コピーライターという職業について

(2015年6月24日UP)

MF さんからの報告

 

 

どんな仕事か?】

 コピーライターの仕事は、いろんな商品の広告・宣伝コピーやキャッチフレーズ、あるいは雑誌・WEBサイトなどの記事を書く仕事です(後者は「ライター」とも呼ばれます)。

 私の場合は、企業の広報誌やパンフレット、公式サイトなどの文章を書いています。不動産広告のコピーを担当していたこともあります。

 いずれの場合も、商品に関する情報・知識収集や、企業への取材をした上で、ターゲットとなる顧客や読者に伝わり、なおかつ興味を持ってもらえる文章を書くことが求められます。

 

 

【どこで働くか?】

 出版関連の制作プロダクションや広告代理店、印刷会社で勤務するパターンが多く、大企業であれば社内の広報部・宣伝部などに専属のコピーライターを抱えているところもあります。また、フリーランスで働いている人もいます。

 それぞれの長所と短所は一概には言えませんが、企業内のコピーライターの場合は基本的に自社のことを広めるので、より的を絞った書き方が求められます。

 逆に、制作プロダクションや広告代理店、印刷会社などでは顧客も制作物も多岐にわたることが多いので、幅広い情報を仕入れる必要があります。言い方を変えればたくさんのジャンルに詳しくなれるので、飽きずに続けられるというメリットもあるのではないかと思います。

 

 

【どうやって就職するのか?】

 コピーライターには必須資格はありません。極端な話、卒業学部はおろか最終学歴も無関係です。

 …とは言え、文章を伝わりやすく書くことが必要とされる職業ですので、最低限の文章作成力や語彙力は欠かせません。また、情報を集めよう、知識をつけようという向学心がないと厳しいと思います。

 実際に同業者を見てきて多い進路パターンとしては、4年生大学の文学部や経済学部を卒業した人や、デザインや広告を学ぶ専門学校出身の人が多くいました。しかし理系学部出身者や、私のように教育学部卒の人も少なくありません。

 

 私自身もそうなのですが、コピーライターには異業種から転職してきた人がたくさんいます。私は高等学校で講師を経験した後、なんと32歳の時にコピーライターになりました。この年齢で未経験者の転職というケースは一般的にまれだと思われるかも知れませんが、コピーライターに関しては珍しくはありません。

 なぜなら、コピーライターは異業種の経験を武器にできる職業だからです。先ほど、制作物は多岐にわたる、と説明しました。例えば皆さんがある事柄について書いたり話したりする時、経験があることや好きなことについてなら饒舌になりませんか?

 料理の記事を書く時には、料理を知っている人の方がより詳しい記事を書けますよね。バイクに関する紹介文なら、バイク好きの人の方がよりマニアの心を打つ表現ができるはずです。

 すなわち、いろんな分野の経験や知識があればあるほど、多面的なターゲットに向けて文章を書けるので、コピーライターは異業種からの転職がプラスになるのです。

 そういう点でも門戸の広い職業ではありますが、言い換えると、これをしたから必ずなれる、という職業ではないので雇用が安定していないというデメリットもあります。

 

 

【どのくらい働いてどのくらい稼いでいるのか?】

 まずお知らせしたいのは、皆さんが“コピーライター”と聞いて思い浮かべる(であろう)方々はヒットメーカーがほとんどですので、収入はイレギュラーです。“うちの母親”とカリスマセレブママが似て非なるものであるのと同じです。なので、「コピーライターってすごく稼いでそうな職業」というイメージは捨ててください(笑)。

 実際のところは就業先によっても差があるので、額については一概には言えませんが、経験を積めば積むほど昇給のチャンスは増えます。やはり続けていくうちに腕も磨かれ、成果=次の仕事につながりやすくなるのでしょう。

 一律の年収制・月収制をとっているところもあれば、一件につきいくら、というように書けば書くほど稼げるところもあります。フリーランスは後者が多いですね。

 ちなみに残業代に関しては、出ないところが多いです。これは、裁量労働制と言って、実際の勤務時間に関わらずあらかじめ決められた時間の分だけ働いたとみなす方式によるものです。

 つまりは、「基本的な勤務時間は決まっているけれど、実際の業務は各々の管理に任せますよ!だから能力を発揮して時間を有効に使ってね!」という制度です。

 …ここまで書いてお気づきの方もいらっしゃるでしょうが、勤務時間に関しては、基本的に残業がとても多いです。

 冊子や印刷物など締め切りのある仕事ですし、取材の日取りが土日になってしまうことも多々あります。いつも定時で帰りたい、という方にはおすすめできない業種です。

 その分、自分の時間が欲しい時には制作物を締め切りより早めに書き上げるなど、自分で調節することも可能なので、時間を上手く使えるようにはなると思います。

 一概には言えませんが、男女比率は半々ぐらいですし、(個人的な意見ですが)上司にあたる世代にも他業種に比べて先進的な考えの方が多いので、産休や育休も男女ともに取りやすいのではないかと思います。在宅でもやりやすい仕事ですので。

 

 

【どういう楽しさがあるか?】

 私の個人的な意見になりますが、コピーライターの醍醐味は、いろんな人と出会い、広い世界を知ることができる、という点です。

 この仕事を始めてから、大学生や専門学校生、医師、美容師、染物職人、学習塾経営者など、異業種で活躍する方々と数えきれないくらいお会いし、話をうかがう機会に恵まれました。普段の暮らしで、知人でもない人と会って話せることはそうそうありません。自分の知らない世界の話を聞けることや、自主的には行くことのない場所へ行けることはとても刺激になりますし、自身の見聞も広がります。何より、知らない世界で頑張る皆さんの情熱を目の当たりにするとこちらまで元気になります。

 その素晴らしさを多くの人に広められるのはとても光栄なことですし、自分の記事を読んだ人が新たな世界に興味を持ってくださったら、こんなに嬉しいことはありません

 余談ですが、取材先のある企業で、講師時代の教え子が就職し活躍していた時にはとても驚きました(笑)。同時に喜ばしくもありましたし、人と人、世界のつながりを実感できるコピーライターという職業の素晴らしさを改めて実感しました。

 

 

【どんな人に向いているか?】

 文章を書くことと読むことの両方が好きであることは必須です。「書くだけでもいいのでは?」と思うかも知れませんが、資料に目を通す必要がありますし、ある程度の読解力がないと記述力も養われません。

 読解力や記述力に自信がない、という方でも、人と話すことが好きであるなら適性はおおいにあります。日常のできごとを面白くしゃべったり、親しい人の相談を受けたり、会話のキャッチボールを楽しめる人であれば、人やものの魅力を見つけて紹介する力は十分にあるはずです。

 また、探究心が強い人や何にでも興味をもつ好奇心旺盛な人も向いています。最近では「オタク」という呼ばれ方はもはや敬称にすらなりつつありますが、自分の知っていることに深い造詣があったり、あるいは知らないことについて知ろうとする熱心さがあったりする知識欲があれば、情報を伝えていくモチベーションにつながると思います。

 あとは、できれば視野の広い人ならなお良いでしょう。既成概念や先入観にとらわれすぎると、フラットな視点から物事を判断して記事にすることは難しくなってしまいますし、多くの人の心に響く表現ができにくくなります。時代の流れなどに敏感であることも求められます。

 

 

☆おわりに

以上、長々と語りましたが、私にとってコピーライターという仕事は、

隣にいる人に語りかけるつもりで、見知らぬ人に語りかける仕事

です。

自分の家族や友人に「この商品いいよ!」とか「この人の意見、素敵だよ!」と伝えるような気持ちの延長線上に、たくさんの方々へ向けた文章があると思っています。

どんな道を選ぶにしても、自分自身にしかできないやり方があると思います。

ともに頑張りましょう!

 

 

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