小てつのよも山話(No.104)
「猪に噛まれた私」



2016年4月19日(火)            小てつ






 去る今年の3月、山科の住宅街に猪が出没し、住民の男性二人に怪我をさせたというニュースを覚えておられる読者もおられると思います。

 実は、怪我をされたうちのお一人が、小てつの娘とゆかりのある方であったことが判明し、またその時のことを手記にまとめられているということをお聞きしたのでお願いすると、その手記をいただくことができました。

 okaoka clubのことをお話しし、掲載させていただくことをお願いすると、快く承諾いただけましたので、山登りをするものにはひとごとではないことと思い、今回よもやま話として掲載させていただくことになりました。





 2016年(平成28年)3月12日のことです・・。

 午前7時に自宅を出発し、毎日のコースである琵琶湖疏水沿いから日ノ岡の住宅街を通って「コンクリート橋」で折り返す、10000歩前後、時間にして1時間20分ほどの散歩の折り、「コンクリート橋」で小休憩の後折り返し、もと来た道の帰り道のことです。

 疏水の水はトンネルを通り、蹴上のダムに流れます。帰り道の遊歩道は疏水から少し離れて住宅街に入り、また疏水沿いに戻ります、住宅街は少し丘になっています。西から丘をあがって東に向かい、疏水沿いの遊歩道に戻ろうとした時、前方4、50mほど先を右(住宅街)から左(疏水沿い)に、黒くて大きい動物が、猛スピードで走っていったのを見ました。

 また大きい犬を鎖も付けずに放し飼いの散歩をさせている人がいるのかと思い、いつもの歩調で歩いていますと、「バカ・・、やめとけ・・、来るな!」と連発している声を聞き、何か事故が起こっているのかと、少し急いで道を左に曲がると、5、6m先の道路に高齢者が上向きに転倒しており、先ほどの動物が馬乗りになっているのを見ました。

 危ない!まず動物を高齢者からはなさないといけない'動物は、高齢者の頚動脈を狙う'ととっさに思い、駆け寄ってその動物を何十回も殴りました。動物は猪だとわかりました。

 すると猪は高齢者からはなれ、今度は私に突進してきました。そうとう猪の顔や鼻面を蹴ったり殴ったりしましたので、てっきり逃げるものと思ったのですが、猪は相手を私に替えて、突進してくるのでした。猪が両足に噛み付いてくるので、さらにパンチと蹴りで応戦し、高齢者に「早く立ち上がって逃げてください。急いで、急いで。」と言いながら、猪と格闘しました。

 道路の真ん中まで猪に押されて後ろ向きに転倒したので、両ヒザで猪の頭をはさみました。締め上げることはできませんでしたが、目が見えなくなったからか、少し動きがおさまりました。

 現場の前の住人が2階から声をかけてくれているが聞き取れず、「警察と救急車を呼んでくれ〜」、「バットか木刀を貸してくれ〜」と猪を押さえながら叫びました。住人が1mくらいの鉄パイプを渡してくれたので、それでもって猪の頭から肩のあたりを強打しました。すると猪はやっとあきらめて疏水の方(山の方)に逃げていきました。

 高齢者は歩道の方に逃げておられ、ズボンには血がたくさんついて、そうとう噛まれたようでしたが、立っておられたので、まず無事なようでホッとしました。

 しばらくすると近隣の人や、散歩仲間が集まってきました。パトカーと救急車も到着し、音羽病院に搬送され手当を受けました。後で入った情報では、「手負いの猪」が住宅街に迷いこんだのだそうでした。その猪は、最近になってやっと見つかり、処分されたということでした。


 山科区安朱のD.Hさん(73歳)の手記





 D,Hさんの思ったこと。

 1) 手負いの動物は必ず始末をつける。さもないと更に凶暴になって襲ってくる。

 2) 動物(犬、猫、猿、鳥、鹿、猪等)に餌は与えないこと。

 3) 大人でも子供でも、一人歩きはやめましょう。

 4) もし、猿、鹿、猪、熊等に遭遇しても、相手をせず、逃げましょう。

                              以上


                        【 記: 小てつ 】