芦生 櫃倉谷//北山

(ひとり貸し切りの静かな谷に春風が抜ける)
2016.04.30


 
流れも細くなった櫃倉谷上流


2016年4月30日(土)  快晴  森の旅人M

アクセス:
須後青年の家駐車場まで往復車利用

コース:
須後青年の家駐車場〜林道櫃倉谷・内杉谷分岐〜櫃倉林道終点〜横山峠〜中ノツボ谷〜坂谷出合〜権蔵谷出合〜ロクロ谷出合〜スベノ木谷出合〜櫃倉谷最深部二又
(復路は青年の家駐車場へピストン戻り)


 久しぶりの山行で負担の少ない芦生櫃倉谷へ向かいました。ゴールデンウィークで天気も快晴,多くの登山者と思いきや駐車場には大阪と神戸ナンバーの3台と少ない台数でした。芦生に途中の菅原と佐々里峠では八重のサクラが咲き誇っています。

菅原のサクラは満開 佐々里峠のサクラ

 入山届を出してから川沿いの林道を歩いていると,快晴の青空,山野の芽吹いた若葉色が目に飛び込んでくる。川のせせらぎと小鳥のさえずりを聞きながら歩いていると心穏やかになる。

 櫃倉谷・内杉谷分岐で左の櫃倉谷林道へ入っていく。前日に雨があったのか,しっとり濡れた地道になる。ピンクのヤマツツジに淡い白のヤマサクラが目に留まる。やがて,林道終点に到着。ここで渡渉を繰り返す谷歩きのため,トレッキングシューズから長クツに履き替える。

ヤマツツジ 櫃倉林道

 櫃倉谷は渡渉が多く,横山峠への最初の渡渉も水深は約20cm超えありシューズでは難しい。飛び石もあるが簡単に渡れそうに無い,渡渉ポイントを探す時間がもったいないのである。横山峠へは細い高巻き道を登って行く,左側は崖となっている。峠はイワカガミの群生地であるがチラホラとピンクの花が見える。下った谷が中ノツボ谷でここから芦生の代表樹木である大木のトチノ木が迎えてくれる。

横山峠の高巻道 中ノツボ谷

 谷本流の上流に沿ってじゃぶじゃぶと川の中を歩き渡渉を繰り返して坂谷出合へ。更に上流に進むと立派なトチノ木が目立つ。その中で「L字トチノ木」は目立つ存在である。やがて左岸の高巻き道を行く細滝の前を通過する箇所に来ると大きな倒木が道を塞いでいる。ここは両手を付いて身を曲げて潜るが,バックが引っかかり上手く通過できない。すぐ2本目の倒木があり同じように手をついて潜る。

 高巻き道もイワカガミの群生地となっており多くピンクの花をつけている。やがて谷に下り右岸へ。岩場の高巻きを進み,岩場の滑りやすい危険な箇所が権蔵谷手前にある。ここを通過するとすぐに権蔵谷。この先から櫃倉谷らしい広く見通しのよい風景が続きトチノキの大木が続く。

L字トチノキ 道を塞ぐ倒木
イワカガミ 権蔵谷出合

 広くなった上流部で渡渉を繰り返しロクロ谷出合,スベノ木谷出合を通過,川の流れは小川のように細くなり大きく蛇行している。谷間も狭まり谷最深部の二股に着く。昼には少し早いが昼食を摂る。近くで鹿の甲高い声が聞こえるが,次第に遠ざかっていった。

櫃倉谷最深部二又 櫃倉谷最深部三又

 昼食後更に上流に向かい杉尾峠への取り付きを探しているうちに,谷三叉に行き着いたため,ここで引き返すことにした。深い渡渉箇所で目の前に紫色の花が目に入る。花は小さく,それも枯葉に囲まれている,上流を目指しているときにはまったく分からなかった。目を凝らしてみると紫色の花が点在しているが,見逃してしまいそうな小さな花である。花はリンドウの一種でフデリンドウと思われる。

フデリンドウ ニシキゴロモ

 ゆっくりと流れと同じように下っていったが,結局誰にも会わない山行でした。深山の中に身をおき,一人貸切の山行は贅沢な時間を過ごすことができました。

 無事,駐車場に戻ると車は10台程停まっていましたが,今日は少ない人出のようです。


                           【 記: 森の旅人M】