百里ヶ岳(北谷〜南谷ループ)
(小てつ NO.101)


 
百里ピーク着


平成28年10月16日(日)晴れ       K先生御夫妻、小てつ

コース:
木地山トイレ前デポ〜北谷〜木地山峠〜高島トレイル道〜百里ヶ岳〜シチクレ峠〜南谷〜デポ地





 先週の100話目記念夫婦登山の折に、カメラデーターを消失してしまったからのリベンジでは無く、ユッキー様たっての御要望で、次回御一緒の時には、百里ヶ岳の北谷〜南谷ループの予定をしていた。天気予報もまずまず、同山連チャン山行も気にならない小てつなので、本日の決行となりました。それでもって、100話目紀行文の前に、紀行文が滞っていたこともあり、いつもは重複紀行文を書きませんが、今回は特別にダブル紀行文と言うことで・・。

 朝はいつものように7時30分頃に出町柳で待ち合わせる。向かいのバス停には30人ほどの行列、これからいい気候になるので、登山者も増えることだろう。367号線で前に遅い車もいたが、三ツ石BSで麻生方面に入ると走っている車も無く順調に木地山トイレ前に着いた。

 準備をしていると2台の車が到着し、うち1台をトイレ前にデポしていった。おそらく足谷口からの駒ヶ岳狙いでしょうと話す。準備を終え8時50分に出発できた。

 カッパのカップルの石像を見て麻生川をたどっていく。道沿いの新しい家に干してあった子供服を見て、前に来た時は確かおしめが干してあったように思うと話す。思いおこせばこのルートは5年ぶり4回目となる。

木地山トイレ前にデポ 林道から山道へと入る

 林道ゲートにクサリがかかっている。我々男性陣は支柱の傍らから巻いて行くのだが、ユッキー様は堂々とクサリをまたいで行くので、実に男らしい。

 最初の林道分岐で右にとる。帰りは左手から戻ってくることになりますと話す。林道はほとんど高度をあげることなく次の分岐となる。左手にあがっていく林道をとると、百里ピーク直下まで行けるようだが、今回は木地山峠を目指し右の林道をとる。すぐに林道は木の橋を渡っているが、その橋は渡らず細い山道へと入っていく。ところがこのあたりからオオバアサガラが群生していて登山道を隠してしまっている。沢をさかのぼっていけばいいことはわかっているので、沢伝いに歩いていくのだが、どうも歩きにくい。途中で周りを見ると植林の向こうに踏み跡が見えたので、軌道修正して踏み跡をたどる。

渡渉を繰り返し また渡渉して

 山道となってからは少しずつ高度をあげていくのだが、標高440mくらいまであがってきた頃に、また道がまるで久良谷の沢の中を歩くようなところになる。小てつの訓練により格段に悪路の踏破能力があがっているユッキー様は、先頭を歩いてどんどん調子良く沢をつめていくのだが、どうもおかしい。踏み跡が無い。先に道があるかどうか確認しながら進んでと言い、小てつは少し逆戻りしてみる。すると沢の本流ではなく、支流の方に踏み跡が見えた。急いで先生達を呼び戻し、そちらの方に進む。考えるに3年前の豪雨で、沢の1〜2mくらいの高さまで土手が流されてしまっていて、渡渉のポイントが前よりわかりにくくなっているのだ。前の3回の山行で、そんなに迷うようなポイントの記憶がなかったので面食らってしまう。古道は新しくきられた道よりも崩壊に強いと思っていたのだが、3年前の豪雨は、それをはるかに凌駕していたのだ。

久良谷のよう 木地山峠

 もう一度炭焼き跡のところで踏み跡をロストしてしまい、少々時間はかかったが、木地山峠に11時過ぎに到着。風が強く先生はウインドブレーカーを羽織る。ここからはトレイル道歩き、残り270mほど登らなあかん。東に与助谷山、駒ヶ岳、時折見える北側には内外海半島が見える。

この谷をつめてきた 気持ちのいいブナ林を行く

 5年前にここを歩いた時には、ユキザサの赤い実を見つけたのだが、ユキザサの姿どころか、下草のたぐいがほとんど無いのだ。おそらくシカの食害と思われるのだが、恐ろしいものだ。少しの雨で下流の川がまっ茶ちゃになる訳だ。あっさり山の表土が流されてしまうんだ。いくら大金かけて浚渫しても、これじゃあ間に合わんのと違うか?高い土木工事よりも、若者が猟師になっても食っていける賃金を出して、育成する方がとんでもなく安くあがると思うのだけど・・・。

見上げれば 三国ヶ岳

 植林がブナ林になるとピークは近い。気持ちの良い光の中、最後のツメを登って行く。東側の方がやや傾斜はゆるいが、ここのブナは細い。

 ピークには12時15分着。迷った分だけ時間がかかったようだ。先客が5人。風が強いので、今日もお昼は少し降りたところでしましょうと、ピーク写真だけ撮って、今度は西側の急坂を降って行く。ここの降りで3人の登山者とすれ違う。

釣瓶と武奈 シチクレ峠

 いつもの展望場所は風がまともに当たり、今日は不向き。もう少し降りましょうと言うことで、適当な風裏になる場所を見つける。先生達がパンかオニギリかわからなかったので、今日はサーモスのお湯でできる即席ポタージスープを提供。かわりに先生から、ちゃんとお酒の香りのする酒饅頭をいただく。ゆっくりと休憩し、さてあとは本日最大のお楽しみである南谷へと腰をあげる。

 百里新道分岐からシチクレ峠まで急な坂を降ることになり、このルートを降るのは初めてと言われる先生達。これぐらいは予行練習ですねと小てつ。シチクレ峠に到着。標識はもう崩壊している。激降りに備え、ウンイドブレーカーを脱ぐ先生。

南谷激降りのはじまり 貴重な一輪

 南谷ルートと言っても、降りるのは尾根である。久多のバクロ坂や、滝谷の北谷を経験している先生達なら大丈夫と思われるのだが、いかんせんこの尾根は木が少ない。頼りにしたり、ズルっと行った時に止めてくれる木が疎なのだ。そこが先の2箇所との違い。少し怖さが前に出る。

 途中のヤブっぽい場所の手前で、声を出しますと言って、ホ〜ィホ〜ィと高い目の声にして奇声をあげる。どんな獣でも鉢合わせは怖い。下の林道に降り立つまで、二度、三度と繰り返す。激降りの最中、本日唯一の花を見つける。

 激降り30分、林道に降り立つ。ところが林道と言っても、もはや形をなしていない。林道が川になったようで、林道の中央部分がえぐられている。流れが変わって、林道だった部分が流れになっているところもあるくらいだ。歩けるところを探しながら降って行く。豪雨の被害は、北谷よりも南谷の方がひどかったようだ。

崩壊した林道 林道をのんびり帰る

 普通、雨の被害なら下流の方がひどいと思うのだが、15分も降ると、何があったの?くらい、林道も崩れているところが無くなり、快適に歩いて行けるようになる。

 長い長い林道歩きの先に民家の屋根が見えると、北谷側の林道から4人の登山者が降りてきた。おそらく駒ヶ岳からまわってきたのだろう。道端の花を写真におさめながらデポ地に3時ちょうどに到着すると、何と10人を超える登山者の人だかりがあるではないか。先生が声をかけると、彼らも駒ヶ岳だったそうだ。そのうち3台の乗用車が迎えに来て、それぞれの車に分乗して帰っていった。朝トイレ前に1台デポしていったグループと思われた。今日は百里よりも、駒ヶ岳の方が盛況だったようだ。

 我々はゆっくりと帰り支度を整え、最後にデポ地を出立することになる。それでも帰りも順調に走れて、5時前には出町柳に到着し、解散となる。

 三重ヶ嶽、大見影山よりも近いのに、なぜか5年ぶりの百里2連チャンでした。5年も経てば変わる山道もあります。百里北谷は格段に迷いやすくなっていますし、南谷は歩きにくくなっています。北谷の特に登りは、初心者危険コースになってしまったと思います。踏み跡をロストしたら、迷わず戻ってみることにして下さい。南谷の激降りの尾根に行くのなら、固い底の靴でないとどうしようもなくなって、身動きとれなくなるかもしれません。キックステップで、足場の掘れるような頑丈な靴でトライをしてください。


                           【 記: 小てつ 】