気持は焦りますが見とれてしまいます
厳しい稜線が続来ます。 ええな~北アルプスやな~
あ~あ知らんで、日没

 オヤジはもう腹をくくって北鎌平まで行ってビバークの決断、水はコップ一杯もありません。ここまで塩アメでごまかしごまかし来ました。オヤジも夕べからポシエットに入れていたヘッドライトを取り出しますがここでもまたアクシデント、え~電池切れの警告、なんで、なんで、新品入れてきたのに、厳しい態勢の岩登り、どうやらスイッチが入っていたみたいです。

 仕方ありません座り込んでアルバイト先の景品ライト(お馴染みやのうー)を使い電池の交換、(よく持ってきていた、感心感心)これが焦ると中々うまい事行かんのです。何とか点灯した時には辺りはもう真っ暗、ヤバイ岩の上を北鎌平のコルに向かいます、先の横浜組はやはり直下のルート探しで苦労しているみたいです。ほとんど動かず大丈夫かな~。

 オヤジは何とか北鎌平に到着、早速ツエルト設営ですが、昨晩のようにはいきません。3000mの稜線、風が心配です。通常はストックを二方向から停めますが稜線では不安です、予備の細引きでもう一方引っ張ります、一本のストックを3方向から引っ張ります。ストックは前後二本ですから6方向の固定です、コルを超えてくる風に耐えられるか、倒れたら何時かの武奈山頂の時みたいに(あの時はテントでしたが)くるまって岩陰で夜明けを待つしかありません。念入りに丁寧に1時間近くかかって設営(そりゃかかりすぎや、もっと手際よく出来んか!)できません、大体が不器用なんです。

 設営して前方を見上げると横浜組のライトは視界から消えています、時刻はもう19時近いです、何とか無事に登頂できていますように。気になる独標で別れた単独の女性ですが独標とP14の間辺りでライトが見ます、動かないのでビバーク地点みたいです。

 オヤジは残った水を一口だけ眠剤と飲んで、ありったけのものを着込み(まあその恰好写真に撮りたかった、オモロイ恰好やでー)。今夜は地面を充分吟味、小石も取りのけました。明け方はおそらく2~3度?氷点下になるかな~おやすみなさいー。

月を見ながら(えらい明るいやんか)
{フラッシュや}
夜空に黒々と浮かぶ槍ヶ岳
北鎌尾根やな~右に子槍、孫槍

 25日26日かよくわからんのですが、オシッコに起きだし(もうちょっと上品に尿意を覚えて、とか書けんか!)ツエルトを出て見上げると満点の星、これ以上の星空はオヤジ見たことはありません。季節は秋、晴天の真夜中3000mの稜線、最高の舞台です。星座なんかに詳しい友達が、「あまりにも綺麗な星空は、都会なんかで見てわかる星座が星の数が多すぎてわからなくなる」と、ゆうのはほんまやな~。

 星座はわからず、都会では見えない天の川が煙のように見えています。星が降るとゆうのはこおゆう事か!。感動とゆうよりなんでこんなシンドイ辛い思いしてここにオレはいるのかな~。涙がオヤジの頬を伝います。(きゃ~ウソつけ!気持ち悪いのや)へへまあちょっと冗談も書かないと、今回はストイックすぎます。

 心配した風はそれほど強くありません。放射冷却でしょうか寒いです、二枚履いた靴下(先は余ってぶかぶか状態)で地面に立っていますがつま先から寒気が這い上がってきます。(情けないカッコやな~)ツエルトに再び潜り込んでおやすみなさい。

⇒ 槍ヶ岳(北鎌尾根ルート) (3)に続く       【記:洛西オヤジ】