記憶力を高める方法

 

1.高校での学習量

 数学のチャート式の問題集を買ってびっくりした人も多いのではないか。数学だけでこれだけの量である。しかも、これですべてではない。英語も国語も理科も地歴も公民もあるのだ。高校での勉強量は半端な量でない。

 だからこそ、毎日勉強し、その日のうちに覚えていくことが重要なのである。中学校のように、テスト前に一夜漬けなんて、高校では全く通用しない。3年生になってようやくこのことに気がつく人も少なくない。

 

.短期記憶と長期記憶
 「認知心理学」とよばれる研究分野がある。これは人間が学習する際にどのように理解し、記憶するかというメカニズムなどを明らかにする。それによれば、記憶には「短期記憶」「長期記憶」という二つの貯蔵庫があるという。

 今、新しい情報が頭にインプットされたとする。その情報はまず短期記憶として蓄えられる。たとえば10桁の電話番号を聞いた場合、この情報はとりあえず短期記憶に貯蔵される。しかし、短期記憶の貯蔵庫は一時的に情報を保存するだけで、しかも容量が小さい。だから、せっかく覚えた電話番号も、それが短期記憶の貯蔵庫にとどまる限りは、数十秒も話をしている間にすぐに忘れてしまう。

 一方、長期記憶はいったんここに貯蔵されると容易に忘れることはなく、しかも膨大な量の情報を保存ことができる。その容量は1000兆項目と計算する人もおり、まさに無限に広がる「記憶の海」である。

 実際、40年も前に受験勉強で覚えたことを今なお覚えているのは、それらが長期記憶に貯蔵されているからである。人間は個人の長い歴史を経て、実に多くの情報を長期記憶として貯蔵し、また必要な情報をそこから引き出しているのである。

物理的刺激短期記憶長期記憶

 

3.入試は長期記憶の勝負

 ところが、皆さんの日頃の勉強方法を見ていると、その場しのぎの短期記憶に終始している人が少なくない。たとえば英単語の小テストをおこなうと、その日の朝や授業直前の休み時間を利用して必死に覚えようとする人の姿が目につく。

 確かにそうした勉強方法によってある程度の点数をあげることはできる。しかし、そうして得られた記憶はあくまで短期記憶であり、それがすぐに長期記憶に結びつくわけではない。小テストが終わったあときれいさっぱり忘れてしまうのであれば、またゼロからのやり直しである 。

 砂浜に文字を書いても波があっという間に洗い流す。あれと同じである。その場しのぎの勉強をいくら積み重ねても、長期記憶に根ざした本当の実力は付かない。大学入試でものをいうのは「無限の海」に蓄えられた長期記憶である。

 

4.長期記憶への移行
 

情報を長期的に保存し頭に定着させるためには、短期の貯蔵庫から長期の貯蔵庫に移す必要がある。それは結構苦しい作業でもある。もしこの移行がうまくいかなければ、せっかく覚えた記憶もすぐに忘れてしまう。では、どうすれば長期記憶の貯蔵庫に移行させることができるのであろうか。

@「理解して覚える」

なるほど、だからこうなるのか」というように理屈で覚えたことは、長期保存庫に移って忘れにくくなる確かに、人間は意味が分からなくても覚えることができる。しかし、そうした覚え方は、時間がたつとあっという間に忘れてしまう。

 これに対して理解して覚えたことは忘れにくい。たとえば、「学問」や「顧問」の「問」という字には「門」構えに「口」がいる。これは(正しいかどうかは知らないが)学問や顧問は口を使うからだと教えられたことがある。それに対して、「専門」の「門」には「口」がいらない。「学問には口がいるが、専門には口を出すな」とでも覚えておけば一生忘れない。

 理解して覚えることは、特に数学では大切である。定期考査で点を取るため、とりあえず公式を丸暗記してそれなりの点を取ることは可能である。しかし、丸暗記したことはすぐ忘れてしまう。公式を丸暗記するのではなく、その原理を理解し、自分で公式を導き出せるようにして覚えると、たとえ忘れてもすぐ原理から容易に思い出せる。

 大切なことは、一時的に記憶することではなく、覚えたことを永久知識に定着させることである。

 社会科の勉強の仕方も同様である。社会科の場合、覚えなければならない量は無茶苦茶多い。高校受験なら「丸暗記」でも合格できたかもしれないが、大学受験ではそうした覚え方では合格はおぼつかない。

 丸暗記ではなく「本質」を理解して覚えことである。たとえば、なぜ憲法が生まれたのか、民主政治を実現するにはどのような条件が必要なのか。そうした「原理」となる部分を、しっかり自分の頭で考え、覚えることである。同じ覚えるでも、理解して覚えることと、理解しないで覚えることの間には天と地ほどの差がある。理解して覚えたことは永久に忘れない。

 さらに本質を理解たうえで、さらに体系的に覚えると記憶量は一気に高まる。人間は加齢とともに記憶力が低下する。小さな子供は意味も分からずたくさんの言葉を覚えることが可能であるが、高校生にもなればそうした記憶の仕方は難しくなる。

 その代わり、年齢が高くなるにしたがって「理屈」で覚える力がどんどんついてくる。だから、大人になるにしたがって、物事をY=F(X)の因果関係で考え、体系的に覚えるようにすると大変効果がある。

 

 

A連想結合法を利用する。

 第二に、関連づけて覚えることである。たとえば、次に掲げたのは ある高校の内線電話番号の一部である。これを1分間で暗記するにはどうするか。

29 , 51(体育職員室)、
20(国語科職員室)、
54(地学準備室)
48(社会科職員室)、 
64(英語科職員室)、
62(進路指導室)

 ここで威力を発揮するのが、「連想結合法」である。たとえば、体育の先生は筋肉モリモリだから「肉(29)食って来い(51)」と覚える。国語科職員室は数学と同じ部屋にあって入り口が二つあるから「二重(20)の扉」と覚える。ついでに、地学は「石をゴシゴシ(54)」、社会は「地理の等高線がシワシワ(48)」、英語の職員室は一番離れた場所にあるから「無視(64)!」(英語の先生ごめんなさい)、進路指導室は「浪人(62)」と覚える(笑)。

 皆さんも、中学校の時に「いい国(1192)できた鎌倉幕府」などと覚えなかっただろうか。要するに絶対に忘れないものに結びつけて覚えるのである。暗記が得意な人は、こうした連想結合が大変うまい。英語の単語を覚える時も、連想法は有効である。

 

B発音したり、手で書いたりして繰り返す。
  暗記が苦手な人ほど、目から入った情報だけ覚えようとします。これに対して暗記が得意な人は、5感をフル活用して覚えようとします。 以前、医学部の学生の隣の部屋に住んでいたことがあります。教科書や専門用語を音読する大きな声がよく聞こえてきました。小学生のころ漢字を覚えるのに何回も紙に書いて覚えなかったでしょうか。英語の単語だって、手で書いてみるとよく覚えます。


C制限時間を設けて勉強する
 勉強の能率を上げるには、制限時間を設けることです。「英単語20個を5分で覚える」「夜11時までに終わらせる」などと時間を区切ると効率よく覚えることができます。特に夜型の人は「エンドレス」になりがちなので要注意です。


D
覚えたことを「何も見ないで」「真っ白い紙に書き出してみる」

 

E覚えた後、睡眠を取る
 
長期記憶にうまく移行させるためには、記憶した後、すぐ睡眠を取った方がよいということが実験で証明されている。「就寝前の10分か15分で暗記物を勉強し、十分に睡眠を取った後、翌朝5分で確認する」といった学習方法は非常に効果があると考えられる

 

個人的には、Dが特にお勧めです。

 

 

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