愛宕山(岩ヶ谷から地蔵山)
(小てつ No.106)


 
地蔵(左)と竜(右)


平成29年1月29日(日) 曇り          小てつ単独

コース:
・JR保津峡~水尾自治会バス~岩ヶ谷~愛宕山三角点~地蔵山~大杉谷道~清滝~JR嵯峨





 先週の懇親会で、K先生に一度「コヤマノクラウン」が見てみたいと言うと、次週日曜日に、Nさんと行く予定だと言われた。都合が合えばイン谷口で朝合流するかも知れませんと言っていたのだが、雪は大量にあっても今週の暖かさでもって比良も「樹氷が綺麗~」とは到底ならないだろう。先生も行き先予定変更で、平から権現山~打見山にされるとおっしゃるので、それならこちらも予定変更で毎度の愛宕にしようとなる。下界から見ると、すでに木に乗った雪は落ちている様子なので、ここは雪の溜まっている久々の「岩ヶ谷」で登ってみようとなる。

 実は、前日土曜日の午後に時間があって、桟敷もいいかもと思い、取り付きである大森の様子をうかがってきた。大森に着くと、道路脇によけられた除雪跡の雪塊が大量に残り小広いところも無く、除雪もキャンプ場までしかされていなくて霧滝前の空き地まで行けず、適当なデポ場が無い。そんなことよりオレンジ色のベストを着て、ライフル銃を持った猟友会の人が無線機で喋りながらウロウロしている。雪が降って鹿の足跡がたどれるから猟がはじまったのだろう。そんなところにホイホイ入っていけないので、桟敷行きはヤメとした。

 さて愛宕、朝イチの道路凍結や倒木により通行できないことを考えJR利用。下まで雪があるならツツジ尾根や中尾根であがってもいいのだけれど、標高500mくらいまでは融雪しているみたいなので、先日の哲郎さんみたいに、時短と体力温存のため水尾の自治会バスで、標高300mも水尾までズルをすることにする。

 バスは8時4分着の電車と連絡しているが、1本早い電車で保津峡駅に降り立つ。同じ電車で小てつの他に2名の登山者カップルが降車。バス停でスパッツをつけたり、ポーチ袋に入れてきたワカンをザックに付け直したり準備を整える。カップルもバスに乗るようで声をかけると、会社のグループで水尾道を愛宕神社にピストンした後、水尾で鳥すきを楽しむそうだ。4分着の電車で仲間があと5人来るそう。

水尾の自治会バスを利用する JR保津峡あたり

 4分の電車が到着し、他にも登山者と水尾で働く方とでバスは丁度満員となり、運転手さんも上機嫌となる。車窓から川を見下ろすと、倒木が半端なくあり、岩ヶ谷の植林は大丈夫かいなと不安になる。農協前で他の人は降り、哲郎さんに習って、運転手さんに転回場所まで乗せてもらう。運転手さんが、「こんなとこで降りて、どこから登るんだ」と聞いてくるので、この先のヘアピンカーブになったところの岩ヶ谷というところから登りますと言っても、ルートがわからない様子だった。

 以前の記録を見ると、7時16分保津峡着の電車で降りて、中尾根~米買い道で岩ヶ谷の取り付きに9時に着いている。1時間45分かかっているが、バス利用なら8時35分に着いているので、取り付きに到着するには、やはり時短。(体力温存なのか、準備運動不足になるのかはわからない)もちろん水尾まで車であがるなら、話は別。

 岩ヶ谷の取り付きまででも、ユズの枝や幹自体折れたものがあり、相当な被害。水場のところに植林が倒れ込んで、チェーンソーで片付けられた跡もある。これは越畑までそうとう倒木があったことだろう。しばらく通行止めだったこともわかる。(現在でも八木~越畑は通行止めで、バスは神吉廻りだそう)。

 準備はバス停でできているので、ストックだけ伸ばし登り始める。取り付きあたりに雪は少なく、アイゼン、ワカンは標高600mくらいで必要になるかもと予想する。(今日は機動性を考えてワカン装備)。

水場に倒れ込んだ植林 岩ヶ谷の取り付き

 雪の状態は予想を上回り悪い。クレバス状に下だけ溶けて空洞になっているのだ。ツボ足で踏み抜くと、もとの積雪の分、深くはまる。これはたまらんと想定よりも早く標高500m手前でワカンをつけることにする。ワカンをつけても踏み抜くことを考え、踏み出してもすぐに体重を載せることなく、確かめてから体重移動するようにする。これで相当足がくたびれる。倒木も多くて迂回するのに難儀する。

 標高600m手前にくると、これが「岩ヶ谷」の名前の由来かと思える大きな岩が右手に現れる。ここらでやっと雪質は落ち着き、ワカンのはまり込みも気にしなくても良くなってくる。雪の溜まる谷ではあるが、雪崩の心配は少ないだろう。それよりも、表土が薄いので土砂崩れの方が心配だが、雪の下の土はそんなに保水していないようなので、大丈夫だろう。

倒木多し 岩ヶ谷には雑木の箇所もある

 上の方の植林は同じ杉でも品種が違うのか、倒木はほとんど無くてしっかりしている。左岸右岸とたどって立派なお墓までくればもうジープ道はすぐそこ、林道を回り込んでいく。やはり岩ヶ谷にはたくさん雪が残り、ここまでで十分雪踏みは楽しめた。

 資材小屋の前でワカンを外していると、三人組の男性が三角点はどこかと聞いてくるので、先の二又を右に登ったところですと教える。ワカンを外して後を追う。三人組が三角点のところの後ろのプラ杭で記念撮影をしているから、本当の三角点を、雪を掘り起こして見せる。ここのは杭じゃなく鋲なので珍しいだろう。

立派なお墓 愛宕三角点より

 その場でラーメンを作り食事すると言い出すので、ここには後から人がやってくるので、下の広場でされた方がいいと思いますといい、降りてワカンをザックに取り付けたり、アイゼンをはめたりしていると、三人組の会話の中に「○○ナガケ」と聞こえたので(京都の祇園言葉で言えば○○どすえ~みたいなものの方言)、富山の方ですか?と聞くと、何でわかったと聞かれるので、嫁が富山ですと答え、富山はどこですか?と聞くと、高岡だと言われる。じゃあ「○○メガネ」をご存知ですか?と大学時代の友人の店を聞くと、おぉテレビで宣伝もしている有名な店だと言われるので、あいつ立派に頑張っとるんやとうれしくなる。こちらは地蔵山でお昼にしますと先に立つ。

 ジープ道には、ロードローラーでも引いたのかと思われる50cm幅ほどの溝がきれいに残り、それが幾人もが踏んだスノーシューの跡だとわかる。先週か昨日に団体さんがやってきたのか?シュー跡は竜ヶ岳分岐の方にもあり、スキー場跡まで濃く残る。しかし地蔵山の方面にはだんだんと薄くなる。

蓬莱山 ジープ道にシュー跡が残る

 芦生杉の分岐手前で10名ほどの団体さんがいて、最後尾の方が小てつに気づき、前の人に声をかけてくださり先行させていただく。地蔵までのトレースは夏道を大きく外れ、歩けるところを追ったようにウネウネと回り込んでついている。もっと積雪のあった三年前でも、小てつファーストでほぼ夏道の通りで歩いたように思ったが、ここはトレースを利用した方が早いと思ってたどる。(新しくラッセルするんはしんどいと思っただけやろう!)。

 トレース跡の表面が幾分凍り、アイゼンが刺さる。何か粘っこいような感触の雪質で足がしんどい。進んで行くと雪の無い時なら、低木のアセビが茂り振り返ると愛宕の鶏羽が見える箇所で、どうやらトレースはその低木のアセビの上を乗り越しているようだ。つまりアセビの上に乗った雪の上を歩いている訳で、空中散歩だ。踏み抜いたら1m以上ハマりこんでしまうだろう。ここは人が踏んだところを避け、新雪を踏んでいく。

 夏道なら愛宕三角点から40分ほどで到着する地蔵山ピークに、1時間10分かかって到着する。ピークには越畑から登ってきたと言われる6名のスノーシュー団体が丁度到着。彼らも食事休憩されると言われ、ケルン周りに店を広げられる。小てつは落雷杉のあたりで木から落ちてくる雪の雫を避けラーメンタイムとする。本日は先週の残り「マルタイ博多」。

夏道はふさがる 地蔵ピーク

 ラーメンを食べ終え、片付けをしていると先ほどの団体が到着される。リーダーが「休憩は15分です」と宣言されている。うち一人の女性が小てつの近くにこられたので、場所を開け、ついでに先ほどのアセビの上の空中散歩のことを話し、あそこは踏み場に気をつけてくださいと進言する。

 気温があがり、団体さんに踏まれたトレース跡は、雪腐りが進んでいるだろうと、やせ我慢も邪魔くさがりもせず、帰りは再びワカンをつけていくことにする。よく持っているのにアイゼンやワカン、シューをつけないで頑張る人の話もうかがうが、小てつはアイテム大好き人間なので、早期につける方だ。持っているのにつけないで、コケて怪我でもしたら大後悔だ。

 ワカンをつければラフに踏め、スキー場跡近くまでつけたまま、行きよりも早く、1時間15分で月輪寺分岐まで来れた。月輪寺道にもしっかり雪は残るが、こういうシャーベット状の雪ならトリオレは強い。(凍ってたら全然ダメ)アイゼン無しでガシガシ行ける。

 大杉谷道に入り、できればスカイラインで水尾別れまで行って、ツツジ尾根~保津峡ならJRで帰れるともくろんでいたんだが、スカイライン入口の倒木を見て、そうかまた植林が倒れていたら難儀するなぁと清滝からバスも仕方なしと、そのまま大杉谷道を降りていく。ギザ道で単独女性が登ってきたんで驚くが(この時すでに午後2時)、表情も明るかったんで、気をつけてとだけ声をかける。大杉谷道で登ってくるんだから、ズブの素人さんでもなかろう。

月輪寺道 雪は第2ベンチあたりまで残る

 第2ベンチあたりで先行の単独男性に追いつく、男性は道を開けてくれてお先にどうぞと譲ってくれたのだが、その割にしっかりついて来て話しかけてくる。先日来たとき初老の男性と話ながら歩いたら気がまぎれたこともあり、暗い林道歩きの慰みになるかと、調子を合わせるでも無いんだが、山の話をしながら一緒に歩いていく。

 男性は滋賀在住で、初心者だという割には、あちこちの山に突撃しているみたいだ。そのくせ初めて行った山で迷ってしまい、偶然通りかかった人に助けてもらっていると言う。何か迷わない妙案は無いかと聞かれるので、事前調査と慣れしかないですね~と言い、迷っている時分が一番楽しい時期かも知れませんと言い、道をたどるから迷うんで、ただの斜面とか攻めだしたら迷っているんかどうなんか問題じゃなくなりますよと、言っていいのか悪いのかよくわからない解説をする。(ただの斜面当たり前はokaoka clubだけやろう!)。

 そんなことで、金鈴橋に到着。男性は駐車場に車をおいているということなので、ここで別れる。結局なぜだか彼には最後まで、okaoka clubの宣伝無し!(雰囲気感じ取ってくらはい)。

 バス停に着き時刻表を見れば、小てつの最寄駅を通るバスは約40分待ち、グルグル遠回りをする経路図や早いバスに乗って乗り換えをつなぐ気にもならず、寒いバス停で知り合いもいない状況の中、これはたまらんと試峠に向かって歩きはじめる。

トンネル出口、信号の配電盤もぐにゃり

 固い靴底のトリオレでのアスファルト歩きは、とても快適とは言い難いが、イン谷から比良駅や、大森から小野郷なんかと比べたら全然マシ。結局40分歩いたらJR嵯峨駅に着き、待って乗ったかも知れないバスが大覚寺にいる頃には電車にも乗り込め、早くに帰れました。

 これがタイミングというものなのでしょうか?年明けなぜか3回目の愛宕山+地蔵山はしっかりと雪踏みできました。比良では60年ぶりの積雪だったそうで、あっちに行っていたらそれこそデポ地にも苦労したみたい。この先山にはまだ雪がありそうですが、三重、三国はデポ地の関係でまだまだ行けそうになく、赤坂くらいしか安心して向かえないかなぁ。


                           【 記: 小てつ 】