小てつのよも山話(No.108)
「虫避け実地調査」

調査場所は我々が「バクロ坂」と命名しているところ
横の谷の名は「蛭谷」と呼ばれている


平成29年8月16日(水)              小てつ







 先日からお知らせしている「新旧虫避け薬」、なかなか実地調査ができませんでしたが、天候その他の条件により、決行の段取りとなりました。

 当日は小てつ単独にてのつもりでしたが、K先生に決行の日取りがバレてしまい、「小てつさんにだけ血を流さす訳にはいきません」と、「okaoka culb読者を山ビル被害から守るためなら、私の体も提供しましょう」とも声をいただき、どうもK先生の'学者魂'に火をつけてしまったようだった。「足4本よりも6本の方が実験の精度もあがりますから・・」と、ユッキー様も参加してくださり3人で調査決行となりました。

 調査場所は我々が「バクロ坂」と命名している久多は京都府立大学の演習林の中のひとつのルートである。ここは京都北山屈指の山ビル生息地と言える。何しろすぐ横の谷の名は「蛭谷」と呼ばれているほどなのだ。

 いつもの岩屋谷別れに車をデポして準備する。それぞれの足、スパッツに「キンチョープレシャワー」、「キンチョープレシャワープロ」、小てつは首元に「キンチョープレシャワージェル」、服やザックに「サラテクトミスト」をふりかけて入念な仕事をする。特に小てつの場合、プレシャワーを噴霧したのはスパッツにだけとした。先生達は靴にも噴霧する。あとは適当に匂いや、つけ心地など確かめて、おのおの好みの薬を服やザックにもふりかけて、いよいよ林道へと入っていく。

 林道は前日の雨のあと、湿気もあり曇天の空は正に'ベストコンディション'、いつもは目にしたこともない場所で、早速のお出ましとなる。

 三匹現れた内1匹の前に靴を差し出すと、革製の小てつの靴に、すぐさま這い上がってくる。しかしながら、スパッツに触ったとたん鼻先(鼻かどうかわからん)を引っ込めて、迂回するように回り込むだけでそれ以上先にはあがってこなかった。別の個体で足を替え実験すると、同じ行動をとった。小てつは両足のスパッツに片方ずつ薬剤を替えて噴霧していたから、二種類の薬剤は共に同じほど効果があるとわかった。つまり、ディート主体の「キンチョープレシャワー」とイカリジン主体の「キンチョープレシャワープロ」は、遜色ないほど山ビルにも効果がある。

実地調査1 靴にのったところ 実地調査2 スパッツに触るところ

 その後いよいよ山ビルの巣窟である「バクロ坂」を進むのだが、いるわいるわ、10mとおかずに「いる~」「ここにいた~」と、やかましいほどの出現だ。ここでも同じように、皆の靴にはあがってきても、スパッツより先にはあがられることもなく、足への被害は全く受けなかった。見つけた山ビルはストックで地面に突き刺すが、石突ゴムをつけたままのストックで突き刺されても、それほど致命傷を与えられないともわかった。日頃は'博愛主義者''観音様の生まれ変わり'と称されるユッキー様も、この退治行動には目をつぶってくださいました。

 ところがそんな中、小てつが「ストックを登ってきたやつもいました・・」の話をすると、ちょうどユッキー様のストックを登っている個体がいた。本来、山ビルはアルミなど金属を嫌がるはずなのだが、ストックは金属むき出しではなく塗装が施されているため、嫌がらずに取り付くのだろうと考えられた。ユッキー様はストックにもプレシャワーを噴霧され、それ以後に取り付きは無かった。

 バクロ坂を登りきり、もう大丈夫と折りたたみ椅子に座っての食事休憩中、やおらK先生のズボンに1匹の個体が這いあがっているのをユッキー様が発見する。すぐに取り除き大事はなかったが、標高900mを越えた地点での新たな取り付きは考えられなかった。となると考察だが・・。

 *以前、哲郎さんの紀行文にもありました「標高800m以上に山ビルは生息していない」。小てつも同様に感じていました。小てつの場合、もっと低いところ・・およそ標高650mくらいが境目かと。それがどうでしょう、哲郎さんも被害を受けられ、今回K先生もとりつかれました。これはおそらく、山ビルはそこにいたのでは無く、もっと前に取り付いていて、移動をやめたとたんに這い上がってきて被害をもたらしたと考える方が正しいのでは・・。つまり、山ビルはもっと前に靴底にくっついていてじっとしていたが、歩くのをやめたら動き出したと考えられるのです。。

 これは山ビルをストックで突いて感じましたし、K先生が歩くのを後ろから観察していても感じました。山ビルのしゃくとり移動運動は早く見えますが、人が歩いている足に取り付けるほどのスピードはありませんし、人が歩いて傍らを通っても、山ビルは移動していません。むしろ動かずその場で立ち上がるような仕草で揺れ揺れしているだけです。おそらく登山者は気づかずに山ビルを踏んづけていると思われます。登山靴で踏んづけられても、山ビルは全く損傷を受けず、そのまま落ちないように底にくっついていて、動きが止まった途端に移動をはじめて足などに登っていくのだと。

 これはあくまで小てつの私見であって、科学的根拠はありません。どやこや言わんといてください。よも山話はこんなもんです・・。


 *今、有効と思える対策  足や首元はディート、イカリジン主成分の薬剤の噴霧、塗りつけで忌避は有効です。ただ、前述しましたように、山ビルの初期取り付きが靴底であるなら、靴底への何らかの処置が必要となります。同じように薬剤を靴底にも噴霧すればいいじゃないかと思われますが、歩けばすぐに薬剤は取れてしまうでしょうし、特にディート主成分の薬剤では靴底を痛めてしまう恐れがあります。ひとつの提案ですが、一定の濃度の塩水を市販のポンプスプレー瓶に入れておき、休憩または立ち止まるたびに靴底に噴霧するという案です。靴底を痛めませんし、薬剤を山にバラまくことにもなりません。何しろ塩だと安価ですみます。今度実験します! 。

 あぁ~、またひとつ宿題増えた~。

 小てつ~!そこまでして北山に行きたいかー!(アメリカ横断クイズか???)。


                        【 記: 小てつ 】