竜ヶ岳〜愛宕山(小てつ NO.99)


 
人、人、人の表参道


平成28年7月31日(日) 晴れ(猛暑日)   小てつ単独

コース:
清滝〜梨木大神〜直登道〜首なし地蔵〜竜東尾根道〜竜ヶ岳〜尾根コース〜愛宕三角点〜表参道〜水尾別れ〜ツツジ尾根〜保津峡





 連日暑い日が続く中、日曜日までかかるかもと思われていた土曜日の仕事が以外にはかどり、日曜日が休めることになった。それでは山にと思うのだが、今週も次女の参加する催物が4時からあるというので、3時頃には帰ってきたいので、近場の愛宕にしようと決定。稲妻号には仕事の道具が満載なのでバス利用にしようと時間を調べると、いつの間にか始発6時台のが無くなり7時台のしかあらへんようになっていた。

 遅い時間の出発ということでのんびり構えていたが、歯磨きをしている時にふと思い出した「今日は7月31日やなぁ。おっと千日まいりの日やんか・・・」、とは言っても本来千日まいりは7月31日から8月1日をまたぐ夜半におこなわれる行事であるので、7月31日の朝だったら大丈夫だろうとタカをくくり、予定通りに愛宕行きとする。

 ただ、もしやバスが満員ならと少し離れたJR駅前のバス停まで歩き、バスが混んでいて乗れなかったらキビスを返してJRに乗り換えて保津峡から登ろうとした。定刻から少し遅れてやってきた始発の京都バスは、そう混んでいることも無く、立ち客5人くらいだったので、乗り込む。乗客はほぼ登山客で皆さん割と軽装備。そら愛宕に行くのに40リットルザックにツエルト、簡易シュラフ装備で2、3日遭難しても大丈夫そうなほど担いでいく人は、小てつの他におらんやろう。

 昔と違ってあっちゃこっちゃ寄り道するバスはだんだんと混んできて、阪急嵐山ではもう一人も乗れない状態になった。既に追加便が用意されていたが、20人以上待っていた人を、絶対乗れそうにないのに一度ドアを開けてみる運転手も運転手だし、誘導している係員も一度乗せようとする京都バスって???。

  結局バスは一人も追加で乗せないまま発車し、また嵐山に戻り京福嵐山で停車するのだが、今度はドアを開けることも無く発車するので、バス停で待っていた10人ほどの客が、あぜんとした表情で見送る。追加便が後続していることを外部マイクで伝えれば良いものを、黙って発車する運転手って何???と思ってしまう。待ち客が諦めて歩き出した頃に後続便がやってきたら、どないすんねんと思ってしまう。

 清滝道は嵐山ドライブウエイ入口あたりから渋滞し、普通車は動けない状態。動かないバスの中、最後部にいた乗客同士で話がはずみ、昔の愛宕の話などする。みなさん表参道しかご存知ないようだったので、持ち合わせていた愛宕詳細地図を見せて解説するが、冒険しそうな人はいなかった。しばらくしてバスとタクシーだけ係員に誘導されて反対車線を進んで前に出る。平野屋の駐車場も今日は自転車とバイク置き場になっていて、もう既に満車状態、稲妻号で来なくて良かった。やっと清滝バス停に到着。もう8時40分。

清滝には警察も出動 バイクもいっぱい

 バスを降りてすぐにズボンのヒザを切り準備をし、ヘタをしたらいつもより2時間遅い出発。バスの乗客はほぼ全て表参道に向かわれ、小てつだけ一人林道に進んで行く。大杉谷の登山口で二人、月輪寺の登山口で10人ほどのグループを見る。

 林道は蒸し暑かったが、月輪寺の登山口を過ぎた大岩の裏に来ると、滝のミストか涼しく感じられ、いい調子になった。流れが横にあるうちは、いつでも手をつけたり顔を洗ったりできるので安心だ。

 梨木コースは数年前の豪雨でぐしゃぐしゃになったままだが、なったなり落ち着いたようで、道路がえぐられたところにも踏み跡ができていた。梨木大神の石碑を過ぎて大きくコンクリート製の橋がえぐられたところで、伐採時の迂回路を登るか、直登道を登るか迷う。今まで歩いてきた林道が意外にも涼しかったので、直登道もさほど暑くないだろうと、距離が短いこともあり、直登道を進むことにする。これが間違い!。

 直登道が暑いのは、以前に歩いて知っている。だがもう10年近く前のことで印象が薄れていたのか・・。伐採時のケーブル巻き取り機の置いてある小屋あたりまではそう苦しくないのだが、その先からは灼熱地獄。野球部出身の小てつは暑さには比較的強いと自負しているが、ここの暑さは論外だ。

梨木大神は健在

 バテバテとなり、5、6歩歩いては汗をぬぐい、呼吸を整えとペースが落ちる。そんな中、登山道に張り出したジャケツイバラに引っかかり、そのトゲから逃れると一気に意気消沈、ザックをおろし近くの日陰で座り込み3分ほど動けなくなる。しかしこんなところにいても消耗するだけなので、歩き出す。市内の眺望があるようになると、いくらか風が通るようになって息を吹き返す。首なしまであがたら、そのまま高雄に降りようとも考えたくらいだが、若干元気が出てくる。

 もう少しで首なし地蔵というところで、上の方から太鼓の音がする。何人か首なし地蔵でお経を読んでいるようだ。あがってみると白装束の団体がお経を読み終えて休憩中だった。小てつは休憩することなく、竜の小屋方向に進んで行く。

 竜の小屋は無人。竜の東尾根取り付きでザックをおろし、流れに手をつけ顔を洗い、これからの急登に備える。ここを登りに使うのは久々。愛宕中毒患者のFさんは、ここの登りがお好みやなぁ。

 急登ではあるが風が抜けて、先ほどの梨木直登道とは違って休み休みの歩きにはならない。やっぱり小てつは夏の伊吹は無理。なんぼ花があっても無理だと思ってしまう。ここのシャクナゲに花芽かと思われる小さな芽があり、ひょっとしたら来年はと・・期待する。

 東尾根道の途中まで来て気づいたが、テープ類が清掃されていて、すっかり綺麗になっている。やはり山道はこうでなくっちゃいけない。テープがなくては不安という人がいるが、ちゃんと地面を見ると、明らかに踏んだところはわかるし、木の生え方とかで登山道はわかるもんだ。そっちの修練をつんで欲しい。

 他府県の山は知らないけれど、京都北山の山は、登山用の山ではない。ほとんどが個人または法人所有の持山であって、本来は入って欲しくないという山がほとんどなのだ。そこへ「迷惑はかけませんので、ほんの少しお邪魔させてください」という感じで入らせていただいているのに、雑木やヘタをしたら植林までにもテープや印をつけるなんて、言語道断なのだ。それに山でもなんでも、後から来るだろう人に対して、あったままにしておくのが一番じゃないだろうか?そりゃ倒木をどけるとかは違う意味で、何かを引いたり足したりするもんじゃないと思う。

竜ヶ岳ピーク

 清滝から想定よりも30分遅れて、無人の竜ヶ岳ピークに到着。ラーメンタイムとしよう。今日は「マルタイラーメン宮崎」。追加のオニギリを食べる食欲もなく、ラーメンだけをすすっていると、女性二人連れが到着された。少し話すと、女性達も今日が千日まいりの日とは知らず、清滝のあまりの混雑に、コースを替えて大杉谷道で登り、竜に来てまた大杉谷道で降りられるという。単独の小てつに、パンフレットをくださり、○○労山の紹介をしてくださる。勧誘というほどのことではなかったが、小てつの隠密山歩きの時の様子を知ったら、労山の人は引いてしまうに違いない。

 女性二人は少し降りたところで休憩しますとのことで、ピークをあとにされ、かわりに単独男性が到着。表はたいそう混雑しているが、裏は閑散としたものだと、地蔵からまわってこられたという男性は話された。結局、いつもの常連さんは、千日まいりの混雑を敬遠して、裏は逆にひっそりしているんだ。

竜から愛宕 竜から地蔵

 竜から保津峡までのコース取りを思案していたが、それなら怖いもの見たさで、MAX愛宕はどんなんか、表参道をツツジ尾根まで歩いてみたれと決定する。

 30分ほど休憩してピークをあとにする。女性二人は竜の広場で休憩されていた。パンフレットのお返しにと、愛宕詳細地図を進呈する。竜の尾根道は日陰で快適、それまで聞こえなかったセミの声もある。リョウブの花が盛りで、たかるミツバチの羽音が大きい。

花はリョウブだけ

 三角点ピークにも、3組5人だけと普段の日曜日のお昼より少ないくらい。ピーク写真だけ撮って、すぐに立ち去る。ジープ道を進んでいくと徐々に人が多くなり、神社下の小屋はそうでもないが、広場は人、人、人。警察と消防の臨時基地が置かれ、ジュースの屋台が出ている。缶ジュース150円、ポカリ200円なら、以前よりも良心的になっているんじゃないか??

 石段道を降りかけると、朝バスで一緒だった親子三代グループを見つける。もう神社に参拝をされたと言われ、早く来れましたねと言う。それでも最後、子供さんがしんどくて泣かれたというので、前の町内登山の時のAりちゃんを思いだし、子供は休憩するか何か食べるとすぐに回復しますよと言い、それより大人は明日からが怖いですよと、降りは歩幅をできるだけ細かくすることを指南する。

 表参道は予想通り、いやそれ以上に大勢の登山者だ。これでお昼だし、ホンチャンの夕方からなら、どれだけ多くの人が登ってくるんだろう。中には中国語か韓国語かわからない言葉も飛び交っているようだ。

愛宕三角点ピーク 賑わう神社

 適当な先行者にあわせ、かなりゆっくりな人は追い越して雑踏にまぎれるように降って行く。まさに老若男女、装備も元気もバラバラで、皆さんがんばって登ってこられる。中には上まで無理なんじゃというお方も見受けるが、それでもここまで登ってきたんだ。

 水尾別れまで付き合って、大きな看板が設置された脇をツツジ尾根に入っていく。幸い妙な追従者もおらず、ペースを自分に戻して降って行くのだが、降るにつれ、どんどん暑くなってくる。荒神峠で2名の先行者に追いつき、二人はベンチで休憩をとるようだが、こんなに風も通らない暑いところじゃ休憩にならないだろう。確かに、ここではセミの声は聞こえない。

 標高300mの二つ三つあるコブのあたりまで降りてくると、やや風が通るのか涼しく感じ、飲水休憩をとる。セミはよく感じるのか、ここではヒグラシが鳴いている。そこからやや降ると鳴くセミの声はツクツクボウシになって、やや暑く感じたから、夏の休憩はヒグラシの鳴いているあたりでとるのが正解かも。

 もう保津峡というところで、汽笛が聞こえ、丁度トロッコ列車が走っていく。全開放のトロッコ列車はかえって暑いことだろう。車道に降り立ったところで、保津峡駅に京都駅行きの電車が到着。ええ感じで次の電車まで焦らず帰り支度ができるというタイミングだ。駅まで赤橋を回り込んで、トイレ前で着替えて帰り支度をする。

ツツジ尾根からトロッコ列車 水尾のバスにも行列が

 水尾までのシャトルバス停にはベンチが置かれ、バスの予約受付をしている。もう20人ほどが並んでいて、千日まいりはこれから本番なのだろう。ホームの方が風が通るだろうと、自販機で水を買ってホームで電車を待つ。2時44分の電車で帰れた。

 電車に乗り込み、トンネルを抜けると嵯峨駅では雷雨となっていた。ドアが開いた瞬間に雷鳴もあり、観光客が悲鳴をあげながら電車に乗り込んでくる。すぐさまスマホで雨雲レーダーを見ると、雨雲は南西に動いているようで、何とか愛宕は直撃をまぬがれているようだが、それからも断続的に雷雲が発生しているよう。軽装備での人がたくさんいた愛宕は大丈夫だったのだろうか心配になる。

 暑い中、灼熱地獄と格闘してきました。なんでも体の水分は筋肉に貯蔵されるそうで、熱中症対策はいちにも二にも筋肉をつけることだと言います。暑いからとこもりがちになりますが、適度に動いておかないといけません。しかし、このお腹の脂肪はしぶといなぁ。こんだけ汗かいても変化無しとは・・・。トホホ。


                           【 記: 小てつ 】