駒ヶ越(河内谷側古道)
2016.05.20

 
駒ヶ越の河内谷への下り口


平成28年5月20日(金) 快晴                 長岡山人

コース:
熊川7:50−ダムサイト8:20−林道へ8:50−山道へ9:15−寺屋敷跡10:15−駒ヶ越12:00−若狭駒ヶ岳12:15−与助谷山13:40−池ノ河内越探索−木地山16:10





  若狭・河内(こうち)と若狭・木地山を結んだ峠道、駒ヶ越を河内谷(北側)から探索した。 古道はほとんど消滅していたが、ルートとしてはここだろうと推察できた。 急傾斜地を登るジグザグ登路が崩壊してわからないため、直登せざるを得ず、労力を要した。 登り方向で探索したので何とか位置がわかったが、下り方向では進路の判断が難しいであろう。 標識はもちろん、テープの類も全くなかった。

国境稜線から駒ヶ越への分岐 建設中の河内川ダム

  熊川宿の東の端、道の駅でJRバスを降り、山際の舗装道を登る。若狭駒ヶ岳への登山道であり、森林公園まで道路は続く。 現在は河内川ダムが工事中で、提体が半分できあがっている。 県道もダムの上方に付け替えられ、最奥部まで完成している。 谷の奥にあった河内集落と河内鉱泉、白石神社も高台に移転している。 その横を通って、奥に進んでいくと、道は地道の林道になる。 森林公園に登っていくヘアピンカーブ地点が駒ヶ越の山道への取付きである。

高台に移転した河内集落と温泉 山道への取付き

  谷は左右に分かれているが、左に入る。 最初は右岸に踏み跡が付いており、かろうじて跡がたどれる程度である。 その後、左岸に渡り、踏み跡を発見しながら登っていく。 錆びた標柱があり、その先で、谷は二つに分かれる。 その中間尾根に取り付く。するとわずかの間だが、尾根をジグザグに登る古道が残っている。 尾根は平坦になり、東寄りに登っていく。その先でツライチの急斜面になる。進む方向がわからなくなるが、地理院地図に池が書かれている地点を目指してとにかく登っていく。この部分が一番苦しかった。

中間尾根にはかすかな古道跡 急斜面をとにかく登る

  H=500m地点まで登るとテーブル状の平坦地が現れる。地図には池が書かれているが、実際にはない。 人為的な石垣の跡が残り、ここから上部一体が「寺屋敷跡」と書かれている(『北山の峠(下)金久昌業氏』)地点ではないかと推察される。 平地は大部分が植林地となっているが、周辺部にミツマタが生え、花が終わった直後であった。この点、金久氏が書かれているとおりであり、経由ポイントが間違っていないことが確信された。

「寺屋敷跡?」のテーブル状地形 花が終わったミツマタ

  地理院地図には実線の道路が書かれているが、なかなか発見できなかった。 実際の位置はかなり異なっており、ほぼ等高線に沿って作られている。(後記地図参照) 森林公園造成時に作られてその後は使われず、崩壊や生え込みも目立った。 しかし東西に長く伸びているため、現在位置の確定には役立った。 道路に沿って、登り口を探った。

道路ははっきりと残っている 最も緩やかな場所から登る

  平坦地の東寄りの、最も等高線が緩い場所を選んで登っていった。生え込みは少なく、歩きやすかった。 しかしその後まもなく傾斜が急になり、また方向がわからなくなった。 とにかく登るしかないと登っていくと、支尾根の肩に登り着いた。 尾根の方向が西北方向であることを判断し、稜線直下のH=685mの小さな平坦地であることがわかった。

最初は登りやすい尾根 支尾根の肩に登りつく

 上には、森林公園からの登路がある稜線が見える。とにかくそこに向かうしかない。 急な斜面を登っていくと突然、踏み跡が現れた。 薄くなっているが古道である。古道は小さく3回切り返し、その後は不鮮明となった。 しかしそこは稜線のすぐ手前であったので直に登っていった。 そこは、国境稜線三叉路標識から森林公園側に約100m下ったところにある凹地の西隣であった。ここが駒ヶ越の下り位置である。 稜線から古道は見えない。凹地から約10m下ると、かすかな古道が発見できるであろう。

かすかに残るジグザグの古道 凹地の西隣に登りつく

  駒ヶ岳からは琵琶湖、三重ヶ岳、三十三間山の展望が素晴らしい。昼食後、西に国境尾根をたどった。 若狭湾も見え、百里ヶ岳は雄大で、二重稜線地形も珍しい。 懸案の池ノ河内越の探索をした。 今は生え込みが少なく、地形ははっきりしていた。しかし北側山腹を何度往復しても、古道は発見できなかった。 地図上も、現地の地形上も、金久氏の著書でも、峠道ならここしかないというポイントを調べたのだが。 ただ、紐テープがかすかに連続して残っており、先行調査者はあるようだ。

国境稜線のブナ林は見事 池河内越の探索は失敗

  前回(2014.9.7)はここから降りる方向を間違えたので、今回は与助谷山まで登り返し、そこから下った。 尾根は太く、下生えもなく、歩きやすい。しかし踏み跡は薄い。 今回も最後に魔が差し、H=530m地点の尾根分岐で西側に進んでしまった。 こちらも歩きやすい尾根だったので、木地山に降り着く直前まで気が付かなかった。 まだまだ修行が足りないと自戒した。

与助谷山から下山 木地山から池河内越へは右に入る


駒ヶ越・河内谷下部歩行図


駒ヶ越・河内谷上部歩行図


                             【長岡山人 記】