三重ヶ嶽
(小てつ No.95)


 
大見影もかすむ / 三重ヶ嶽より


平成28年2月21日(日) 吹雪、ときおり晴れ  小てつ単独

コース:
ワサ谷登山口〜武奈ヶ嶽北尾根(高島トレイル稜線出会い)〜水谷別れ〜太尾〜三重ヶ嶽〜長尾〜落合〜デポ地





 先々週は沢山、先週は仕事の都合で山はお休みという体たらくな最近なのに、いよいよ雪のたよりもなくなってきて焦りだし、例年この時期には絶対に足を踏み入れられないだろう三重ヶ嶽に挑戦してみようと思いたちました。

 それというのも、本日は「京都マラソン」の日であって、市内は午前8時ごろから午後4時ごろまで交通規制がかかり、早くに出てゆっくり帰って来るところとなると、三国岳では帰りが早くなりすぎるので、ここはひとつ石田川ダムまで足を伸ばそうとなった次第。

 そうなれば、JOEさんも是非お誘いしなければならないところではあるのだが、先週半ばに嫁がインフルエンザを発症し、小てつは毎晩のアルコール全身消毒のおかげでうつされることもなかったのだが、ウイルスは入っていて、間接にJOEさんにうつしてもなんだから、今回は連絡をしなかった。連絡していたら、JOEさんも毎晩消毒しているので大丈夫ですと、同行を希望されたかも知れない。

 いつもより早い目、6時30分に自宅を出る。今日は367号線で朽木を抜けて、保坂から303号線に入り、角川で別れ、石田川ダムに到着。ダム湖事務所のところには「通行止め」の表示もなかったので、周回路に入っていく。落石を避けながら進んでワサ谷の登山口の先へと進むと、軽自動車らしきワダチがシャーベット状の雪に残っているので、先行車がいて先まで行けるのだと続いてみるが、ほんの少し進んだところに、ジムニーがこっち向きに停車しているので先の具合をうかがうと、すぐ先で雪崩て通れないとのこと、すぐにあきらめてワサ谷登山口近くまでバックで戻る。ワサ谷登山口近くの空き地に稲妻号をデポして準備をし、8時15分のスタートとなる。

 夏道なら何度も歩いているこのバロムワンルートは得意コースなんだけど、去年は4月でも三重ピーク手前のP950でショートカットし、とても三重ピークから長尾まで周回できなかったが、ここまで雪の少ない今年なら、あわよくば河内谷林道ゲートまで入れて、ノトマタ尾根でも行けるのでは?と思っていた予想を大きく裏切られる。

 ワサ谷登山口から取り付けば、標高800mくらいから雪が残っていた去年とは違い、最初の平坦地であるP478mから15cmほどの雪が残る。締まった雪で昨日はここでも雨だったのか?次の平坦地である標高600mでアイゼンをつける。ところが50mも登るか登らないかで、急に雪が深くなり、今度はシューに履き替えとなる。めまぐるしく雪深と雪質が変わる。

 夏道なら1時間少しであがれる高島トレイル稜線に、1時間半少しかかって合流する。湖北武奈ヶ嶽が、こっちにおいで〜、こっちの方が近いよ〜、と誘うが、そっちへ行ったら早くなりすぎて、結局マラソンにガッチンコしてしまうと振り切って、北へ向いて降って行く。

高島トレイル稜線に合流 P674

 稜線に出ると天気予報通りに風が強く、雪が真横から吹き付ける時がある。しかし、去年みたいに視界5mほどになることも無く、気温も5℃ほどあるので、なんとか先に進めそうだ。いつももったいない160mを最低鞍部に降って行く。

 最低鞍部では雪が無く、細尾根と登り返しの数十メートルではシューを外すくらい。時折出る晴れ間に、三十三間山の稜線が光って美しい。振り返ると今降ってきた武奈ヶ嶽北尾根が見えるが、おそらくこの山域に今入っているのは小てつ一人であるだろうと思うと、大変に心細くもなるが、逆にとても自由を感じるので不思議な感覚。鹿児島に帰られたHさんがよく言われていた「生きてる〜」という感覚なのかなぁ。

 水谷別れで11時、ここまで来てしまうと先に進んだ方が早い。頑張って登る。転進の目印の池が雪に埋もれていて感が狂う。それでも登りは高いところを目指せばいいのと、雪でどこでも歩けるので、高島トレイルのテープを横目で見て、風があたり雪の表面が凍り気味で歩きやすい稜線西側を歩いて行く。

最低鞍部からの登り返し 水谷別れの標識
湖北武奈を振り返る 晴れるといい感じ

 去年進行をあきらめたP950の横っちょまできたところで空腹を感じる。見れば太いブナの木の根開きが、広く開いているのを見つけ、その中なら風をしのげそうだったので、すっぽり入ってバーナーをセットしようとするのだが、ここでゆっくりして体を冷やすのもと思い、ラーメン用のサーモスのお湯をお茶がわりにして、オニギリだけですまして、すぐに立つ。

 三重ヶ嶽ピークに12時半に到着、去年のリベンジ?を果たす。ピーク付近では雪の表面が凍り、シューはカラカラと鳴る。沈む時もバリンと言う具合。こんなところをツボ足だとキツイだろうな〜と思う。ずっともも上げ状態で歩かねばならない。

一期一会の芸術 去年のリベンジ三重ピーク

 時間は早いがピークでたたずむことも無く、すぐに長尾に降りていく。雪の表面が凍っているので、積雪1mほどあっても、かかと落としでは降れない。10日前の武奈ヶ岳なら絶好の展望で、白山はおろか北アルプスの山々まで見通せたというのに、今日の三重はとなりの大見影山までもかすんでいる。

 長い長い長尾の尾根も、杉の植林地に入るともう終わり、植林地から巻道に入るところで、シューからアイゼンに履き替える。ここでアイゼンへの履き替えは大正解で、細い巻道に雪が残り、シューのままだったら恐ろしいところだった。アイゼン無しでも怖かったろう。

吹雪いても視界がある 落合登山口あたり

 2時40分に落合登山口に着地。ほぼ休憩無しで、何とか夏道と変わらない時間で周回してきたことになる。あとはまた長い長い周回路をデポ地まで歩かないといけない。

 周回路では何箇所も崩れた雪が道路を覆い、まだまだ通れる状態では無かった。しかし、例年のように車道の崩れたところはなかったのが幸い。そんな中、早くも開花していたサイインシロガネソウを見つけ、これは狂い咲きなのかと思案する。

周回路の雪崩箇所1 周回路の雪崩箇所2
サイインシロガネソウが開花 本谷にいつも間にか

 デポ地に3時30分に到着。稲妻号の他に、1台車が増えている。登山者だろうけど、ほかにも好き者がいるんだと感心する。なにとぞ御無事で御帰還をと祈る。後始末のあいだに炊けるだろうと、ここでラーメンタイムとし、帰路につく。この時間なら、もうマラソン規制もとけているだろう。

周回路の雪崩箇所3 ワサ谷デポ場に到着

 *夏道で何度も通い慣れた小てつが、全く進路に迷わず、雪質もよくてのタイムです。おそらくこの先、ひと月は雪が残る山だと思われますが、雪質はどんどん悪くなり、歩きにくくなると思います。三重ヶ嶽を計画される方は、アイゼンはもちろんのこと、シューやワカン装備で、時間に余裕を持ってお願いします。また、コースに不慣れな方だけでの計画は、エスケープルートが無いことから、謹んでいただきたいと思います。


                           【 記: 小てつ 】