生徒の悩みは昔も今も同じ

 

 

 努力しているのに成績が伸びない。勉強しなければ,と思いながら実行が伴わない。このページは,そんなあなたに読んでほしいという思いで作りました。

 僕自身,高校に入学したころは,自分でいうのも変ですが成績はそんなに悪くはありませんでした。しかし、卒業するころは後ろから数えたほうが早いようなありさまでした。何ともいえない暗ーい気持ちで卒業式に出たのを覚えています。結局浪人をしました。

 ところが、浪人をして予備校に通い始めて最初の3ヶ月で、自分でも信じられぬくらい成績が伸びました。勉強方法をちょっと工夫するだけで,人間はこんなにも変われるものか 、としみじみ思ったものです。 ただし,だからといって浪人をすすめているのではありません。浪人をしても伸びない人もいます(笑)。誤解のないように。

 長年、高校現場で教えてきた経験から言えば、成績が伸び悩んでいる人には共通した特徴が見られます。しかも、その特徴は40年あまり前に僕が経験したこととほとんど同じなのです。つまり,みなさんの多くは能力的な問題というよりは,勉強方法が間違っているために成績が伸び悩んでいることのほうが多いのです。

 挫折をしたという自らの体験は,教師になった今、僕の貴重な財産の一つです。同じような悩みを持つ皆さん、以下の拙文を参考に,1日も早く立ち直って明るい高校生活を送ってほしいと思います。


1、勉強時間の絶対的不足。
 高校生の勉強に関する悩みの最大の原因は,勉強時間が足りないということにつきます。そんなこと言われるまでもなく分かっていると言うかもしれません。でも、わかっていても出来ないのが人間です。

 ではなぜ、勉強時間が不足するのか。その最大の理由は,「悩み事」が多いからだと思います。異性のこと,友達のこと,クラブのこと,将来のこと etc、とかく高校生のころは悩みが尽きません。

 この時期はたいてい自分が嫌いで嫌いでしょうがないものです。自分を見つめ直し,自分を作り上げていく過程で、ついくよくよ考え込んでしまって,ずるずると悩みの深淵にはまってしまいがちです。その結果、勉強が手につかなくなる。そんな経験を多くの人が持っているのではないでしょうか。

 これに対するうまい解決方法はありません。一つ言えることは,悩みは悩みとして抱えておき,とりあえず,「勉強する」ことです。人間は,一生悩みを背負いつづけながら生きていくしかありません。

 高校生には高校生の悩みがあり,大人には大人の悩みがあります。高校生と大人でもし違う点が一つだけあるとすれば,それは大人のほうが悩みとの付き合い方がうまいということでしょうか。大人は悩みながらでも仕事をします。また,せざるをえません。

 高校生の皆さん、「この悩みを解決してから勉強にとりかかろう」というのではなく,「悩みは悩みとして抱えておきながら,同時進行形で勉強も進める」というふうに気持ちを切り替えることです。

 

2、3年間で3000時間
 中学校までと違って、高校での学習は格段にスピードが速くなります.高校は中学校までの100倍難しいと思ってください.高校の学習にちゃんとついていこうと思ったら、最低、1日3時間の勉強が必要です.仮に1日3時間勉強すると
1年間で
3時間×365日=約1000時間
です。したがって3年間では
1000時間×3=約3000時間
となります.

 もし、1日1時間しか勉強しないと、1年間で300時間、2年間で600時間です.3年生になってあわててとり返そうと思っても、不足分の2400時間を1年間で取り戻すのは物理的に不可能です.大学受験は高校受験と違って3年生になって始めるのでは遅いといわれるゆえんです 。

 受験勉強のための特別な準備はいりません.受験科目に関係のない授業も含めて、日々の授業を大切にする.それだけでいいのです.

 

3、思い立ったら即実行
 あとからやろうとか,明日からやろう、というのは必ず失敗します。思い立ったら,今この瞬間からやるべきです。決断したその瞬間からあなたはもう別人になっていなければなりません。そのための強い意志、あなたにはありますか?

 

4、授業の軽視は命取り
 われわれ教師は,1時間の授業をするために10時間くらいの準備(予習)をして授業に臨みます。もちろん、ひょっとしたらそうではない先生もいるかもしれませんが(笑)、少なくとも僕の場合はそうするよう心がけています。だから皆さんにも真剣に授業を聞いてほしいのです。授業を受ける際には,次のことを意識するとよいでしょう

(学習の3段階)
1.「分かるところ」と「分からないところ」の区別 (予習)
2.分からないところの解決 (授業)
3.「分かる(INPUT)」から「出来る(OUTPUT)」への飛躍 (復習)

 人間が,物事を理解する速度には限界があります。英語や数学はその理解能力の限界を超えたスピードで授業がなされます。したがって予習が欠かせません。 英語・数学に関しては予習をしないで授業を受けてもほとんど効果はゼロ、といってよいでしょう。

 社会や理科についても,プリントで授業を進める先生は注意が必要です。その場では分かったつもりになっていても、頭に定着していないことが多いのです。

 得意な科目は予習を中心に(予習7,復習3),不得意な科目は復習を中心に(予習3,復習7)にするとよいでしょう。今日の自分が、昨日の自分より確かに賢くなっている、と実感出来ないようではまだまだ本物ではありません。

 

5、参考書の買いすぎ
 参考書をあれこれ買うのは考え物です。人間は同じことを4〜5回反復しないとなかなか記憶出来ません学校で推薦されたものを徹底的に繰り返すことです。学校の授業が分からないからといって塾に行き、教材が増えたためにかえって成績が下がるケースもあるのです。

 

6、睡眠不足と集中力の欠如

学力=素質×時間×集中力×勉強方法 
掛け算です。もし、右辺のどれかがゼロなら、左辺はゼロです。

 まず第一に、自分が何に向いているかを見極めましょう。得意なものを伸ばすことです。学校は病院ではありません。悪いところを直すよりも、得意なものを伸ばすほうがいいと思います。

 第二に、いくら時間をかけても集中力が伴わなければ効果は上がりません。かっと目を見開いて先生をにらみつけるように授業を聞いてほしいものです。もし授業中に眠たくなるようでしたら、もっと睡眠時間をとるべきです。何時間寝ればすっきりするかは個人差があります。僕の場合は8時間寝ないとだめです。そのかわり、残り16時間はひとときといえども無駄にはしません。

 

7、気分が乗らないとき
 人間は誰しも、今日はちょっと勉強する気分が乗らないなあ、というときがあります。そういうときは、10分だけやるつもりで机に向かってみることです.机に向かうと意外と集中して30分、1時間くらいはすぐ経ってしまうものです 。

「ちょっとだけやろう」と、自分をごまかして机に向かう.一度試してみてください.

 

8、遊びのすすめ
 勉強しよう、勉強しようと思うあまり、遊ぶことに罪悪感を持つ人がいます.特にまじめな人に多いようです。でも、これは結果的に逆効果になります.遊びにすら集中できない人が、勉強に集中できるはずがありません.いっしょうけんめい遊ぶことも人生では大切なことです。クラブと勉強を両立させようと思ったら、どちらも手を抜かないことです。

 文化祭や体育祭でも、クラスの先頭に立ってやってみることです.そのことがかえって勉強面での集中力を高め、いい結果を出すことが多いようです。

 

9.得意科目を作る
 
英語数学国語のうちの一つを徹底的に得意科目にし、センター試験で190点くらい(200点満点)とれる力をつけることです。数学が得意だったら国公立大学が有望だし、英語が得意だったら早慶を狙えるし、国語が得意だったら、論文試験で合格することも可能になってきます。 (ただし、論文試験は専門知識がないと 手も足も出ないので、国語力は必要条件でしかありません。誤解のないように。)

 英・数・国が、センター試験でそれぞれ80%・80%・80%取れれば、相当の国公立大学に合格できます。もし、それぞれ60%・60%・60%しか取れないと、ほとんど合格できる国公立大学はありません。ただし、その場合でも英・数・国のうちどれかが90%取れる力があれば、その得意科目の配点の高い大学を戦略的に選ぶことによって、合格することは可能です。

 

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