皆子山 (ツボクリ谷〜寺谷)
(晩秋の気配を感じながら荒れ気味の谷を遡る)


 
皆子山 山頂


2016年11月5日(土) 快晴 森の旅人M

コース:
足尾谷橋〜林道終点〜ツボクリ谷分岐〜皆子山分岐〜皆子山〜寺谷〜林道う回路〜平皆子谷林道〜平〜足尾谷橋





 晩秋の皆子山に行ってきました。毎年のように登っていますが,ツボクリ谷コースは林道の崩壊と谷のがけ崩れで大きく痛み山行が難しくなっているので,コース調べも兼ねての山行です。

 この一年で変わったことは足尾谷の入山口にバリケードが設置され通行止めの札が掛かっていること。林道に入るといきなり黄色テープで囲われた陥没部が増えています,その穴が広がっていることです。狭いところは道幅30cmまで削られている。最初のコンクリート橋は橋脚の根元深くまで大きく陥没が進み更に広がれば渡るのに影響が出るかもしれない。

削られる林道 コンクリート橋の大きな陥没

 発電所に着くと魚道の水量確認,今日は通常の水量のようだ。何とかツボクリ谷へ入って行けそうだ。ちなみに足元は長くつ姿で山頂まで登る。冷気で吐く息が白くなっている。空は明るい青空で快晴,気持ちよく歩を進める。最初の林道の大規模崩壊地に出る,それなりに落ち着いてきた感じがする。

 豪雨災害から5年たったのだ,大岩と倒木を通り抜ける。次の大規模崩壊は護岸のコンクリートが倒れている場所であるが,砂が流され前方の林道に進むのに時間がかかる。その先の林道終点にようやく到着,ここまで30分掛かってしまった。以前だと15分もあれば済んだのに。

最初の崩壊場所 2か所目の崩壊場所

 林道終点から渡渉が何度も始まるのがツボクリ谷コースの特徴,終点から右岸への橋も流出したので最初の渡渉がこことなる。渡渉ポイントの見極めと渡渉に時間が掛かる。前年渡った場所の岩も動いたのかすんなり渡れそうになく別の場所を探す。結局,上流から流れ着いた「くの字橋」が岩に引っかかっている所から右岸に渡りました。長くつでも気の使う場所になってしまった。

 支流谷を左に見る,その先が以前あった「くの字橋」であるがすでに流出してここも渡渉ポイントになってしまった。「川を渡れ」の札が木に架けてある。岩に乗らず川の中を慎重に進む。深いところで30cmの水深があった。左岸に入ると以前の高巻き道になり陽も差し込み気持ち良い,眼下の川べりに芦火小屋がたたずんでいる。

 ツボクリ谷分岐で渡渉,長くつなのでスイスイと渡ったが,水量が多いとトレッキングシューズでは少し難しい場所だ。谷合流となっており右は本流,左の谷がツボクリ谷である。ここから目指す皆子山だがガケ崩れが多数ありその度に道が寸断されているので注意が必要だ。ナメ滝を右に見て上流に進んで行く。大きなガケ崩壊場所では山手に新しい踏み跡がしっかりできている。そのまま高巻きしていくと道に出る。

 渡渉があり大岩二つの脇を通る。ナメ滝と倒木を抜けると右岸の崖が大きく崩れている場所を目にする。

流れ着いた「くの字橋」 ナメ滝と倒木

 荒れ気味の谷を歩く,その後も渡渉を繰り返して進む。大岩が転がる場所の隙間を通る。ナメ滝前で左岸の岩場のロープ道を上って行く。トチノ木の大木の前を通り数回の渡渉後,ようやくトチノ木が立つ皆子山分岐である。

ナメ滝前の岩場を登る 紅葉とナメ滝

 紅葉が映える場所であるが,黄色はあるが赤色が少なく今一つの様子だ。ここから急坂道が始まる。大岩を右に見てさらに上がって行く。左に谷を見て,更にすぐ先には谷分岐となっており右の谷に入って行く。続く谷分岐も右に入って行く。谷は細くなり傾斜は益々きつくなる。今日は枯沢で無く水が流れ落ちている。

 ロープ場まで来て上を見上げると人が立っているようだ。ロープを伝って上りきると上から声が掛かり「そのまま上がってくると厳しいので東側の尾根に乗ったほうがよい」,せっかくの言葉なので尾根に向かう。この尾根道も以前に上がったことがあるが,結構急坂であることには変わらない,簡単には上っていけない。ようやく山頂にたどり着くと誰もいない山頂だった。暫らくして北尾根から声を掛けてくれたおじさんが現れた。

皆子山分岐のトチノ木 東の尾根に道を変える

 京都の69歳の方で,東尾根から上って来て下りコースを探索中だった。ツボクリ谷から上って来た私を見てツボクリ谷は諦めたようだ。その後,寺谷から上って来た若い大阪の男性の他単独男性2名が次々と上ってきて早速昼食を摂っていた。

 快晴で東に蓬莱山を見て,北東方面に武奈ヶ岳とその奥に蛇谷ヶ峰が見える。快晴の割りに霞みかかっており,すっきり感が無い。山頂の紅葉も今一つで近くに赤いモミジがあったのがせめての慰めか。長くつからトレッキングシューズに履き替えて復路に着く。京都のおじさんによると寺谷出合の橋は流出したままで,下流のコンクリート橋までう回路ができていると教えてもらう。

山頂のモミジ 武奈ヶ岳遠望

 下山は久しぶりに寺谷を下る。急坂のスギ林を下ると谷に降り立つ。寺谷は急な谷が続くのでロープ道が何か所かありつかまって下りていく。滑りそうな細谷もあり慎重さが必要だ。大岩の横を通り,高巻きしてナメ滝を越して行く。渡渉も多いがツボクリ谷のように苦にならない。

 古びた茶色の看板のある谷合流点で休憩していると,男性が先に下って行った。後から来た山頂の男性の一人だ。しばらく開けて出発する,後ろ姿が見え隠れする間隔を開けて下って行くが写真など撮っている間に段々と差が開いて倒壊した小屋以降からは見えなくなった。

寺谷急坂のスギ林 安曇川渡河地点のう回路標識

 安曇川が見えた頃,寺谷の橋も流出して林道に渡れないため,う回路ができていました。標識も立っています。う回路は東の尾根からロープ伝いに細谷を超えてさらにスギ林の中を斜面に沿って東に高巻きして向かい,近くのコンクリート橋の東側20m程のところ林道に出ました。林道脇の杉の木に「寺谷う回路」の標識が掛かっていましたが注意が必要です。

 平集落の近くで赤く染まり始めたモミジがあります,青空と赤のコントラストをカメラに収めて足尾谷橋まで無事戻りました。

寺谷う回路道 平集落の紅葉

 ツボクリ谷はガケ崩れなどにより予想以上に荒れています。入山する場合は,余裕を持った山行が必要です。雨天後の場合,渡渉が多いため水位があがりシューズでは難しい箇所が出るため避けたほうがいいでしょう。


                           【 記: 森の旅人M 】